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ベンチャー法務の部屋

ベンチャー企業の経営と人権  ~ベンチャー企業経営者が人権について理解しておくべきいくつかのこと~ その3

今回は、前回からのシリーズ「ベンチャー企業の経営と人権」です。

これまで:
 ~ベンチャー企業経営者が人権について理解しておくべきいくつかのこと~ その1 
 ~ベンチャー企業経営者が人権について理解しておくべきいくつかのこと~ その2 

7 企業体が人権を尊重すべき典型事例

これまで、企業体が人権を尊重すべき典型事例は、自社内で生じたハラスメントにつき、企業体自体が、従業員の安全に配慮する義務や、職場環境に配慮する義務に、違反するものとして、責任を負うというものです。たとえ、従業員間で生じた人権侵害行為であっても、企業体は、原則としてそれを放置することは許されません。

昨今では、自社内だけではなく、社外の問題であっても、放置することが許されなくなってきたという事例があります。

例えば、企業体の仕入先の工場で人権侵害行為があり、それを認識している場合には、その仕入先との取引を放置することは許されなくなりつつあります。

先日(2021/07/16)、

カジュアル衣料「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの岡崎健取締役は15日の決算記者会見で、新疆ウイグル自治区の人権侵害問題について、「縫製工場は第三者の監査機関に入ってもらい、人権に問題がないことを確認している」と説明した。

というニュースがありました。

このユニクロの説明は、中国の新疆ウイグル自治区の綿製品が強制労働で生産された疑いがあると国際的に批判が高まり、同自治区で生産される綿製品をめぐって、フランスの司法当局がNGOからの告発を受けて強制労働によって作られた材料を使っている疑いがあるとしてユニクロのフランス法人への捜査を始めていたという流れをうけての説明でした。

企業体は、自社内の人権問題のみならず、取引先で生じた人権問題にも目を配らないといけない時代に入ってきたのです。

次の「8 企業体がどこまで人権に配慮すればよいか悩ましい事例」は、ユーザー側が起こす人権等の権利侵害に配慮しなければならなくなってきたという問題でもあります。

8 企業体がどこまで人権に配慮すればよいか悩ましい事例

SNSなどのプラットフォームサービスにおいては、日々、言論が行われています。twitterやfacebookなどが典型例です。このようなサービスは、これまで世の中に情報を発信する術をもたなかった一般市民が世界に直接情報発信をするために極めて有用なツールとなっています。このようなサービスのおかげで、私たちは、アメリカの大統領がどのような言葉を発したのか、メディアによる編集を経ない生の情報に接することができますし、時に事件事故や戦場といった普通では立ち入れない場所からの生の情報を得ることができます。また、政治的な意見が市民の間の連帯を生み、革命を起こして政権を変えた事例さえあります。

一方で、プラットフォーム上の言論は、憲法に定められた言論の自由によって保障されているわけではありません。その理由は、前回申し上げたとおり、憲法は、私人間、この場合は私企業とユーザーに直接適用されるわけではないためです。要するに、ユーザーは、プラットフォーム上で、市民生活上許される言論であれば、どのような言論をしても許されるとは限らず、憲法は、それを「言論の自由」としては保障してくれません。少なくとも従来の、そして現在における主流の考え方は、このようなものです。

したがって、このようなプラットフォーム上の言論の適否、強制的に削除されるか否か、アカウントが停止されるか否かは、専ら、運営する私企業とユーザーとの間に成立する契約(利用規約に基づくことがほとんどです。)と、それを運用して実際に適用する当該私企業の判断に、委ねられることになるわけです。(ユーザーとしては、運営企業との利用規約に反する運用がされたとして裁判所などで争うことは可能ですが、実際に実行しようとすると弁護士費用の負担など様々なハードルが予想されます。)

ある意味、プラットフォーマー(プラットフォームを運営する企業)は、自分の気に入らない言論を規制することもできるし、全てを放置することもできるわけです。とはいえ、後者に関して、著作権侵害などの明白な不法行為を放置するプラットフォーマーは大手では希少になっています。不法行為の放置に違法性がないとは断言できないということも背景にはあるでしょう。

今年、アメリカの大統領を退職したばかりのトランプ前大統領のtwitterアカウントが運営によって凍結されるということがありました。トランプ前大統領は、大統領時代からそのツイートに「誤解を招く恐れある」や「暴力賛美」などの警告が付されることがありました。一私企業が、大統領の発する言論に、評価を付した状態にしたり、発信手段を止めたりできる、という時代が到来したことを意味するわけです。

