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ベンチャー法務の部屋

インターネット上の表現をめぐる法的問題

1 はじめに

近時、テレビに出演していた方が、インスタグラム等のSNS上で、一般の不特定多数の者から、テレビ番組の内容に関連し、誹謗中傷を受け、急逝したとされる報道がありました。

この報道後、ネット上の誹謗中傷への規制強化が法整備によって進めるべきという論調が高まり、実際、そのような動きがあるとのことです。

このニュースでは、さまざまに考えさせられることがありました。
その中で、今回、民間のSNS等のプラットフォーム上でなされた表現への規制について、論点を整理し、SNS事業者がとるべき姿勢についても若干の考察を加えてみたいと思います。

2 表現の自由に対する規制

表現の自由は、日本国憲法第21条第1項に明示的に保障されています。したがって、誹謗中傷と評価されうるようなものであっても、これを規制するには、それ相応の合理性が必要であり、また、その合理性の中身も類型化等の議論が十分になされる必要があり、安易に理由があるからといって表現への規制を強めてよいというものではありません。

実際の、表現への規制としては、(ここでは、公権力によるものか、民間のプラットフォーム事業者によるものかを区別しないとすると)

内容面に注目すれば、
・他の権利を侵害するものへの規制(名誉、プライバシー権等への権利侵害行為や犯罪行為などの他、運営の妨害を導くものやウイルスプログラムの送信行為など)
・いわゆるパターナリスティックな制約(わいせつ表現規制、児童ポルノ規制など)
・政治的社会的に不適切と考えられている類型の表現への規制(人種や障碍の有無等への差別用語の規制等)
・社会的利益への配慮から生じる規制(営業的表現への景観配慮の観点からの規制など)
が考えられ、

方法面について、分類するとすれば
・公権力による規制か、民間事業者による規制か
・公権力による規制の中で、直接規制(さらに表現内容規制や表現内容中立規制か)か、民間事業者によるプラットフォーム運営を規制することによる規制か
・ 民間事業者による規制の中で、純粋な自主規制か、いわゆる共同規制(法令や行政指導などで一定の枠づけを行い、事業者がその範囲内で自主的な規制を行う場合)
・事前規制か事後規制か(公権力による規制と民間事業者による規制のいずれでも生じる。)
・刑事罰か民事上の損害賠償請求、差止請求、削除請求か
等の分類方法が考えられるでしょう。

「事前規制」は、従前、新聞、雑誌その他の出版物や放送等の表現物がその自由市場に出る前に抑止するような場合が想定されていますが、いわゆるアーキテクチャによる規制も、この事前規制に含まれるでしょう。 アーキテクチャによる規制は、何らかの主体の行為を誓約し、またはそれを可能にする物理的・技術的構造によって規制することであり、インターネット関係では、一定の用語や画像について、入力したり、アップロードしたりすることをできなくする仕組みが取り入れられています。児童ポルノブロッキングが典型例と言えます。

これらの区分は、ざっくりとしたものであり、必ずしも、憲法学等で議論されている厳密な分類ではないことは、ご了承ください。

今、議論されているのは、発信者情報開示をよりスムーズにできるようにするという議論は、 民間事業者によるプラットフォーム運営を規制すること等の方法で、事後的な、民事上の損害賠償請求、差止請求、削除請求や、刑事告訴等を、よりスムースに行うことで、 名誉棄損等を減らそうというものになると分類できるでしょう。

3  SNS事業者がとるべき姿勢

2017年1月31日のグーグル検索結果削除請求事件の最高裁決定を深掘りすることは、ここでは重いテーマですので、他に委ねますが、今もって、検索結果の削除を含め、ネット上の情報の削除義務を課すとは、法的にどのように理解すればよいか、については、はっきりしていない部分があり、今後の議論にゆだねられている問題であるように思われます。

一つ言えるのは、自主的な アーキテクチャによる規制や削除が過度であるとして、違法と評価されている例はないと思われる反面、SNS事業者が放置した表現については、(それがある程度、表現の自由として保護されるとしても)その後に、削除要請への自主的対応や発信者情報開示等への対応もあり、それ相応の手間と社会的配慮が必要になります。

実際上は、
・利用規約における禁止事項への反映
・アーキテクチャによる規制
・削除要請・退会要請のプラットフォーム
・「ブロック」機能等の充実
・ 利用規約等における開示要請への対応への同意取得
などが考えられるでしょう。

SNS事業者は、 その規模の拡大とともに、積極的に、上記の方策を導入しつつ、具体的に規制対象とすべき内容をどのようなものとすべきか、という点について、社会情勢を踏まえて、検討をし続けるということは、今後、ますます求められていくだろうと思われます。

4 その他

一部の意見では、匿名による表現は、表現の自由の埒外とすべき、といった議論も見受けられます。しかし、そもそも何をもって、匿名というのか、という議論は難問です。しかも、匿名というだけで、一切、表現の自由の埒外とすることは、表現の自由への規制としては、過度に広範ではないかと思われ、さらに、実際に、例えば、SNS事業者は、匿名での発言を禁じる旨の規定を利用規約に置き、これに違反するものを発見した場合は、退会させないといけない等といった、間接規制を設けたとしても、どれほど実効的に防げるのかは、別の問題として浮上してくると思われます。

さらに、従前からある別の問題として、日本国憲法第21条第2項で「 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 」と定められていることをうけて、電気通信事業者は、「電気通信事業者の取扱中に係る通信は、検閲してはならない。」(電気通信事業法第3条) 「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。」 (電気通信事業法第4条第1項) として、検閲の禁止や、通信の秘密を守る義務が課せられています。このことと、SNS上のコミュニケーションに対する直接規制、特にダイレクトメール等の内容に基づいて規約違反等として、強制的に退会させることやアーキテクチャによる規制が、どの程度許されるのかといった論点は、難題であり、ここでは、取り上げきれない問題として残っていると思われます。

以上、本稿は、筆者の個人的見解であって、所属するS&W国際法律事務所その他の団体を代表する見解や意見ではないことを、ご了解ください。

参考文献:曾我部真裕著『インターネット上の表現をめぐる法的問題について』(「司法研修所論集2019(第129号)」(司法研修所)45頁以下)、芦部信喜著「憲法第五版」(岩波書店)

(文責:森 理俊)

2020年06月27日 13:35|カテゴリー:ベンチャー・ビジネス||コメントはまだありません

ベンチャー企業(非上場企業)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス)に対応するための株主総会運営について その3

これまでコロナ禍下での株主総会運営について、2度取り上げました。

「ベンチャー企業(非上場企業)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス)に対応するための株主総会運営について」

「ベンチャー企業(非上場企業)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス)に対応するための株主総会運営について その2」

