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国際法務の部屋

「東南アジア・インドにおけるスタートアップ投資の現状と日本企業への提言」について

これまで、経済産業省が海外M&Aに関連してまとめた報告書について、下記のブログでご紹介してきました。

 

「我が国企業による海外M&A研究会」報告書(平成30年3月 経済産業省 )について(その1)

 

「我が国企業による海外M&A研究会」報告書(平成30年3月 経済産業省 )について~その2

 

海外M&Aにおいて法務担当役員に期待される役割 ~「9つの行動」別冊編のご紹介

 

その後、経済産業省は、上記の海外M&Aに係る取組から得られた知見も踏まえつつ、近年成長が著しい東南アジア・インドにおけるスタートアップ投資に焦点を当てた委託調査を行い、日本企業が東南アジア及びインドのスタートアップ投資に取り組む際の課題・提言等の整理を行い、2020年5月に「東南アジア・インドにおけるスタートアップ投資の現状と日本企業への提言」を公表しました。

同報告書では、

  • 東南アジアでは中国企業等から、インドでは米国企業等からの投資が増加しており、こうした国々の企業と比較して、日本企業の存在感は決して高くないとの声もある。今後も、他国企業との競争環境は益々厳しくなるものと予想されており、日本企業にとって、アジアの成長に貢献し、現地スタートアップのパートナーとしての地位を築いていくことが重要である。
  • 東南アジアやインドにおけるスタートアップとの協業は、高い成長性が期待される一方、不確実性も高く、短期的な結果が得られないことも多い、いわば長期的で過酷な挑戦である。こうした取り組みだからこそ、長期的な視野に立って、自社の成長戦略の実現のために「なぜ投資をするのか?」という目的を明確化し、それに合致したスタートアップの探索や投資実行、投資後の関与のあり方等を検討し、必要な体制等を整備していくことが重要である。

という問題意識から、調査対象国をシンガポール、インドネシア、ベトナム、マレーシア、タイ、フィリピンの7か国に絞り、

  • スタートアップ投資の市場規模
  • スタートアップの特徴
  • スタートアップ・エコシステムの状況
  • 今後の見通し

について調査・報告を行っています。

我々の事務所のメインドメインである、ベンチャー法務と国際法務が交錯する報告書であり、全編にわたり大変興味深いのですが、約140頁ものボリュームがある内容となっていますので、本ブログでは、法務面に関連のある「4.2 新興国におけるスタートアップ投資に取り組むに当たっての前提」をご紹介します。

同パートでは、通常のM&Aとの比較に基づいたスタートアップ投資の特性として、下記の4点を挙げています。

  • 不確実性が極めて高く、成功確率が低いハイリスクハイリターン型であり、 積極的なリスクテイクが必要である
  • 事業の安定性よりも、事業の成長性を重要視することが多い
  • 個別案件への限定投資に留まらず、複数企業に対するポートフォリオ投資により、総体としての投資リターンを追求する
  • 資金調達プロセスなどの時間軸が短期間(数週間)で進行する

さらに、先進国投資と比較した新興国投資の特性として、下記の点が挙げられています。

  • 新興国の社会インフラが未整備であることや商習慣・文化の違いなどに 起因して、各国固有の社会的課題が存在し、それら課題解決を目指すスタートアップの起業機会が豊富(先進国の社会的課題とは相違)
  • 現地法制・規制変更が唐突かつ頻繁に行われる等、先進諸国に比較して 高いカントリーリスクが存在し、スタートアップや投資家も対応が求められる
  • 現地有力企業(例:財閥系企業)の存在感が極めて大きいことも

そして、新興国スタートアップへの投資は、上記の2つの特性を意識することが必要であると結論付けるとともに、上記の二つの特性についての具体的配慮事項がまとめられています。

たとえば、スタートアップ投資の特性のうち、時間軸が短時間で進行するという点については、

 