今のところ、twitter側の運営は一定程度fairで公正であると社会の大多数が考えていると思われ、現状の運用が是認されている風潮があります。しかしながら、プラットフォーマーが、民族主義的に偏向したり、似非科学に傾倒して、社会的に是認できない判断基準を有してしまった場合に、同じように、「プラットフォーマーの運営方針」ということで、片づけられない事態になるかもしれません。

憲法上の市民の権利は、インターネット上のプラットフォームで、どこまで考慮されるべきなのか、しかもそれをどのように権利実現されるべきなのか、という議論は、まだ始まったところです。

これで、ベンチャー企業の経営と人権 のシリーズは、一旦、終了です。
人権の問題は、SDGsの問題でもあります。当事務所では、SDGs対応にも積極的に取り組んでおり、人権問題への対応や、社内向けSDGs教育について、ご相談がございましたら、こちらからご質問ください。

(文責:森 理俊)

2021年08月31日 12:41|カテゴリー:ベンチャー・ビジネス||コメントはまだありません

ベンチャー企業の経営と人権  ~ベンチャー企業経営者が人権について理解しておくべきいくつかのこと~ その2

今回は、前回からのシリーズ「ベンチャー企業の経営と人権」です。

前回:
ベンチャー企業の経営と人権
 ~ベンチャー企業経営者が人権について理解しておくべきいくつかのこと~ その1 

5 自由の重要さに濃淡がある


前回、「人権」=「自由」と理解してもらってかまわない、ということをお伝えしました。

では、「人権」=「自由」には、どのような種類のものがあるのでしょうか。何かカタログのようなものがあるのでしょうか。

人権のカタログと呼ばれるものがあります。

それは憲法です。
日本国民にとっての人権カタログは、日本国憲法に記載されています。
日本国憲法の第三章は「国民の権利及び義務」というテーマで、日本国民の権利すなわち人権=自由について、列挙されています。

・生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利(第13条)
・選挙権(第15条)
・請願権(第16条)
・思想及び良心の自由(第19条)
・信教の自由(第20条)
・集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由(第21条)
・居住、移転及び職業選択の自由(第22条)
・学問の自由(第23条)
・健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(第25条)
・教育を受ける権利(第26条)
・勤労の権利(第27条)
・勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利(第28条)
・財産権(第29条)
・裁判所において裁判を受ける権利(第32条)

といった具合です。他にも列挙されていますが、主だったものを挙げてみました。

小学校の社会の授業や中学高校の公民の授業で聞いたことのあるものも少なくないと思います。40代以上の世代では、昔、CMで「職業選択の自由 あははん~♪」という歌詞が流れていたことを思い出される方もいるかもしれません。

このように、日本国憲法には、「人権」=「自由」のカタログが列挙されているのです。

これらはいずれも日本国民の権利です。誰に対する権利かといいますと、国家に対する権利です。国家は、これらを尊重する義務があると定めているのが、日本国憲法です。国家は、これらの自由を尊重する義務を負い、「公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定めています(第13条)。

もちろん、日本国民は、これらの権利を無制限に行使できるわけではなく、「濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」という留保はつきます(第12条)。

いずれにせよ、国家は、国民の自由、例えば、企業経営における営業の自由も、公共の福祉に反しない限り、立法等の手続きを経なければ、尊重しなければならないことになります。


  

ただ、尊重すべき程度には濃淡があります。
ざっくりといえば、政治的自由権 > 経済的自由権 の順に、尊重の程度を変えてよいと考えられています。

特に、生命や身体の自由は最も尊重されるべき人権であるといえますし、営業の自由(経済的自由権)と比較して、思想の自由や表現の自由(政治的自由権)の方が、尊重されるべき程度が高いと考えられています。


   

6 企業体であっても他者の人権を尊重しなければならない

日本国憲法は、日本国民と日本国政府の関係を規律したものですので、国民同士のことについて、大きく論じたものではありません。

とはいえ、自らの権利行使のために、他者の人権=自由を著しく侵害することは許されません。このような議論は、憲法の「私人間効力」と言われることがあります。

   

この点については、最高裁判所の大法廷判決があります。

「私的支配関係においては、個人の基本的な自由や平等に対する具体的な侵害またはそのおそれがあり、その態様、程度が社会的に許容しうる限度を超えるときは、これに対する立法措置によつてその是正を図ることが可能であるし、また、場合によっては、私的自治に対する一般的制限規定である民法1条、90条や不法行為に関する諸規定等の適切な運用によって、一面で私的自治の原則を尊重しながら、他面で社会的許容性の限度を超える侵害に対し基本的な自由や平等の利益を保護し、その間の適切な調整を図る方途も存するのである。そしてこの場合、個人の基本的な自由や平等を極めて重要な法益として尊重すべきことは当然であるが、これを絶対視することも許されず、統治行動の場合と同一の基準や観念によってこれを律することができないことは、論をまたないところである。」(昭和48年12月12日判決。民集27巻11号1536頁)。