今回は、これまでの情報の更新を踏まえて、以前にご紹介した内容をアップデートします。

第1 省庁から発出された情報の更新状況


1 株主総会に関する法務省・経済産業省から発出されたものが更新されています。
「ベンチャー企業(非上場企業)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス)に対応するための株主総会運営について その2」の作成時点である2020年4月6日から、「株主総会運営に係るQ&A」も更新されています。

また、法務省は、 令和2年5月15日、 令和2年2月28日付け「定時株主総会の開催について」を更新しました。 

「商業・法人登記事務に関するQ&A」も、令和2年5月1日に更新されています。

2  「株主総会運営に係るQ&A」の更新内容
「株主総会運営に係るQ&A」(令和2年4月2日 経済産業省 法務省(令和2年4月14日更新)(令和2年4月28日最終更新))

更新された内容の主な点は、「株主等の健康を守り、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために株主の来場なく開催することがやむを得ないと判断した場合には、その旨を招集通知や自社サイト等において記載し、株主に対して理解を求めることが考えられます。」という部分です。
要するに、 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、オンラインのみでの開催がやむを得ないとの判断は、適法と判断される可能性があると考えられ、その際には、株主総会招集通知や自社のウェブサイトで、丁寧に理解を求め、参加方法や議決権行使などを案内することが望ましいと考えられる、というものです。
従前だと、結果的に、会場に事実上株主が出席していなかったとしてもよいという表現であったために、実際の出席は、かなり限定することはできるものの、予め「0人」、すなわちオンラインのみとすることは、難しいというようにも読めました。そのため、出席者を1人に限定し、経営株主が独占するという方法でもよいのか、仮にそうだとして、招集通知に「1人」と記載して、出席できる風を装うのは、ナンセンスではないか、といった疑問が生じたと思われます。そこで、法務省としては、「0人」、すなわちオンラインのみでもよいということを明確にしたのだと推測されます。
なお、これまでと同様、あくまで、法務省の見解ですので、裁判所の判断を拘束するものではない点には留意が必要です。ただ、私見として、裁判所も、これに準じた判断をする可能性は高いと予想します。
これを踏まえると、前回案内した【招集通知の文言の例】に、「当社は、当日、株主総会にお越しになる株主様を●名に限定させていただく予定であり、実際に来場する予定がある場合には、●年●月●日までに、●宛にご連絡ください。」という表現を記載しておりましたが、この部分は、外してもよいということになります。
外出自粛要請の状況も流動的であり、文言をシンプルにする変更もしています。

【招集通知の文言の例】

 さて、今般当社[第●回定時/臨時]株主総会を下記のとおり開催致しますので、ご出席下さいますようご通知申し上げます。また、本株主総会の付議事項の決議には、法令及び定款に基づく定足数を満たす株主のご出席を必要と致しますので、当日ご出席願えない場合は、お手数ながら後記の参考書類 をご検討いただいて、同封の委任状用紙に賛否をご明示賜り、ご捺印の上、折返しご送付下さいますようお願い申し上げます。

 ところで、昨今の、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、当社は、株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保された形でのオンラインを通じた出席を可能とするよう、準備しており、実際の会場への出席はお控えいただくこととさせていただきました。具体的には、当日、~~(URL等のオンライン参加方法)の方法で、ご出席下さい。株主の皆様におかれましては、同感染症への感染拡大防止の観点から、オンラインを通じた出席のみとさせていただくことに、ご理解をいただきますようお願い申し上げます。

(筆者の私案であり、裁判所で適法と認められることを保証するものではありません。)

第2  定時株主総会の開催時期や基準日について


定時株主総会の開催時期や基準日について、法務省のウェブページによると、以下のとおりです。一部、割愛しています。

■■■引用開始■■■

1 定時株主総会の開催時期に関する定款の定めについて
 定時株主総会の開催時期に関する定款の定めがある場合でも,通常,天災その他の事由によりその時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じたときまで,その時期に定時株主総会を開催することを要求する趣旨ではないと考えられます。
 したがって,今般の新型コロナウイルス感染症に関連し,定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には,その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるものと考えられます。なお,会社法は,株式会社の定時株主総会は,毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないと規定していますが(会社法第296条第1項),事業年度の終了後3か月以内に定時株主総会を開催することを求めているわけではありません。
 
2 定時株主総会の議決権行使のための基準日に関する定款の定めについて
 会社法上,基準日株主が行使することができる権利は,当該基準日から3か月以内に行使するものに限られます(会社法第124条第2項)。
 したがって,定款で定時株主総会の議決権行使のための基準日が定められている場合において,新型コロナウイルス感染症に関連し,当該基準日から3か月以内に定時株主総会を開催できない状況が生じたときは,会社は,新たに議決権行使のための基準日を定め,当該基準日の2週間前までに当該基準日及び基準日株主が行使することができる権利の内容を公告する必要があります(会社法第124条第3項本文)。
 
3 剰余金の配当の基準日に関する定款の定めについて
 特定の日を剰余金の配当の基準日とする定款の定めがある場合でも,今般の新型コロナウイルス感染症に関連し,その特定の日を基準日として剰余金の配当をすることができない状況が生じたときは,定款で定めた剰余金の配当の基準日株主に対する配当はせず,その特定の日と異なる日を剰余金の配当の基準日と定め,当該基準日株主に剰余金の配当をすることもできます。なお,このように,剰余金の配当の基準日を改めて定める場合には,2の場合と同様に,当該基準日の2週間前までに公告する必要があります(会社法第124条第3項本文)。

○ 参考情報  

(一部、割愛)
4 「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査及び株主総会の対応について」の公表について
 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会は,令和2年4月15日,「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査及び株主総会の対応について」を公表しました(金融庁ホームページ を御覧ください。)。
 これは,新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて,3月期決算業務及び監査業務に大きな遅延が生じる可能性が高まっていることを踏まえ,通常6月末に開催される株主総会の運営等についての同協議会の考えを示したものです。
 また,続行の決議(会社法第317条)によりいわゆる継続会を開催する場合における留意点等については,「継続会(会社法317条について) 」【PDF】も御覧ください。

5 新型コロナウイルス感染症に関連した商業・法人登記における取扱いについては,「商業・法人登記事務に関するQ&A 」を御覧ください。

6 令和2年5月15日,会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令(法務省令第37号)が公布され,同日から施行されました(本省令の内容はこちら【PDF】)。本省令は,新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ,本省令の施行の日から6か月以内に招集の手続が開始される定時株主総会に限り,単体の貸借対照表や損益計算書等をいわゆるウェブ開示によるみなし提供制度の対象に含めることとするものです。
 本省令の内容等については,「会社法施行規則及び会社計算規則の一部を改正する省令(令和2年法務省令第37号)について」【PDF】も御覧ください。  
■■■引用終わり■■■