通常の M&A であれば、入念な準備に時間をかけ、DDを通して買収対象となる企業に関するリスクをしっかりと精査し、リスクへの対処方法も検討した上で意思決定を行うことが多い。このようなM&A ディールは、スケジュールありきで進めることは得策ではなく、自らの判断軸に照らし合わせた冷静な意思決定が求められる。一方で、スタートアップは、通常の M&A で対象となる企業と比較すると、様々なリスクを抱えながら事業を推進していることが多く、かつ、通常M&Aと同じようにDDを行うための各種資料は整備されていない。投資家としては、リスクを粒さに洗い出してどのように対処するかを精査しだすと、自社が納得できるだけの DD の成果は得られないばかりか、多くの時間を費やしてしまい、投資そのものが難しくなってしまう。スタートアップ投資におけるDDでは、リスクの網羅的な検出を主眼とせず、特に Early Stage のスタートアップへの投資においては、将来の成長ポテンシャルの大きさやビジネスモデル上の優位性、及びそれらの成長に導きうる経営チームを構築できているか(またはできそうか)に力点が置かれることが一般的である。もちろん、成長に向けた阻害要因・リスクについては慎重な検討を要する場合もあるが、最終的にあらゆるリスクを解消することはできず、一定のリスクを許容する投資姿勢が重要となってくる。例えば、VCが実施するDDは短期間で実施され、通常のM&Aで事業会社が行うDDとは、分析の粒度や視点が異なっていることを理解しておく必要がある。そのようなVCの行動特性もあって、スタートアップの資金調達に参加できる機会を得た場合でも、通常は1ヵ月前後での迅速な意思決定を求められることが多く(Early Stage であるほど短く、Later Stage であるほど検討時間を確保できる傾向にはある)、既に他の投資家の検討が進んでいる場合は数週間で意思決定を求められる場合もある。特に、Early Stage のスタートアップの場合では、資金調達プロセスが速いスピードで進行し、各 Round での投資スケジュールについていくためにも迅速な意思決定が必要となる。また、有望なスタートアップであればあるほど、投資を希望する多数の投資家が集まり、投資競争は激化しがちである。このような中では、起業家(またはリードインベスター)側のペースでRoundが進んでいくため、ますます制約された時間と情報の中での意思決定が求められる傾向が強い

 

とされており、大変参考になるとともに、実務経験からも共感する部分が多いです。

 

また、二つ目の特性である、先進国投資と比較した新興国投資の特性に関する配慮事項として、

 

現地独自の法制・規制も存在し、ビジネスモデルを評価する上で、それらに対する基本的な理解が必要となることも、新興国における投資の特性の一つである。加えて、それらの法制・規制が突然変更となることもあり、更に、それらの変更の一部は、自国企業による産業振興を目的として、自国外の企業にとっては不利益となるようなものである可能性もある。そのような、いわゆるカントリーリスクは、現地でのスタートアップ投資にも一定程度の影響があるため、それらに対する理解・対応力も必要となってくる。

との記載があり、こちらも大変参考になります。こちらは、当該国の弁護士と密接に連携しながらしっかりとした調査・確認を進めていくべきポイントであると考えます。

 

弊所では、ベンチャー法務及び国際法務の分野での豊富な実務経験に加えて、ASEAN諸国に拠点を有するケルビンチアパートナーシップとの業務提携により、新興国スタートアップへの投資をサポートさせていただくことが可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

文責 河野雄介

 

2020年09月08日 09:21|カテゴリー:

ASEAN法務

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新興国、スタートアップ、投資

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中国における広告規制

今回のブログでは、中国の広告に関する法規制を紹介します。

広告に関する法規制としては、まず、広告法が存在します(条文の日本語訳がJETROのウェブサイトで紹介されています。

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/regulation/regulation20150424.pdf)。

中国特有の表現が用いられている条文としては、第3条があり、「広告は、真実で、合法的で、健全な表現形式により広告内容を表現し、社会主義精神文明の構築及び中華民族の優秀な伝統文化の発揚に関する要求を満たさなければならない」と規定されています。

 

実務においては、第9条が規定する使用禁止用語が重要です。同条では、「中華人民共和国の国旗、国歌、国章、軍旗、軍歌、軍の記章を使用する、又は形を変えて使用する。」こと(第1号)、「国家級、最高級、最良等の用語を使用する。」こと(第3号)、「国家の尊厳又は利益を損ね、国家秘密を漏洩する」こと(第4号)、「社会の安定を妨害し、社会公共の利益を損ねる」こと(第5号)などが禁止されています。

このほかにも、多くの規制が設けられていますので、関係するビジネスをされている方は、一度、条文に目を通されることを、お勧めします。

 

広告法の規制に違反した場合には、行為態様に応じた罰金や、営業許可証の取消しといったサンクションが規定されています。

上記の禁止用語の表現からは、該当性について明確に判断することが困難なケースもありますので、慎重に、対応することが必要です。

 

 