   

民間企業であっても、私的自治の範囲で、契約さえすれば、どのような契約を締結しても許されるというものではなく、他者、ここでは特に従業員や取引先の人権=自由を全く尊重しないような振る舞いは許されないと判断されることがあるということです。

例えば、締結済み契約書の中に、奴隷的な拘束を定めた規定があっても、無効とされるばかりでなく、場合によっては、強い社会的非難を浴びることがあるのは、そのためです。

ここでは、ベンチャー企業をはじめとする企業体であっても、従業員や取引先の基本的人権を全く尊重しないような振る舞いは許さないこと、その場合の人権の内容には濃淡があることを理解していただければ、十分であると思います。

次回は、企業体が人権を尊重すべき典型事例を取り上げる予定です。

(文責 森 理俊)

2021年07月30日 23:15|カテゴリー:未分類||コメントはまだありません

スタートアップとの事業連携に関する指針

スタートアップ・ベンチャー企業と大企業が、ファイナンスではなく共同開発等の契約形態で関係性を有する事象が徐々に増加しています。このことは、イノベーションの促進等の観点から、非常に望ましく、歓迎されるべきことです。
他方において、企業文化の違いや、事実上の力関係の影響等により、公平性の観点から問題があると評価せざるを得ない契約が締結されるケースが存在することも否定できません。この点に関する実態調査の結果として、公正取引委員会は、2020年11月27日、「スタートアップの取引慣行に関する実態調査報告書」を公表しました。

この報告書に関しては、当事務所の森理俊弁護士が、投資契約書における株式買取請求権の定め方にクローズアップして記事を書いていますので、是非とも、ご一読ください。

上記の報告書では、秘密保持契約(NDA)、技術検証(PoC)契約、共同研究契約、及び、ライセンス契約に関して、問題となる事例が紹介されていました。
これを受けて、公正取引委員会は、これらの問題を改善し、ひいては、「企業連携によるイノベーションを成功」させるため、2021年3月29日、「スタートアップとの事業連携に関する指針」(以下「本指針」といいます。)を公表しました。

本指針では、主に、秘密保持契約(NDA)、技術検証(PoC)契約、共同研究契約、及び、ライセンス契約について、類型ごとに、具体的な問題事例を紹介し、問題の背景及び解決の方向性について記載されています。
例えば、NDAに関しては、「NDAを締結しないままにスタートアップが営業秘密の開示を要請される」といった問題事例を紹介し、同事例が独占禁止法で禁止する優越的地位の濫用に該当し得ることを指摘したうえで、解決の方向性として、スタートアップ内部における重要情報の整理、及び、秘密保持リテラシー向上のための施策紹介等が示されています(ここでは、一部のみを、ごく簡単に紹介するにとどめますが、できれば、本ブログで、それぞれの類型について紹介したいと思っています。)。

本指針は、秘密保持契約(NDA)、技術検証(PoC)契約、共同研究契約、及び、ライセンス契約の各類型について紹介した後に、「その他(契約全体等)に係る問題について」として、スタートアップが顧客情報の提供を要請されてしまう場合や、支払いを遅延されてしまう場合等についても言及されており、大変、充実した内容となっていますので、ご興味のある方は、是非とも、ご一読ください。

(文責:藤井宣行)

2021年07月29日 19:43|カテゴリー:ベンチャー・ビジネス,企業法務||コメントはまだありません

ワクチン休暇

新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐり、河野規制改革担当大臣は、2021年5月13日、経団連に対し、働く人が接種しやすい環境を整えるため、産業医による職場での接種や「ワクチン休暇」の導入などの検討を要請しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210513/k10013028031000.html

これを受けて、経団連は、2021年6月1日、「新型コロナウイルスワクチン接種に関する緊急提言」を公表し、その中で、「各企業における職域接種の実施に加え、従業員や従業員の家族がワクチン接種を受けやすいよう、休暇の取得促進等、就業環境の整備を行う。」として、ワクチン休暇について言及しています。

個別の企業においてワクチン休暇を導入したという報道や、企業による公表も、随時、されています。

https://www.calbee.co.jp/newsrelease/210527b.php

では、ワクチン休暇とは、何でしょうか。現時点で、ワクチン休暇を導入していないけど、導入を検討している企業もあると思いますので、少し、検討してみたいと思います。

まず、「ワクチン休暇」というものは、法律上明記されているものではありません。したがって、ワクチン休暇を導入しないことが、ただちに、違法(労働基準法違反等)になるというわけでは、ありません。