6は、時限的に、単体のBS及びPLなどがウェブ開示によるみなし提供制度の対象になるという話であり、非上場企業で、そもそもウェブ開示していないということであれば、関係ないでしょう。

(文責:森 理俊)

民法改正に伴う個人保証の保護の拡充(1)

2020年4月1日から改正民法が施行されています。
この改正民法の施行に向けて契約書のレビューのご依頼を頂くことが多くありました。
今回は、改正民法における、個人保証の保護の拡充について紹介します。

改正民法においては、保証人が個人である全ての根保証契約について、極度額の定
めを設けない場合には、当該保証契約の効力が生じないとされました。(民法第465条
の2第2項)
これは、保証人となる時点では,現実にどれだけの債務が発生するのかがはっきりし
ないなど、どれだけの金額の債務を保証するのかが分からないケースにおいて、保証
人の予測可能性を確保し、保証人が予想外の責任を負うといったトラブルを防止する
ことを目的とした改正です。
民法第465条の2第1項では、同項の対象となる保証契約について、「一定の範囲に属
する不特定の債務を主たる債務とする保証契約」であって、「保証人が法人でないも
の」と定められています。この点、後者については、文言から明確ですが、前者につい
てはどのような契約が該当するのでしょうか。
法務省のパンフレットによると
、「(1)子どもがアパートを賃借する際に、その賃料などを大家との間で親がまとめて
保証するケース、(2)会社の社長が、会社の取引先との間で、その会社が取引先に
対して負担する全ての債務をまとめて保証するケース、(3)親を介護施設に入居させる
際に、その入居費用や施設内での事故による賠償金などを介護施設との間で子ども
がまとめて保証するケース」という3つのケースが例として紹介されています。
これに照らすと、賃貸借契約や継続的な取引契約など非常に多くのケースが民法第
465条の2の対象となり、「極度額の定めを設けない場合には、当該保証契約の効力が
生じない」こととなるため注意が必要です。
ちなみに、国土交通省の公表している賃貸住宅標準契約書における連帯保証人の条
項は以下のように修正されています。

——————————————————————————–

「(連帯保証人)
第 17 条 連帯保証人は、借主と連帯して、本契約から生じる借主の債務を負担するも
のとする。本契約が更新された場合においても、同様とする。
2.前項の連帯保証人の負担は、頭書及び記名押印欄に記載する極度額を限度とす
る。
3.連帯保証人が負担する債務の元本は、借主又は連帯保証人が死亡したときに、確
定するものとする。
4.借主は、連帯保証人に対して、本契約に先立ち、下記の事項について正確な情報
を提供し、連帯保証人は同情報の提供を受けたことを確認する。
(1)借主の財産及び収支の状況
(2)主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況

(3)主たる債務の担保として他に提供し、又は提供しようとするものがあるときは、その
旨及びその内容
5.連帯保証人の請求があったときは、貸主は、連帯保証人に対し、遅滞なく、賃料及
び共益費等の支払状況や滞 納金の額、損害賠償の額等、借主の全ての債務の額等
に関する情報を提供しなければならない。」

——————————————————————————–

なお、極度額の定め方については、今後の事例の集積を待つ必要がありますが、保
証人の予測可能性を確保するという改正の趣旨に照らせば、出来る限り特定すること
が望ましいと考えられます。
また、極度額の相場について、国道交通省から、「極度額に関する参考資料」が公表
されていますのでご参照ください。

改正民法の施行後である2020年4月1日以降に締結される賃貸借契約において保証
の定めを設ける場合には、当然極度額の定めを置かなければ保証契約の効力は生じ
ませんが、既に締結している賃貸借契約における連帯保証の条項は改正民法施行後
も有効なのか、同契約が更新される場合にはどうなのか、といった問題は残ります。こ
れらの点については、次回以降検討したいと思います。

当事務所では、契約書のレビューをスポットでご依頼頂くことも可能です。
ご遠慮なくお問い合わせ下さい。


(文責:三村雅一)

2020年05月18日 09:35|カテゴリー:その他||コメントはまだありません

緊急事態宣言と休業手当

新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言が出されたことに伴い、企業では、さまざまな対応をされていることと思います。従業員に関しては、テレワークの導入及び拡大や(当事務所でも、全面的にテレワークを導入しています。)、それにとどまらず、従業員の解雇や自宅待機等に踏み切るケースも散見されます。

従業員を自宅待機とした場合に、休業手当を支払う必要があるのでしょうか。

労働基準法第26条では、次のように定められています。

「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。」

したがって、自宅待機とする場合についても、「使用者の責に帰すべき事由」か否か、すなわち、自宅待機とする理由・原因によって、休業手当の支払義務の有無が異なることになります。

では、緊急事態宣言が出され、休業を要請された事業を運営する会社や、休業要請の対象ではないものの事業を自粛している会社において、従業員を自宅待機させた場合には、休業手当の支払義務はあるのでしょうか。

この点について、弁護士の方が書かれているネット記事等を見ていると、あくまで自粛であることを理由に、使用者側の帰責事由であるとして休業手当の支払義務があるとする考え方、安全に勤務させることができない状況にあること等を理由として使用者側の帰責事由ではなく休業手当の支払義務がないとする考え方など、さまざまな意見があるようです。

ちなみに、厚労省のウエブサイトでは、「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言や、要請や指示を受けて事業を休止し、労働者を休業させる場合であっても、一律に労働基準法に基づく休業手当の支払義務がなくなるものではありません。」と記載されています(他にも説明がありますので、ご興味があれば、一読されることをお勧めします。)。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-4

日本は、三権分立で司法権が独立していますので、最終的には、裁判所の判断を待つことになりますが、企業の状況(テレワークに適した業態か、テレワーク採用の努力をどの程度行ったか等)に応じた、ケースバイケースの判断にならざるを得ないと考えられます。当事務所においても、クライアントからのご相談に対し、個別の状況に応じたアドバイスをさせていただいています。

いずれにせよ、雇用調整助成金の活用や、従業員との十分な対話等を通じ、少しでも、各企業が現在の困難な状況を乗り越えて、成長を続けられることを祈念しています。

(文責:藤井宣行)

2020年04月23日 17:08|カテゴリー:その他||コメントはまだありません

新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言に伴う大阪・神戸での裁判期日について

令和2年4月7日、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発出されました。

これに伴い、現時点(令和2年4月8日現在の情報)で、大阪、神戸の裁判所における期日(口頭弁論期日、弁論準備手続期日、和解期日、調停期日、審判期日及び調査期日等)について、下記の取り扱いが発表されております。当職のもとにも、順次、4裁判所から期日取り消しの連絡が入っています。