また、広告法のほかに、インターネットを用いた広告に特化した規制として、インターネット広告管理暫定規則が存在します。同規則では、一定の場合に、電子メールに広告又は広告リンクを貼ることを禁止するなど(第8条第3項)、実務上、注意すべき規制が多く規定されています。同規則に違反した場合には、広告法の罰則規定が多く引用されていることから、広告法と同様、同規則についても、慎重な対応が必要です。

 

 

なお、広告法及びインターネット広告管理暫定規則に関連して、2018年にロシアにて開催されたサッカーワールドカップの際、ピッチ横の看板に、スポンサー企業であるHisense(中国名:海信)の広告文語「海信电视 中国第一」が表示され、中国国内の視聴者も、看板に記載された広告を目にすることになりました(このような状態は、ワールドカップに限らず、多くのスポーツ中継等で、目にするようになっています。)。

このような広告について、中国法令である広告法やンターネット広告管理暫定規則が適用されるのかについて、中国内で、議論になりましたが、明確な結論は出されていません。また、私の知る限り、国外での上記のような広告について、中国当局が、何らかのペナルティーを課したということも、ありません。しかしながら、理論上は、適用可能性が存在すると思われますので、特に中国内に拠点を有する企業や、中国内でのビジネスを行っている企業としては、今後の動向に注意する必要があるでしょう。

 

(文責:藤井宣行)

2020年08月24日 09:26|カテゴリー:

中国法務

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中国、広告

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中国における商標権侵害判断基準の公布

中国の知的財産権局は、2020年6月15日、商標権侵害判断基準(以下「本基準」といいます。)を制定・公布しました(以下のサイトで、原文が公開されていますので、ご参考までに引用します。http://www.cnipa.gov.cn/gztz/1149656.htm)。

 

これまでは、商標権侵害については、商標法及び商標法実施条例等を参照しつつ、判断していました。しかしながら、判断基準が必ずしも明確ではなかったことから、結論を導くことが困難なケースも多くありました。

 

本基準は、第1条から第38条までで構成され、商標権利侵害の判断における重要基準を、リストアップする形式で規定されています。

その内容についても、商標法及び商標法実施条例等と比較して、具体性・明確性が増していますので、実務上の重要な指針となると思われます。

例えば、本基準第3条では、「商標権の使用」について、「商標を、商品、商品の包装、容器、サービス提供場所または取引書類に用い、もしくは、商標を広告宣伝、展示又はその他の商業活動において用い、もって、商品またはサービスの出所の識別に用いる行為」であると定義しています。

この内容については、これまでも、商標法第48条で、ほぼ同内容の規定が存在しましたが、本基準では、この定義をさらに細分化して定義しています。例えば、第4条で「商標を、商品、商品の包装、容器、サービス提供場所または取引書類に用いる」という規定について、商品の説明書や販売契約書等に用いること等を含むことが明記されています。さらに、第5条では、「サービス提供場所または取引書類に用い」るという規定について、従業員の衣服やメニュー表等に用いること等を含むことが明記されています。」。

 

このように、本基準では、これまでよりも、具体的かつ明確な基準が多く規定されていますので、今後、取引実務において、参考にする価値が大いにあると考えます。

 

当事務所では、「中国語(中文)契約書サービス」(https://www.swlaw.jp/axis-china/)として、各種の契約書について、日本語・中国語間の翻訳、中国語で作成された契約書のリーガルチェック、中国語での契約書の作成等のサービスを提供しています。

当該サービスにおいては、ライセンス契約やOEM契約等、商標権に関係する契約類型についても対応していますので、従来の契約書の修正や、新たな契約の締結等に際し、是非とも、ご利用ください。

 

(文責:藤井宣行)

2020年07月29日 09:47|カテゴリー:

中国法務

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中国、商標

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オンラインセミナー 「SDGsのチャンスとリスク」のご案内

2015年に国連で採択されたSDGsSustainable Development Goals、持続可能な開発目標)は、2030年に向けた国際社会の共通の目標として、新型コロナウイルスを経験した世界において、改めて認知されているところです。

日本企業においては、ESG投資家やコーポレートガバナンス・コードへの対応から、「本業を通じてどのようにSDGs達成に貢献するのか」について関心が高まっています。しかし、日本企業が中国を含む、海外の主要拠点において、SDGs達成のためにどのような取り組みを行い、どのように現地のサステナビリティに貢献し、そのSDGs達成のための取り組みをどのようにビジネスチャンスとしているのか等について、詳しい情報はあまり知られていないのが実情です。