ワクチン休暇を導入している企業は、「従業員や従業員の家族がワクチン接種を受けやすいよう、休暇の取得促進等、就業環境の整備を行う」こと、ひいては、集団免疫の獲得等、社会公共の健康や安全を目的として、自主的に、ワクチン休暇を導入していることになります。

年次有給休暇を消化して、ワクチンを接種することを推奨する企業もあるようです(なお、年次有給休暇の消化は、基本的に従業員の自由ですので、企業がワクチン接種のために、強制的に消化させることは違法となる可能性が高いと考えます。)。

他方、年次有給休暇が減ってしまうのであれば、ワクチン接種を控えるという判断をする方もいるという前提で、ワクチン接種を推奨するために、年次有給休暇とは別に、特別休暇として、有給扱いで、ワクチン休暇を導入している企業も多いように思います(報道されるのは大企業が多いですから、中小企業を含めた場合に、日本に存在する企業数に対する割合として、「多い」か否かは定かではありません。)。

この場合、雇用契約や就業規則との整合性についても注意しましょう。就業規則等で、「会社が必要と認めたとき」等に、特別休暇を付与するといった条項があれば、これを適用することが考えられます。仮に、こういった規定がなければ、就業規則等を改定して、特別休暇に関する規定を追加することも考えられます。

また、ワクチン休暇の利用期限、回数、副反応が出た場合や同居の家族の接種に付き添う必要がある場合に特別休暇を付与するか否か、付与するとして何日までとするか等についても検討すべきでしょう。

このあたりは、上記のようなワクチン休暇の導入趣旨だけでなく、当該企業の組織構成や財務基盤等とのバランスにも配慮しながら、制度設計をする必要があるでしょう。

なお、厚生労働省が「職場や周りの方などに接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをすることのないようお願いいたします。」としているように、ワクチン接種は、あくまでも個人の任意の判断に基づくべきものですので、将来の紛争を予防するためにも、ワクチン休暇を導入するに際しては、この点についても留意したいところです。

(文責:藤井宣行)

2021年07月27日 17:03|カテゴリー:ベンチャー・ビジネス,企業法務||コメントはまだありません

ベンチャー企業の経営と人権 ~ベンチャー企業経営者が人権について理解しておくべきいくつかのこと~ その1

1 はじめに

 企業経営において、人権は、どのように関わっているのでしょうか。
 最近では、『人権デューディリジェンス』などという言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。
  「人権」と いえば、企業のリスクやコスト構造といった側面でとらえられることが少なくありません。
 また、経営者目線では、人権は「労働者の権利」という形で表れることがあるため、企業経営を圧迫するものと把握されてしまうこともあるでしょう。
 しかし、実は、企業の経営は、「人権」や「自由」という制度に支えられて、守られていることも多いのです。

 経営者が、人権について基本的な理解をもつことは、権利や義務といった社会的に普遍的な価値基準についてのバランス感覚を磨くことにつながります。

 そのバランス感覚は、ベンチャー企業の経営に有益です。
 
 そこで、ベンチャー企業の経営と人権について、思うところを少し述べてみたいと思います。

2 ベンチャー企業の経営は「自由」によって守られている

 「人権」という言葉より「自由」という言葉の方が親しみがある人もいるでしょう。
 日本国憲法に定められた「人権」は、自由権のほかに、社会権がありますが、ここでは、ざっくりと、「人権」=「自由」と理解していただいてかまいません。

 企業経営と密接な関係にある「自由」といえば、「営業の自由」です。

 日本国憲法に「営業の自由」という文言はありませんが、22条1項に「職業選択の自由」が定められており、これに内包されていると考えられています。「職業選択の自由」を認めても、「営業の自由」を認めなければ、職業の選択肢が失われるからです。

 営業の自由とは、(諸説ありますが、)自己の選択した職業を遂行する自由と考えられ、また、職業遂行上の諸活動のうち、営利を目指す継続的で、自主的な活動を行う自由であるととらえられたりしています。

 要するに、営利活動は自由に行えるという原則です。

 もちろん、何でもかんでも自由ということではなく、「公共の福祉」による制約を受けます(日本国憲法12条)。そして、国が、その自由を制約する場合には、法律上の根拠が必要ということになります。

 逆に言えば、法律上の根拠がない限り、国家権力との関係では、どのように経営しても自由であり、どのような事業を展開しても自由であるということになります。

 さらに、法律自体が憲法に反するものである場合は、法律自体が無効とされることさえあります(日本で違憲判決は極めて例外的ではありますが、過去に、薬局開設はおおむね100メートルとの距離制限という適正配置規制を定めた薬事法の規定が、憲法22条1項に違反し無効とされたことがあります。最高裁判所昭和50年4月30日判決)。