大阪、神戸以外の関西圏の裁判所については現時点では期日取消し等の発表はなされていないようですが、今後どのような期日運用となっていくのかについても注視していく必要があります。

【大阪地方裁判所】
大阪高等・地方裁判所、大阪地方裁判所堺支部、大阪地方裁判所岸和田支部及び大阪地方裁判所管内の全ての簡易裁判所において、令和2年4月8日から5月6日までの間に指定されている民事訴訟事件及び人事訴訟事件の期日は全て取り消されました。

【大阪家庭裁判所】
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、政府から大阪府を対象地域とする緊急事態宣言が出されたことを受けて、本日(4月8日)から5月1日までの間、大阪家庭裁判所(支部を含む。)の家事事件(人事訴訟事件を含む。)の期日を原則として取り消すこととしましたので、お知らせします。
なお、期日を取り消した事件については、裁判所から順次通知させていただいているところです。
また、即日審判及び家事手続案内(夜間を含む。)についても、同期間中これを中止します。

【神戸地方裁判所及び神戸家庭裁判所】

4月9日(木)から5月1日(金)までの間、神戸地方裁判所及び神戸家庭裁判所(支部・簡裁・出張所を含む。)において指定されている期日等については、緊急性のあるものを除き、取り消しました。

文責 河野雄介

2020年04月09日 17:58|カテゴリー:その他||コメントはまだありません

ベンチャー企業(非上場企業)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス)に対応するための株主総会運営について その2

前回、「ベンチャー企業(非上場企業)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス)に対応するための株主総会運営について」と題するブログ(前回ブログ)をアップしました。

今回は、その続報を踏まえた対応です。前回から少し状況が変化していますので、ご注意ください。

2020年4月2日付け「株主総会運営に係るQ&A」( 経済産業省・法務省)の内容

経済産業省と法務省は、2020年4月2日、「株主総会運営に係るQ&A」を発表しました。

概要は、以下のとおりです。

  1. 株主総会の招集通知等において、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために出席を控えることを呼びかけることは可能である。その際には、書面や電磁的方法による事前の議決権行使の方法を案内することが望ましい。
  2. 新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、会場に入場できる株主の人数を制限することは可能である。現下の状況においては、その結果として、会場に事実上株主が出席していなかったとしても、株主総会を開催することは可能と考えられる。
  3. 新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、株主総会への出席について事前登録制を採用し、事前登録者を優先的に入場させることは可能である。事前登録を依頼するに当たっては、全ての株主に平等に登録の機会を提供するとともに、登録方法について十分に周知し、株主総会に出席する機会を株主から不公正に奪うものとならないよう配慮すべきと考えられる。
  4. 発熱や咳などの症状を有する株主に対し、入場を断ることや退場を命じることは可能である。
  5. 新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、株主総会の時間を短縮すること等は可能である。

この内容は、裁判所の判断を拘束するものではありませんが、裁判所も、これに準じた判断をする可能性は高いと予想します。

多少私見を含めて、述べるとすれば、ポイントとしては、以下のとおりです。

  • 現在の状況(2020年4月2日現在)であれば、新型コロナウイルスの感染拡大防止に必要な対応をとるために、オンラインのみ出席の株主総会であっても、株主総会の開催として、問題はないと考えられる。
  • オンラインのみ出席の株主総会の場合、書面や電磁的方法による事前の議決権行使の方法を案内することが望ましい。ベンチャー企業の場合は、後述のとおり、書面や電磁的方法による事前の議決権行使の方法が、大変な場合もある。この場合、委任状による議決権の代理行使を強く推薦する方法もある程度、認められるだろう。
  • 株主総会への出席について事前登録制も採用可能であるが、人数制限を課す場合は、株主平等原則に十分配慮する必要がある。
  • 発熱や咳などの症状を有する株主の入場拒否や強制退場、総会の時間短縮など、感染拡大防止や安全配慮のための具体的な危険回避の措置は、問題がない。

なお、「 オンラインのみ出席の株主総会であっても、株主総会の開催として、問題はない 」という場合でも、 株主総会自体は、リアルの場所で開催されたものとし、具体的には、議長のいる場所を、総会の開催場所とする等の前提は必要と思われます。オンライン上の仮想空間やURLを会場を開催場所とすることは、許されないという点は、変わっていません。

ところで、書面による議決権行使(書面投票制度)は、招集通知に際して、株主に対し、株主総会参考書類及び議決権行使書面を交付しなければなりません。小規模なベンチャー企業では、株主総会招集通知とは別に、株主総会参考書類を適法に作成するための人的時間的リソースがないことも少なくありません。 そこで、ベンチャー企業の株主総会を、どのようにするか、ということが問題になります。

なお、議決権を有する株主の数が1000人以上の会社においては、書面による議決権行使を株主に認めるべきことが法律上強制されていますが、ベンチャー企業では、通常、そのようなことがありませんので、書面による議決権行使を採用する必要はありません。

2020年4月2日付け「株主総会運営に係るQ&A」( 経済産業省・法務省) を踏まえたベンチャー企業の株主総会対応

オンラインのみ出席の株主総会の場合、書面や電磁的方法による事前の議決権行使の方法を案内することが望ましいとされています。しかし、ベンチャー企業は、上述のとおり、一般的には、事前の議決権行使の方法を採用しないことが多いと思います。 事前の議決権行使の方法を採用しない 場合は、やはりオンラインのみではなく、建付けとしては、オンライン+リアル総会としつつ、かなり強く、委任状による議決権の代理行使と、オンラインによる出席を、強く推薦するという方法が現実的であろうと思われます。全株主同意を前提とする書面株主総会による方法(前回ブログの2(1))が採用可能である点は、変わりません。

前回ブログでは、「仮にハイブリッド型バーチャル株主総会を実施したとしても、具体的に既に感染している株主であること等の具体的な感染リスクが懸念される等の例外事由がない限り、実際の来場を拒むことは、基本的にできないと考えられます。」と記載しました。
この点は、少し変更になります。すなわち、いわゆる「三密」ではない空間を用意することが難しいこと、外出自粛要請や10 名以上が集まる集会・イベントへの参加を避けることが要請されていること、新型コロナウイルス感染防止拡大、緊急事態宣言が発令されていること等を理由として、オンライン出席や委任状提出を強く促しつつ、株主の入場を数名程度に制限することと通知して、実際に総会会場にリアルに出席を希望する株主には、一定の期日までに連絡してもらい、制限員数を超える場合は抽選にすることとし、招集通知等で、その旨を記載する方法などが考えられます。そのため、招集通知の記載方法次第では、ほぼ事実上、オンラインをメインとした株主総会を開催することはできると考えます。