 そこでこの度、オンラインセミナーにより下記の情報発信をさせて頂きます。

202086日(木)・オンラインセミナー】
SDGsのチャンスとリスク』

[主 催]
株式会社日本総合研究所、S&W国際法律事務所
[後 援]
三井住友銀行(中国)有限公司 深セン支店
[講 師]
河野雄介、三村雅一(S&W国際法律事務所 パートナー弁護士)
村上 芽((株)日本総合研究所 創発戦略センター シニアマネジャー)

<主な内容>
第一部 「ビジネスで貢献するSDGs」(60分/質疑応答含む)
第二部 「リスクを削減するためのSDGs~SDGsに関する国際法務の最新動向及び具体的取り組み事例」 (60分/質疑応答含む)

セミナーの詳細:オンラインセミナーのご案内(SDGsのチャンスとリスク)

■ご参加をご希望の方は、こちらより登録をお願い申し上げます。

 

2020年07月21日 16:31|カテゴリー:

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中国における個人情報安全規範の改正

日本においては個人情報保護法の改正(2020年6月12日公布)がなされましたが、中国では、2020年3月6日、「情報安全技術個人情報安全規範」が公布され、2020年10月1日より施行されます。この個人情報安全規範は、あくまでガイドラインに過ぎず、法的効力があるものではないものの、2017年6月1日に施行されたネットワーク安全法を補足する重要な実務指針として機能するものと考えられています。

たとえば、ネットワーク安全法では、「ネットワーク運営者は、個人情報の収集、使用にあたり、合法、正当、必要の原則に従い、収集、使用に関する規則を公開し、情報を収集し、使用する目的、方式及び範囲を明示し、かつ情報収集対象者の同意を得なければならない」と規定しています(同法41条)が、具体的に、情報収集対象者からどのように同意を取得すればよいのかは規定されていません。

この点、個人情報安全規範では、明示的な同意について、電子形式による同意表明も同意であると定めています。また、情報収集対象者(個人情報主体)が情報収集されることを告知された後にも情報収集が行われるウェブページ等のエリアを離れないことをもって黙示的な同意とする等の規定もあります。このように、個人情報安全規範では、同意の取得方法についても一歩踏み込んだガイドラインとなっています。もっとも、実際の運用上、「情報収集されることの告知」をウェブページ上どのように行うのか、どのように情報収集対象者が「ウェブページのエリアから離れない」ことを立証(記録)するのかなど、さらに検討すべきポイントが残されているようにも思います。

このほかにも、個人情報安全規範では、個人の生体認証情報(指紋、虹彩、遺伝子等)を収集するに当たっては事前に情報収集対象者の明示的同意が必要となるほか、収集の目的、方法、保存期間等を個別告知しなければならないとの規定があります。

また、個人情報安全規範は、個人情報主体のインターネット閲覧履歴、趣味、消費記録や習慣等の個人情報に基づいて当該個人情報主体に対して情報内容を展示したり、商品やサービスの検索結果を提供する行為を、「個性化展示(Personalized Display)」と定義づけ、個性化展示を行う場合は、個性化展示した内容と、個性化展示していない内容を区別できるように表示しなければならない等の規定を設けています。

個人情報安全規範には、上記にご紹介した以外にも、個人情報の取得に関して重要な指針が規定されているので、中国において個人情報を取得するビジネスモデルを検討しておられる場合には、必ず個人情報安全規範を確認しておいた方が良いと考えます

文責 河野雄介

2020年07月13日 11:28|カテゴリー:

中国法務

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SDGsのロゴ使用

前回のブログ(新型コロナウイルス感染症とSDG

で、令和2年5月12日に開催されたトヨタ自動車株式会社の決算説明会におけるトヨタ社長のお話について紹介しました。

豊田社長からは、ウィズコロナ、アフターコロナの時代に向けて、自身が全身全霊をかけて取り組むこととして、「『誰ひとり取り残さない』という姿勢で国際社会が目指している『SDGs』、『持続可能な開発目標』に本気で取り組むことでもあると考えております。」という話がされました。

町の中でもSDGsのロゴやアイコンを目にする機会が増えてきましたが、ウィズコロナ、アフターコロナの時代においても、引き続き、SDGsに取り組んでいることはその企業の価値判断、投資対象としての判断に際し重大な要素となることから、SDGsへの取り組みはさらに加速することが強く予測されます。