 

3 数多の例外


 とはいえ、その原則の例外は、少なくありません。

 日本には、業態を規制する法律が沢山あります。資格がないと行ってはならないと定める規制が典型的です。医師法、薬事法、弁護士法、銀行法、信託業法、資金決済法、金融商品取引法、、、、挙げるときりがありません。

 ほかに、資格は必要なくても、法で定めた規範に反すると、ペナルティーを課されるものもあります。刑法を筆頭とする刑罰法規はもちろんそうです。
 他に、個人情報保護法、不正競争防止法、特定商取引法、特許法等の知的財産権に関する法律などです。
 また、民法の不法行為も、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」としており、他人の権利又は法律上保護される利益を侵害することで、損害賠償というペナルティーを課されるといえます。

 そのため、他人の権利や利益を侵害していないかや、法が定めたルールに反していないかをチェックする必要があります。

 ベンチャー企業の経営に法務が必要なのも、ここに理由があります。

4 保護法益と他人の権利との調整

 法規範は、法律上保護すべき利益(保護法益)を守るためか、権利や自由がぶつかったときに、どちらをどのように優先するかという調整のためか、だいたいどちらかの役割をになっています。

 経営上、実現したいことがあっても、保護すべき利益があったり、他人の権利とぶつかったりしたときに、どのような形で、その調整を実現していくか、という役割があるのです。

 例として、経営者が、従業員との雇用契約を解除したい、という自由を実現したくとも、労働者の人たるに値する生活を営むための必要を充たす(労働基準法1条1項参照)という保護法益のため、経営者からは、契約書で定めても、いつでも雇用契約を解除できるようにする自由は制約されています。一方で、労働者には、職業選択の自由があり、そのこととの関係で、使用者との雇用契約の解除は、かなり高い自由度で認められています。

 法は、価値判断として、労働者の職業選択の自由 > 使用者の経営の自由(契約自由の原則)という判断をしているということです。
 法がどのような価値判断をしているのか、それはこの国の基礎となる価値観と、それに基づく法律がどのような価値体系を構築しているか、ということでもあります。
 

次回は、「自由の重要さに濃淡がある。」という点から、話を進める予定です。

(文責:森 理俊)

納税管理人

日本において納税義務を負う個人や法人は、通常、自ら、申告や納付(以下「申告等」といいます。)を行います(代理人として、税理士に依頼して申告等を行う場合も、法的には、当該申告等の効果は、本人である個人や法人に帰属しますので、ここでは、「自ら」行う場合に含めています。)。

しかし、国税通則法第117条第1項では、自己の納税義務について、他人に処理を依頼すべき場合を規定しています(参考までに、末尾に条文を引用しています。)。この処理を依頼される者を「納税管理人」といいます。納税管理人は、日本に住所等を有しない場合等に、定めることを義務付けられています。
したがって、被相続人の最後の住所地が日本にあって、海外居住者(法人を含みます。)に遺贈する場合の当該海外居住者や、日本で納税義務を負担する海外居住者(法人を含みます。)は、日本で、納税管理人を選任する義務を負うことになります。
実務上は、税理士の方に依頼して、納税管理人に就任していただくことが多いように思います。私がスキーム構築をする際に、納税管理人が必要となる場合にも、そのようにしています。

海外に生活の本拠と移す個人の方も増えていますし、日本に子会社や営業所をもたずに日本でビジネスを行う海外企業も多くあります。こういった場合においても、税務面でのコンプライアンスに注意して、法令に違反しないよう注意する必要があります。

国税通則法第117条
1 個人である納税者がこの法律の施行地に住所及び居所(事務所及び事業所を除く。)を有せず、若しくは有しないこととなる場合又はこの法律の施行地に本店若しくは主たる事務所を有しない法人である納税者がこの法律の施行地にその事務所及び事業所を有せず、若しくは有しないこととなる場合において、納税申告書の提出その他国税に関する事項を処理する必要があるときは、その者は、当該事項を処理させるため、この法律の施行地に住所又は居所を有する者で当該事項の処理につき便宜を有するもののうちから納税管理人を定めなければならない。
2 納税者は、前項の規定により納税管理人を定めたときは、当該納税管理人に係る国税の納税地を所轄する税務署長(保税地域からの引取りに係る消費税等又は国際観光旅客税(国際観光旅客税法第十六条第一項(国内事業者による特別徴収等)の規定により徴収して納付すべきものを除く。)に関する事項のみを処理させるため、納税管理人を定めたときは、これらの国税の納税地を所轄する税関長)にその旨を届け出なければならない。その納税管理人を解任したときも、同様とする。