【招集通知の文言の例】

さて、今般当社[第●回定時/臨時]株主総会を下記のとおり開催致しますので、ご出席下さいますようご通知申し上げます。また、本株主総会の付議事項の決議には、法令及び定款に基づく定足数を満たす株主のご出席を必要と致しますので、当日ご出席願えない場合は、お手数ながら後記の参考書類 をご検討いただいて、同封の委任状用紙に賛否をご明示賜り、ご捺印の上、折返しご送付下さいますようお願い申し上げます。

 ところで、昨今の、新型コロナウイルス感染症拡大の状況並びに政府、地方自治体等からの外出自粛等の要請を踏まえ、当社は、株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保された形でのオンラインを通じた出席を可能とするよう、準備しております。具体的には、当日、~~(URL等のオンライン参加方法)の方法で、ご出席下さい。株主の皆様におかれましては、同感染症への感染防止及び感染拡大防止の観点から、株主総会の会場に実際にお越しになる代わりにオンラインを通じた出席を強くお願い申し上げます。当社は、当日、株主総会にお越しになる株主様を●名に限定させていただく予定であり、実際に来場する予定がある場合には、●年●月●日までに、●宛にご連絡ください。上記制限人数を超過する場合は、抽選などの方法で、来場者を限定させていただく場合がありますので、予めご了承ください。

(筆者の私案であり、裁判所で適法と認められることを保証するものではありません。)

なお、オンラインでの出席を認める場合には、株主総会に、出席の方法として、開催場所と株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されている状況を基礎づける事実(ビデオ会議・電話会議システムの使用等)の記載が必要であるとする点は、前回ブログから変更はありません。

2020年5月29日 アップデート情報があります。
「ベンチャー企業(非上場企業)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス)に対応するための株主総会運営について その3」をご確認ください。

(文責:森 理俊)

ベンチャー企業(非上場企業)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス)に対応するための株主総会運営について

1 はじめに
COVID-19(新型コロナウイルス)への対応について、現時点で、政府・厚生労働省は、下記の要請等があります。

令和2年2月20日(抜粋)
イベント等の主催者においては、感染拡大の防止という観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いします。なお、イベント等の開催については、現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではありません。
また、開催にあたっては、感染機会を減らすための工夫を講じていただくようお願いいたします。例えば、参加者への手洗いの推奨やアルコール消毒薬の設置、風邪のような症状のある方には参加をしないよう依頼をすることなど、感染拡大の防止に向けた対策の準備をしていただくようお願いいたします。

令和2年2月26日(安倍総理)
政府といたしましては、この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請することといたします。

「新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために」(令和2年3月1日版)(抜粋)
イベントを開催する方々は、風通しの悪い空間や、人が至近距離で会話する環境は、感染リスクが高いことから、その規模の大小にかかわらず、その開催の必要性について検討するとともに、開催する場合には、風通しの悪い空間をなるべく作らないなど、イベントの実施方法を工夫してください。

令和2年3月10日(安倍総理)
政府としては、先般決定された基本方針において、イベントの開催の必要性について主催者等に検討をお願いし、またそれを踏まえて、全国規模のイベントについては中止、延期、規模縮小等の対応を要請したところですが、専門家会議の判断が示されるまでの間、今後概ね10日間程度はこれまでの取組を継続いただくよう御協力をお願い申し上げます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00002.html#26
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601720.pdf

この状況を踏まえて、ベンチャー企業(非上場企業)における株主総会の開催方法について検討します。

2 株主総会の実際の開催方法について

(1) 実際の開催を中止して、書面株主総会による方法

株主総会は、決議事項について議案に対する賛否を書面等で問い、総株主の賛成が得られれば、決議が成立したものとみなすことができます(いわゆる書面株主総会。会社法第319条第1項)。株主への報告の通知も、総株主が同意すれば通知で足ります(同法第320条)。したがって、非上場企業で、株主が少ない場合は、この書面株主総会を利用することができます。

これは、決議を行う方法として書面などによる決議方法によることについて総株主の同意を得ることを要求している物ではなく、議案そのものへの同意が必要で、且つ、それで十分です。要するに、会議体としての株主総会を開かないでよいことになります。

【参考条文】
(株主総会の決議の省略)
第319条
第1項 取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
(省略)
第5項 第一項の規定により定時株主総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時株主総会が終結したものとみなす。

(株主総会への報告の省略)
第320条 取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなす。

(2) 株主総会の延期による方法

法務省は、令和2年2月28日付けで「定時株主総会の開催について」(本稿作成時点では、最新は令和2年3月13日更新版)を公表し、概要として、以下のように述べています。

(i) 定時株主総会の開催時期に関する定款の定めがある場合でも、今般の新型コロナウイルス感染症に関連し、定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるものと考えられます。なお、会社法は、株式会社の定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないと規定していますが(会社法第296条第1項)、事業年度の終了後3か月以内に定時株主総会を開催することを求めているわけではありません。

(ii) 定款で定時株主総会の議決権行使のための基準日が定められている場合において、新型コロナウイルス感染症に関連し、当該基準日から3か月以内に定時株主総会を開催できない状況が生じたときは、会社は、新たに議決権行使のための基準日を定め、当該基準日の2週間前までに当該基準日及び基準日株主が行使することができる権利の内容を公告する必要があります(会社法第124条第3項本文)。

(iii) 特定の日を剰余金の配当の基準日とする定款の定めがある場合でも、今般の新型コロナウイルス感染症に関連し、その特定の日を基準日として剰余金の配当をすることができない状況が生じたときは、定款で定めた剰余金の配当の基準日株主に対する配当はせず、その特定の日と異なる日を剰余金の配当の基準日と定め、当該基準日株主に剰余金の配当をすることもできます。なお、このように、剰余金の配当の基準日を改めて定める場合には(ii)の場合と同様に、当該基準日の2週間前までに公告する必要があります(会社法第124条第3項本文)。

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00021.html

ただ、「定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況」というのは、判断が難しいのが実際であろうと思われます。
特に、書面株主総会や、後述するオンライン参加での株主総会等も考えられますし、延期したとしても、いつ、現在のような状況が終息するか、まだわかりません。そのため、ベンチャー企業では、株主総会の延期は、現実的な選択にはならないのではないでしょうか。

(3) いわゆるハイブリッド型バーチャル株主総会

経済産業省は、2020年2月26日付けで「「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を策定しました」を公表しています。

ハイブリッド型バーチャル株主総会とは、取締役や株主等が一堂に会する物理的な場所で株主総会(リアル株主総会)を開催する一方で、リアル株主総会の場に在所しない株主がインターネット等の手段を用いて遠隔地から参加/出席することができる株主総会をいう、とのことです。