そこで、自分たちの会社がSDGsに取り組んでいることを対外的に示すために、勝手に会社のウェブページにSDGsのロゴを使ってもいいのだろうか、会社の名刺に使ってもいいのだろうか?使用にあたってはどこかから許可をもらう必要があるのか?費用が必要なのか?といったご相談を受けることもあります。

今回は、SDGsのロゴやアイコンを使用するにあたってのルールについて紹介したいと思います。

 

まず、SDGsのロゴやアイコンの検討の前に、「ロゴ使用」一般について触れます。

例えば、自社の信用を上げるために、自社のウェブページにおいて取引企業名とそのロゴを載せる場合、著作権や商標権との関係で問題となり得ます。また、同取引企業との秘密保持契約書の中で、「本取引の存在及び内容その他一切の情報」が「秘密情報」とされている場合等で、当該企業との取引の存在を示すような場合には、取引の存在が明らかとなる「自社のウェブページにおいて取引企業とそのロゴを載せる」ことは契約違反となり得るので注意が必要です。

「ロゴ使用」全般が一般的に制約されるわけではありませんが、ロゴが著作物に該当するのか、その使用方法が商標的利用に当たるのか、といった法的な問題点もあるため、自社のウェブページにおいて取引企業名とそのロゴを載せる場合、取引企業にロゴの使用許可を得るか、弁護士等の法律の専門家に問題がないかを確認した方が安全であると考えます。

なお、企業によっては、「ロゴ使用ガイドライン」を定め、予めそれを公開している企業もあります。

 

それでは、SDGsのロゴ使用についてはどうなっているでしょうか。

SDGsのロゴ使用については、国連がガイドラインを定めています。

ロゴ使用に際して申請や許可が必要なケースは主に2つとされています。

1つ目は、資金調達目的での使用。すなわち、SDGsを支援する活動の費用を賄うための資金の調達を意図する使用を指すとされています。

2つ目は、商業用途での使用。すなわち、SDGsをさらに広めるための営利主体による、または、商業的もしくは販促用商品および/もしくは製品における使用を指すとされています。

このように同ガイドラインでは、SDGsロゴを使用して資金調達をする場合やSDGsロゴを使用した商品を販売する場合という2つの場合には、国連による事前許可とライセンス契約が必要とされています。

しかし、上記以外の使用目的の場合には、使用にあたって基本的に申請も許可も不要とされています。

なお、申請や許可が不要とされる場合であっても、ガイドラインには「やってはいけない」使用方法が定められているため注意が必要です。

例えば、ロゴの色や形を変えることは禁止されています。

また、自社のロゴの横にSDGsのロゴ等を入れる際は細かいルールが定められています。この場合、SDGsロゴ等には「(主体名/私たち)は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています」という文言を添える必要があります。この文言を添えずにSDGsロゴ等と自社のロゴを並べて表示することはできません。

 

当事務所では、今後も広く「SDGs」に関するセミナーを行う予定にしています。規模を問わず、出張セミナー、Webを用いたセミナー等にも対応させて頂きますので、気軽にお問い合わせ下さい。

また、令和2年7月3日(金)13時半~15時、7月10日(金)13時半~15時、7月17日(金)13時半~15時、7月29日(水)13時半~15時の4回にわたり、スタートアップ、中小企業を対象としたウェビナーによる連続セミナーを開催致します。こちらについてもぜひご参加頂けると幸いです。

ウェビナー開催案内

(文責:三村雅一)

2020年06月25日 14:01|カテゴリー:

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中国における民法典の公布

中国における民法の状況については、以前、ブログ「中国で新たに施行された「民法総則」のご紹介」で、言及しましたが、民事に関する基本原則を定めた民法総則が、2017年3月15日に可決・成立し、同年10月1日に施行されました。

これにより、民法総則と、それまでに存在していた民法通則、物権法、担保法、不法行為法、婚姻法、及び、相続法等の関係については、必ずしも明確とはいえない状況が続いていました。

 

そのような状況の中、2020年5月28日、中国初の民法典が公布されました(施行日は2021年1月1 日とされています。)。

この民法典は、総則、物権、契約、人格権、婚姻及び家庭、相続、及び不法行為責任の7編からなるもので、複数の法律で定めるのではなく、日本の民法典と同様、民事法に関する内容を1つの法典に統合したものです。また、民法典の施行に伴い、これまでに存在した民法総則等の各法は廃止され、複数の民事関係法が併存することによる相互の関係性の不明確さは排除されることになりました。また、契約編においては、電子契約に関する規定の整備、予約契約の新設、ファクタリング契約の新設など、ビジネスにおいても影響がありそうな内容も多く含まれています。