(文責:藤井宣行)

2021年05月31日 07:53|カテゴリー:ベンチャー・ビジネス|タグ: コメントはまだありません

フェムテック①

フェムテック

今回のブログでは、「私のルーティーン紹介」をテーマとして、私が、1週間に1回テニスをしたり、1ヶ月半に1回ヒゲの医療脱毛に行ったり、毎食前に漢方茶を飲んだり、朝晩は洗顔後に化粧水→クリーム→オイルで肌ケアを行なっていることなどを紹介しようと思ったのですが、果たしてニーズがあるのかと立ち止まって考え直した結果、テーマを再選択することにしました。

FemTech(フェムテック)という言葉をご存知でしょうか。

フェムテックとは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語であり、テクノロジーを用いて、女性の健康問題やライフスタイルの課題を解決するために開発された、ソフトウエア、診断キットなどの商品やサービスをいいます。

この言葉は、デンマーク出身の女性起業家であるClueのCEOであるイダ・ティン氏が、自身の開発した月経周期予測アプリへの投資を募るため、使い始めたのがきっかけとなり、2016年ごろから広がってきた言葉であると言われています。

SDGsでは、ゴールの一つとして、「5 ジェンダー平等を実現しよう」が設定され、政治や経済や社会のなかで、何かを決めるときに、女性も男性と同じように参加したり、リーダーになったりできるようにすること、世界中だれもが同じように、性に関することや子どもを産むことに関する健康と権利が守られるようにすること等が達成目標として掲げられています。

そして、その実現のためには、女性のライフステージごとの健康課題(生理、PMS、妊娠と出産、更年期等)が大きな問題となっていることが明らかとなっており、この問題の解決においてフェムテックが重要な役割を果たすこととなります。

フェムテック市場で先行する欧米では、前述のイダ・ティン氏が2013年に立ち上げたドイツの月経管理アプリのClueや、アメリカ発で従業員向けに雇用者負担で卵子凍結などの不妊治療を提供するCarrot Fertility、骨盤底筋を鍛えるトレーニングデバイスやウェアラブル搾乳機などを開発販売するイギリスのElvieなど、さまざまなプロダクトやサービスが登場しています。アメリカのリサーチファームFrost&Sullivanの調査によると、2025年にはフェムテックの市場規模は5兆円になると言われています。

国内においても、女性も男性と同じように参加する社会に進化するにつれ、働く女性たちの健康問題をプライベートなことと片付けず、組織として配慮する企業が増えてきています。これまでは、女性特有の健康問題については職場ではタブー視され、置き去りにされてきましたが、女性の力を最大限に発揮してもらうため、「フェムテック」を活用して心身状態の改善を図ろうとする企業の取り組みが始まっています。

国内におけるフェムテック関連のサービスやプロダクトとしては、生理日予測アプリや女性ヘルスケアサービスを展開するMTIの「ルナルナ」、妊活コンシェルジュサービスの「ファミワン」、ホルモンの郵送検査キット「canvas」、デリケートゾーンケア製品をEC販売する「Mellia」、不妊治療データを統計的に解析し検索できる「cocoromi」、更年期の症状のオンライン相談サービスを提供する「TRULY」などが挙げれられます。

今後も女性活躍が推進されていく中で、フェムテックはさらに注目を集める分野であると考えています。もっとも、女性活躍の推進の大前提として、女性の健康問題を、単に女性だけの問題とするのではなく、男性が女性の健康に関する正しい知識を持ち、理解を深めることが重要であると考えます。

今後もフェムテックに関する動きや具体的な事例、課題について取り上げていく予定です。

(文責:三村雅一)

2021年05月19日 10:43|カテゴリー:未分類||コメントはまだありません

押印廃止と電子契約

在宅勤務・リモートワークの浸透と歩調を合わせて、契約書を始めとする各種の文書に対する押印の廃止・省略も進められています。2021年1月19日付け日本経済新聞電子版によれば、河野太郎規制改革相が、行政手続きで必要な押印を99%以上廃止できたと述べたとされています。

契約書に関しては、日本では、従来、紙媒体で印刷したものに、記名または署名と、押印をするという実務が一般的でした。では、そもそも、契約書に押印をしていたのは、どうしてなのでしょうか。

契約は、契約当事者間の申込みの意思表示と、承諾の意思表示が合致することによって成立します(民法第522条第1項)。契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備する必要はありません(同条第2項)。

したがって、法律上、契約の成立には、押印は必要とされていません。

では、契約書への押印は、まったく無意味な行為かというと、そうではありません。

民事訴訟法第228条第1項は、「文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。」と規定しています。成立が真正であること、というのは、作成名義人が真実の作成者であることを意味します。簡単にいえば、偽造ではなく、文書に文書の作成者として記載されている人が、当該文書を作成しているということです。この文書の成立の真正が証明できなければ、その文書は、民事訴訟において、証拠として役に立ちません。