株主のバーチャル参加を認めるにあたっては、zoomやgoogle hangout meets 等の動画配信を行う web サイト等にアクセスするためのURL(ID、PW) を招集通知等と同時に通知する方法や、既存の株主専用サイト等を活用する方法などが考えられます。

参加型の場合、インターネット等の手段を用いて参加する株主は、会社法上、株主総会において株主に認められている質問(法 314 条)や動議(法 304 条等)を行うことはできないと考えられます。しかし、株主総会の会議中にインターネット等の手段による参加株主からコメント等を受け付けたり、回答したりすることは、否定されていないと考えられます。

https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200226001/20200226001.html

なお、仮にハイブリッド型バーチャル株主総会を実施したとしても、具体的に既に感染している株主であること等の具体的な感染リスクが懸念される等の例外事由がない限り、実際の来場を拒むことは、基本的にできないと考えられます。(2020年4月6日追記:この点を変更し、「オンライン出席や委任状提出を強く促しつつ、株主の入場を数名程度に制限することと通知して、実際に総会会場にリアルに出席を希望する株主には、一定の期日までに連絡してもらい、制限員数を超える場合は抽選にする」方法は、可能と考えます。詳細は、ベンチャー企業(非上場企業)におけるCOVID-19(新型コロナウイルス)に対応するための株主総会運営について その2をご覧ください。)

また、会社法上、株主総会の招集に際して株主総会の場所を定めなければならないとされている(会社法第298条第1項第1号)ことなどに照らすと、物理的な会場を明確にしないで株主総会の開催すること、すなわち、オンライン上の仮想空間やURLを会場を開催場所とすることは、許されないと考えらえます。

3 議決権の行使

ベンチャー企業(非上場企業)の多くでは、議決権行使は、委任状等で代理権を授与する代理人による議決権行使をする方法が用いられています。
ほかに、書面投票制度(会社法第311条)や、電子投票制度(会社法第312条)も考えられますが、ベンチャー企業(非上場企業)は、株主数が比較的少なく、委任状で賛否を確認することが可能ですので、委任状よりもコストがかかりうる、これらの制度が用いられることは、それほど多くないと思われます。

なお、上記のハイブリッド型バーチャル株主総会でも、その置かれている状況により、インターネット等の手段を用いて審議を傍聴した株主が傍聴後に議決権を行使することを可能にするような選択肢を検討することも考えられます。この点、会社法第298条第1項第4号、同法施行規則第63条3号は、同法施行規則第70条が、「出席しない株主」のための電磁的方法による議決権行使の期限を株主総会の日時以前の時と定めているのは議決権行使結果の集計に係る会社の便宜のためであり、会社の判断で採決に入る時まで事前の議決権行使を受け付けることを会社法が許容していないとは考えにくいとして、同施行規則 63 条 3 号ハにいう「株主総会の日時以前の時」とは株主総会における採決時以前の時と解すこととなり、取締役が事前に電磁的方法による議決権行使の期限を株主総会における採決時と定めた場合には、中継動画等を傍聴した株主が、その様子を確認した上で議決権行使を行うことも可能とする考えは、ありうるものといえます(「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」9頁参照)。ただ、この考え方は、確定した判例や裁判例によるものではない点にご留意ください。

仮に、株主や取締役がオンラインで出席した場合の議決権行使、議事録については、以下のように考えられます(相澤哲、葉玉匡美、郡谷大輔編著「新・会社法 千問の道標」(商事法務)472頁)。

(i) 株主総会の開催場所と株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されているといえる環境にあるのであれば、個々の株主が、インターネットを使って株主総会に参加し、議決権を行使することは可能である。
(ii) 議決権の行使は、電子投票(298 条 1 項 4 号)ではなく、その株主が招集場所で開催されている株主総会に出席し、その場で議決権を行使したものと評価されることとなる。
(iii) 株主総会議事録には、株主総会の開催場所に存しない株主の出席の方法を記載する必要がある(施行規則 72 条 3 項 1 号)。同号は「株主の所在場所及び出席の方法」等という規定を置いているわけではなく、株主の所在場所は議事録に記載することを要しない。ただし、出席の方法としては、開催場所と株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されている状況を基礎づける事実(ビデオ会議・電話会議システムの使用等)の記載が必要である。

また、オンライン等の手段を用いた「出席」として提供する以上、会社は、株主総会において株主に認められた議決権行使を初めとする諸権利の行使に係るリアル株主総会との違いについて、事前に説明を行うなど、適切な対応を行う必要があります。

加えて、ベンチャー企業では、あまり考えられませんが、具体的に、株主のなりすましや議決権行使の脅迫等の可能性が存在するのであれば、これらの点には、ご留意下さい。

4 取締役・監査役等のオンラインでの出席

取締役・監査役の出席は、総会における決議成立の要件ではなく、また、出席義務を定めた規定もありません。一方で、取締役、会計参与、監査役及び執行役は、原則として、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならないという説明義務があります(会社法第314条)。

したがって、株主総会において、取締役・監査役等が、株主総会の開催場所と当該取締役・監査役等との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されているといえる環境にあり、それぞれの説明義務を果たすことができるのであれば、オンラインでの出席は、認められると考えられます(筆者私見)。

但し、議長は、株主総会の秩序を維持し、議事を整理する権限を有する者であり(会社法第315条第1項)、ベンチャー企業であっても、特段の事情がない限り、株主総会の開催場所に実際にいる必要があると考えます(筆者私見)。

5 規模縮小などの対応策

実際の開催にあたっては、規模縮小への対応策や、総会当日の感染防止策等が必要になります。

具体的には、(a)事前の議決権行使の推奨、(b)オンライン(ハイブリッド型バーチャル)株主総会の実施におけるオンラインでの出席への誘導、(c)お土産の廃止、(d)株主懇親会等のイベントの中止、のほか(e)、関係者のマスク着用や(f)アルコール消毒液の設置、(g)発熱があるや体調が悪い方に来場を控えてもらう、といった一般的な対策及びその告知等が考えられます。

6 実際のバーチャル株主総会実施の動き

上場企業でも、いわゆるバーチャル株主総会が実施されつつあるとのことです。

■■■引用開始■■■
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中企業の間で大勢の株主が参加する株主総会をどう開催するかが課題になっています。感染を防ぐため株主が自宅からインターネットを通じて総会に出席する新たな動きが始まりました。
■■■引用終わり■■■

■■■引用開始■■■
新型コロナウイルスの感染拡大で大勢の人が集まるイベントの自粛が広がる中、ソフトウエア開発を手がける「富士ソフト」は13日、ネットも活用してバーチャル株主総会を開きました。

東京・千代田区の会場のほか、ネットからも出席できるようにし、株主はアプリを操作して総会の議案の賛否を表明していました。
■■■引用終わり■■■

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200314/k10012330981000.html

(文責 森 理俊)

2020年03月17日 15:42|カテゴリー:企業法務,法務関連ニュース||コメントはまだありません

スタートアップ企業が陥りがちな法務の失敗 その1 ~株式関連編~

 

1 スタートアップ企業が陥りがちな法務の失敗

Twitterをみていると、「スタートアップ企業が陥りがちな法務の失敗」というテーマでの投稿がありました。

今回、私も経験から、スタートアップ企業が陥りがちな法務の失敗を、お伝えします。

シード期は、まずサービスをローンチすることや、売上を上げること、ユーザーを増やすこと、資金を調達すること、人材を集めることに、集中しますので、法務は疎かになりがちです。法務に避けられる予算にも限りがあります。サービスが始まらないのに、法務も何もないというのが、正直なところでしょう。

そこで、シード期の法務は、ひとまず、失敗すると後から挽回することが困難になる可能性高いものを、主として留意することをお勧めします。

「失敗すると後から挽回することが困難になる可能性高いもの」とは、何か。

ずばり、株式関連と、知的財産権です。

2 株式関連で気をつけるべき点

シード期に株式関連で気を付けるべき点は、
① 創業者間のシェアと離脱時の約束
② 初期の第三者割当増資のシェアや株価
③ ストックオプションの割当個数
④ 投資契約や株主間契約、種類株式の不利な条件
⑤ 株主名簿の管理

あたりです。

① 創業者間のシェアは、1/2ずつや1/3ずつにしないことが原則です。まず、最終的に意思決定できないシェア割は避けるべきです。また、意見が割れたときに、2:1となり、少数派が生まれる三頭政治のような体制も経験上失敗事例が多いです。

基本的には、中心となっている人物(起業を志した者など)がマジョリティを有して、できれば、IPOより前までの資金調達を経た後でも、過半数を維持できる程度は、あった方が良いでしょう。

また、株式を保有する主要メンバーが、後から何らかの理由で離脱することは、あり得ます。その場合に、離脱者が株式全部を保有し続けることは、良くありません。離脱後の株主価値の上昇分にフリーランチすることになりますし、実務上、社外の、株主総会招集通知の送り先が1つ増え、さらに、議決権の行使の予想が不安定にもなります。加えて、M&Aの際には、反対株主として株式取得請求権を行使されるかもしれません。
そこで、創業者間でも、株主間契約を締結し、離脱時の譲渡の約束や、強制売却義務を、設定することがオススメです。昨今では、創業者間株主間契約を、定めることが増えてきたと実感します。

② 初期の第三者割当増資は、シェアを出しすぎないこと、株価を適正にすることが大原則です。株価は、低すぎても駄目ですが、高すぎても、次のファイナンスに悪影響を及ぼすことがあります。

③ ストックオプションも同じで、初期に出しすぎると、後から入ってくる有用な人材に、十分な量を用意できないということがあります。

④ 投資契約、株主間契約、種類株式の内容には、要注意です。特に、事前承諾事項や種類株主総会決議事項のほか、金銭を対価とする取得請求権などは、慎重に検討を要します。他にも、表明保証条項の内容や株式買取請求権の条件など、理解できない場合や、相場感がわからない場合、納得できない場合、どのような影響がでるか予想できない場合には、応じるべきではありません。

⑤ 株主名簿は、よくエクセルで、現在の個数のみを記載して管理されている例をみかけます。しかしながら、会社法上、株主名簿は、(i) 株主の氏名又は名称及び住所、(ii) 前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)、(iii) 第一号の株主が株式を取得した日、(Iv)  株式会社が株券発行会社である場合には、第二号の株式(株券が発行されているものに限る。)に係る株券の番号、を記載しなければなりません(会社法121条)。

私の経験上、(i)株主の住所と、(iii)株主が株式を取得した日の記載がないものが、散見されます。株主ごとに、いつ、どのような理由で、誰から何株を取得したのか、を明記した方がよいでしょう。具外的には、備考欄に、「●年●月●日 第三者割当増資●株取得」「●年●月●日 ●氏から株式譲渡により●株取得」などと記載して、現在の合計株数とは別に、その来歴をすべて記載するようにしましょう。

次回は、知的財産権で気をつけるべき点をお伝えします。

文責 森理俊

譲渡制限株式の株式譲渡の手順(買取請求がある場合を中心に)

今回は、譲渡制限株式の株式譲渡の手順のうち、買取請求がある場合を中心に解説します。

なお、これまでも、以下のブログで、譲渡制限株式の株式譲渡に触れていますので、これらもご参考にしてください。

「株式譲渡の手続を確実に進めるために」

「株式譲渡契約に関する注意点(1)」

 

1 譲渡制限株式の株式譲渡
具体的に、以下の段取りで進めます。
(1) 株式譲渡契約の締結(譲渡人・譲受人間)
(2) 譲渡承認の請求(譲渡人(原則)から発行会社に対して。会社法第136条)
(3) 承認決定決議(発行会社にて。定款記載の譲渡承認機関による承認決定決議。会社法第139条第1項)
(4) 承認決定の通知(発行会社→承認請求者。会社法第139条第2項)
(5) 株主名簿の名義書換請求(譲渡人・譲受人→発行会社。会社法第133条)
(6) 株主名簿の名義書換(発行会社にて。会社法第121条)

2 買取請求がある場合の流れ
では、譲渡承認の請求をしているものの、会社が譲渡を認めない見込みの場合には、承認請求者は、買取請求をするか否かを選択することになります。

その場合の流れを整理しましょう。

上記1(3)の承認決定決議ではなく、譲渡否認決議が生じることになります。

買い取り請求がある場合は、
(a) 譲渡否認決議(会社法第139条第1項)
(b) 譲渡否認通知(会社法第139条第2項)(譲渡請求から原則2週間以内。会社法第145条第1号)

【発行会社が買う場合】
(c) 株主総会決議(会社法第140条第1項、第2項)。
(d) 供託(会社法第141条第2項)
(e) 買取通知(発行会社から。会社法第141条第1項)(譲渡否認通知から原則40日以内。会社法第145条第2号)、供託書面交付(会社法第141条第2項)
(f) 売買価格決定協議(会社法第144第1項)
(g) 裁判所への売買価格決定申立期間(20日。会社法第144第2項)