この点に関し、民事訴訟法第228条第4項は、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定しています(「本人・・・の押印」の意義や、推定の構造に関しては、いろいろと面白い議論等があるのですが、ここでは省略します。)。

このように、法律上、偽造ではない、真正に成立した文書であることを推定してもらうために、契約書に押印しているのですね。

では、電子契約の場合には、この成立の真正について、どうするのでしょうか。

この点についても、法律上、きちんと手当がされています。すなわち、電子署名及び認証業務に関する法律(いわゆる「電子署名法」)第3条で、「電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。」と規定しています。

「本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)」が行われていれば、真正に成立したものと推定されるのですね。

そうすると、「本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)」とは何か、ということになります。

この点については、総務省、法務省及び経済産業省が、「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A(電子署名法3条に関するQ&A)」を公表しており、ここで詳しく解説されています。ご興味のある方は、ぜひ、ご一読ください。

https://www.meti.go.jp/covid-19/denshishomei3_qa.html

なお、実務上、現在、標準的に利用されている電子契約サービスは、サービス提供事業者名義で電子署名が付され、その上で、「当該措置が利用者の意思に基づいていることが明らか」で、「当該サービスが十分な水準の固有性を満たしていること(固有性の要件)」を満たす形で、「サービス提供事業者が利用者の指示を受けてサービス提供事業者自身の署名鍵による暗号化等を行う電子契約サービス」として提供されていることが多いです。

今も、さまざまな企業において、DXを推進させ、紙の撤廃・押印の撤廃を進められています。その中で、私も、職務上、企業のご担当者が、「何を、どこまですべきか」について、悩まれている場面を目にすることがあります。まずは、上記のように、そもそも契約書に押印されていた背景について正しく理解することが、正しい取り組みに近づくために重要であると感じています。

(文責:藤井宣行)

2021年04月28日 10:08|カテゴリー:ベンチャー・ビジネス,企業法務||コメントはまだありません

【随想】スタートアップ企業から相談を受けるときに想うこと

スタートアップ企業から相談対応を専業としている弁護士として、相談を受けるときに意識していることがいくつかあります。

1つは、相談者への回答内容が、経営者の意思決定に有用であることです。

私たちは、私たちからの回答が「なるほど。Aという決断をすれば、Xというリスクがあり、Bという決断をすればそのリスクがない代わりに、Aのメリットが得られないのだな」「であれば、今回は、Xというリスクは許容するのでAという決断をしよう」といった経営判断が可能なように、有用な回答を提供しようと努めています。回答を受け取った方が、「なんだか難しいなぁ。」「で、どうすればよいか、イマイチよくわからないなぁ」ということにならないようにしたいと考えています。

ただ、このように有用な回答を行うというのは、言うは易く行うは難いものです。
特に、経営判断においては、他の経営的な要素が強く関係しますので、必要な材料を提供するには、十分なコミュニケーションが必要です。しかも、私たちが把握した法的リスクの程度を、平易な日本語で且つ誤解の生じない形で表現しなければなりません。
実際には、メールで回答しつつ、口頭で補足するということも、少なくありません。

もう1つ意識していることは、Aという方策が検討されている場合に、よりリスク回避的で同程度の効果が実現できる施策はないか、という点に考えを巡らせるようにしている点です。

スタートアップ企業と取引先において、何らかの揉め事がある場合に、その揉め事を正面から解決することが有用な場合もありますが、揉め事を何らかの方法で回避又は終了させつつ、別の方策で揉め事解決と同様の状態を実現するということがないか、常に考えています。ここで具体的な揉め事に触れることは難しいのですが、例えば退職者の株式の株式譲渡や株価算定で争いがある場合に、スタートアップ企業が実現したい状態に持っていくには、「その退職者との交渉」以外の解決策が見つかる場合があります。そういった全くの別ルートが発見できないか、日々頭を巡らせているのです。

スタートアップ企業は、常に「挑戦」しています。
そして、その「挑戦」には、常に不明確さが伴います。私たちの仕事の1つは、その不明確さ=リスクに見合った挑戦であるのか、そのリスクをできる限り回避することを念頭に置きつつも、まずはスタートアップ企業の経営者や担当者にとってリスクを正確に把握できる状態にすることではないかと考えています。

(文責:森 理俊)

2021年04月01日 11:53|カテゴリー:企業法務||コメントはまだありません

帳簿の保存と電子化対応

請求書や納品書等の帳票類の保管について、いかがされていますでしょうか。

法律の規定としては、各種の税法に、帳票類の保管に関する規定がおかれています。例えば、法人税法第126条第1項、法人税法施行規則第59条で、青色申告の承認を受けている内国法人について、7年間の帳簿書類の保管義務を定めています(ご参考に、文末に、条文を引用しています。)。

このため、大量の帳簿書類の詰まった段ボール箱を、倉庫等に保管されている会社も多いのではないでしょうか。

これらの帳簿書類について、紙媒体ではなく、電子データで保管することが許容される場合があることについて、ご存知でしょうか。「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」という名称の法律(いわゆる電子帳簿保存法)が、平成10年に施行されています。当該法律の目的は、第1条で、「この法律は、情報化社会に対応し、国税の納税義務の適正な履行を確保しつつ納税者等の国税関係帳簿書類の保存に係る負担を軽減する等のため、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等について、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)その他の国税に関する法律の特例を定めるものとする。」とされています。

簡単にいえば、電子データでの保存を認めて、負担を軽減しようということですね。意外に早くから、デジタルトランスフォーメーション(DX)っぽいことが行われていたのですね。

国税庁も、「はじめませんか、帳簿書類の電子化!」ということで、令和元年ですが、帳簿書類の電子化を推奨しています。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0018004-061_01.pdf

帳簿書類の電子化については、少し、制度が複雑で分かりにくい部分があるのですが、国税庁のウェブサイトで、詳細に説明されていますので、ご参考ください。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07/01.htm

同法は、平成10年の施行の後、数回の改正が行われていますが、直近では、令和2年10月に、改正法が施行されています。

https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei20/nouzei.html

同改正には、PDF等の形式で、請求書等について、印刷せずにデータのままで保存する場合、従来は、タイムスタンプの付与が必要とされていましたが、ユーザーが自由にデータを改変できないシステム等を利用している場合には、タイムスタンプの付与を不要とする点等が、含まれています。

帳簿書類の電子化を有効活用して、帳簿書類の保管に要していた費用、労力、スペース等の削減について、ご検討されてはいかがでしょうか。

法人税法

(青色申告法人の帳簿書類)

第百二十六条 第百二十一条第一項(青色申告)の承認を受けている内国法人は、財務省令で定めるところにより、帳簿書類を備え付けてこれにその取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない。

2 納税地の所轄税務署長は、必要があると認めるときは、第百二十一条第一項の承認を受けている内国法人に対し、前項に規定する帳簿書類について必要な指示をすることができる。

法人税法施行規則

(帳簿書類の整理保存)

第五十九条 青色申告法人は、次に掲げる帳簿書類を整理し、起算日から七年間、これを納税地(第三号に掲げる書類にあつては、当該納税地又は同号の取引に係る国内の事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地)に保存しなければならない。

一 第五十四条(取引に関する帳簿及び記載事項)に規定する帳簿並びに当該青色申告法人の資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成されたその他の帳簿

二 棚卸表、貸借対照表及び損益計算書並びに決算に関して作成されたその他の書類

三 取引に関して、相手方から受け取つた注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し

2 前項に規定する起算日とは、帳簿についてはその閉鎖の日の属する事業年度終了の日の翌日から二月(法第七十五条の二(確定申告書の提出期限の延長の特例)の規定の適用を受けている場合には二月にその延長に係る月数を加えた月数とし、清算中の内国法人について残余財産が確定した場合には一月とする。以下この項において同じ。)を経過した日をいい、書類についてはその作成又は受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から二月を経過した日をいう。

3 第一項各号に掲げる帳簿書類のうち次の表の各号の上欄に掲げるものについての当該各号の中欄に掲げる期間における同項の規定による保存については、当該各号の下欄に掲げる方法によることができる。

一 第一項第三号に掲げる書類(帳簿代用書類に該当するものを除く。)のうち国税庁長官が定めるもの

前項に規定する起算日以後三年を経過した日から当該起算日以後五年を経過する日までの期間

財務大臣の定める方法

二 第一項各号に掲げる帳簿書類

前項に規定する起算日から五年を経過した日以後の期間

財務大臣の定める方法

4 前項の表の第一号の上欄に規定する帳簿代用書類とは、第一項第三号に掲げる書類のうち、別表二十に定める記載事項の全部又は一部の帳簿への記載に代えて当該記載事項が記載されている書類を整理し、その整理されたものを保存している場合における当該書類をいう。

5 国税庁長官は、第三項の表の第一号の規定により書類を定めたときは、これを告示する。

6 財務大臣は、第三項の表の各号の規定により方法を定めたときは、これを告示する。

(文責:藤井宣行)

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