【指定買受人を指定する場合】
(c)’ 取締役会決議(取締役会設置会社ではない場合は株主総会の決議。定款に別段の定めがある場合は、定款の定めによる。会社法第140条第4項、第5項)
(d) ’ 供託(会社法第142条第2項)
(e) ’ 買取通知(指定買受人から。会社法第142条第1項)(譲渡否認通知から原則10日以内。会社法第145条第2号)、供託書面交付(会社法第142条第2項)
(f) ’ 売買価格決定協議(会社法第144条第7項、第1項)
(g) ’ 裁判所への売買価格決定申立期間(20日。会社法第144条第7項、第2項)

買取者の一部を指定買取人、残りを発行会社にて、買うという方法も可能です。ただ、供託も複数必要になります。

売買価格は、申立てがあれば裁判所により決定された金額となり、申立てがなければ1株当たり純資産額が売買価格となります(会社法第144条第4項、第5項、第7項)。

3 買取請求の実際
買取請求は、譲渡承認請求とともにする必要があります。

譲渡承認請求は、口頭でも、書面でも、電子メール等電磁的方法でも、可能です。
ただ、以下のイからハまでの内容が明確にされている必要があります。
イ 譲り渡そうとする譲渡制限株式の種類・数
ロ 譲り受ける者の氏名又は名称
ハ 会社が承認(請求された株式譲渡の承認)をしない旨の決定をする場合において、貴社または指定買取人が譲渡制限株式を買い取ることを請求するときはその旨

譲渡承認請求の受領日は、譲渡否認通知の期間制限(譲渡請求から原則2週間以内)の起算点にもなりますので、上のイからハまでの内容を明確にしつつ、会社法に定められた譲渡承認請求であることを明記した方がよいでしょう。受信の有無について争われないようにするためには、内容証明郵便で送付するのが最も安全と言えます。

会社側は、会社法に定められた譲渡承認請求であるか否かが不明確な請求を受け取った場合は、直ちに、それが、会社法に定められた譲渡承認請求であるか否かを問い返した方がよいでしょう。

(文責:森 理俊)

2019年12月25日 10:59|カテゴリー:企業法務||コメントはまだありません

種類株式の実務的争点(3) 議決権

これまで、種類株式の実務的争点として、(1)で残余財産分配優先を、(2)で配当優先を、取り上げてきました。

今回は、種類株式における議決権について、実務的な争点を検討します。

【目次】
1 残余財産分配優先 ~種類株式の実務的争点(1)~
(1) 種類株式の必須項目
(2) 標準は、払込価額(&調整条項)+参加型
(3) 定款変更案では「株式取得時の1株あたりの払込金額」と記載することは避けた方がよい
2 配当優先 ~種類株式の実務的争点(2) ~
(1) 種類株式の標準項目
(2)  標準的な定め方は、特定された金額(&調整条項)+参加型+非累積
(3)  「株式取得時の1株あたりの払込金額」と定めることは避けた方がよい
(4) 上記以外の配当優先の定め方
(5) 配当の性質とスタートアップ企業の配当方針
3 議決権 ~種類株式の実務的争点(3)<今回> ~
(1)  議決権に関連する会社法の規定
(2)  ベンチャー投資で利用される種類株式の議決権についての実務
(3)  投資契約書等の事前承諾事項と、定款の種類株主総会決議事項の違い
(4)  スタートアップ企業への投資における他の事例

【目次・終わり】

 

(1) 議決権に関連する会社法の規定(1) 議決権に関連する会社法の規定

株式会社は、種類株式の内容として、「株主総会において議決権を行使することができる事項」(会社法第108条第1条第3号)や「株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの」(会社法第108条第1条第8号)について、異なる株式を設計することができます。
他に、会社法第199条第4項、会社法第200条第4項、会社法第238条第4項又は会社法第239条第4項によって、必要とされる種類株主総会決議を不要とする旨や、会社法第322条第2項に基づき同条第1項の規定による種類株主総会の決議を要しない旨を定款で定めることができます。

(2)  ベンチャー投資で利用される種類株式の議決権についての実務

実務上、VCからスタートアップへの投資では、議決権については、特に種類株主総会決議事項を定めず、特別の定めを置かないか、置くとしても「A種優先株主は、当会社株主総会において、A種優先株式1株につき1個の議決権を有する。」程度の規定を置くスタイルが多数派であるように思います。
種類株主総会決議事項が活用されることが少ないことの理由としては、VC側として、事前にVCの承諾を得て欲しい事項であっても、投資契約書か株主間契約書で、事前承諾事項として定めておけば、スタートアップへの実務的な拘束としては十分という判断があるように思います。

(3) 投資契約書等の事前承諾事項と、定款の種類株主総会決議事項の違い

契約書で、事前承諾事項として定める方法と、種類株式の内容として、種類株主総会決議事項として定める方法の違いは、前者は、いわゆる債権的効力しかないのに対し、後者は、決議が不存在の場合に会社法上無効であるということがあります。
後者(定款の種類株主総会決議事項)は、ある意味、効力が強すぎて、手続が手落ちになってしまうと、無効であり、たとえ種類株主であっても、意思表示のみで、遡及的に有効にすることは難しいからです。手続のミスがあると、登記もとおらないでしょう。
前者(契約書の事前承諾事項)では、債権的な効力しかありませんので、後から手続がミスで手落ちであっても、契約当事者が事後的でも承諾すれば(承諾が得られれば、ですが)、基本的に問題なく、手続が進んで行きます。加えて、事業会社が、意図的に、予め契約書で、事前承諾事項として定めて合意をしていたのに、VCの承諾を得なかった場合のサンクションは、日本の投資実務では、ほとんどのケースで株式買取請求権の発動です。株式買取義務は、かなり重いサンクションですので、抑止力として機能しているのでしょう。

(4) スタートアップ企業への投資における他の事例

議決権に関する定めとして、私が体験してきたものについて、上記の他には、①事業会社(上場企業)からの投資で、連結させたくない、持分法適用会社にしたくない等の理由で、無議決権にするパターン、②エンジェルからの投資で、シェアも大きくないので、個々の総会決議に、毎回反応するのが面倒である(発行会社側に負担をかけたくない)という理由で、(個人でありVCファンドのようにLPへの説明責任もないこともあって)無議決権でよいというパターン、③種類株主のシェアがそれなりに大きく、投資した金額やバリュエーションもそれなりに高いため、種類株主総会決議事項を定めるパターン、④募集株式や募集新株予約権の発行の手続を簡便にするために、普通株主を構成員とする種類株主総会の決議を不要とするパターンが、それなりに見かけます。

議決権は、その後のオペレーションにもかかわるところであり、会社の支配権や企業再編などの意思決定にかかわるところでもありますので、ベンチャー投資を専門に扱う弁護士と相談の上、設計されることが望ましいです。

 

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