今後、これらの内容については、適宜、ご紹介させていただく予定です。

 

当事務所では、「中国語(中文)契約書サービス」(https://www.swlaw.jp/axis-china/)として、各種の契約書について、日本語・中国語間の翻訳、中国語で作成された契約書のリーガルチェック、中国語での契約書の作成等のサービスを提供しています。

当該サービスにおいては、新たな民法典に対応することも可能ですので、従来の契約書の修正や、新たな契約の締結等に際し、是非とも、ご利用ください。

 

(文責:藤井宣行)

中国語で売買取引基本契約を締結する際の留意点

これまで、当事務所では、中国企業と締結する売買取引基本契約書を中国語で作成してほしい、取引の相手方から中国語で提案された売買取引基本契約書をレビューしてほしいというご相談を数多くいただいてきました。

 

まず、中国語での契約に限らず、売買取引基本契約を締結するにあたっては、当方が売主であるか、買主であるかにより、重点的に確認すべきポイントが大きく異なります。

 

一例を挙げると、当方が売主である場合は、瑕疵担保責任(契約不適合責任)や品質保証責任について、可能な限り責任を負う期間を短くできないか、損害賠償の範囲をできるだけ限定(例えば損害賠償の範囲を契約に基づく売買代金の合計額に限定するなど)できないかという観点からレビューやドラフトを行います。他方で、当方が買主である場合は、契約不適合責任や品質保証責任について、可能な限り責任を負う期間を長くできないか、損害賠償額に不当に限定されている条項がないかという観点からレビューやドラフトを行います。

 

また、当方が買主である場合は、売主である中国企業に法令順守義務(環境法制、商業賄賂、労働関係法令)や買主として独自に定めている基準(化学物質使用基準など)を遵守させる義務を負わせる規定を設ける必要がないか、必要がある場合はどのような規定が適切か、義務違反があった場合にどのような効果を定めるかという観点で検討を行います。

 

さらに、今回の新型コロナウイルスの世界的な蔓延によってクローズアップされた不可抗力条項についても要注意です。当方が売主である場合は、不可抗力事由をできるだけ多く列挙し、不可抗力事由が生じた場合には、売主としての債務不履行責任が免除される旨を明確に記載するべきです。他方で、当方が買主である場合は、不可抗力事由をできるだけ限定的に規定し、不可抗力事由が生じた場合の効果についても限定的な内容にとどめた方がよいケースもあります。なお、この論点については、新型コロナウィルスと不可抗力について新型コロナウイルスと不可抗力について(2)もご参照ください。

 

これ以外にも、売買代金の支払条件、商品の引渡条件、商品の危険負担や所有権移転時期、保険の負担、商品の検査・受入に関する条項、第三者の権利侵害(特に知的財産権侵害)があった場合を規律する条項、納期遅延があった場合を規律する条項、個別契約についての定め(個別契約と売買取引基本契約の優劣関係、個別契約の成立条件)、輸出入規制などについて、売主の立場、買主の立場から検討を行い、最終的な契約書を完成させます。

 

なお、中国企業との契約締結にあたっての、準拠法、言語条項、紛争解決方法等の一般的な留意事項については、中文契約書作成の際の留意点を参考にしてください。

 

また、売買取引基本契約書が完成した後、中国企業の担当者に契約締結権限があるかの確認も重要となります。この点については、中国企業と契約を締結する際の契約締結権限の確認方法をご参照ください。

 

当事務所では、「中国語(中文)契約書サービス」として、売買取引基本契約書を含め、各種の契約書について、日本語・中国語間の翻訳、中国語で作成された契約書のリーガルチェック、中国語での契約書の作成等のサービスを提供していますので、是非とも、ご利用ください。

 

文責 河野雄介

 

 

2020年06月15日 10:21|カテゴリー:

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中国でのOEM生産と商標権侵害

日本企業が中国企業とOEM契約を締結し、中国で生産された製品等を、日本や海外で販売するモデルは、現在でも、よく利用されています。先日、中国の最高裁判所(最高人民法院)において、このモデルに関し、注目すべき裁判例が出されましたので、今回は、同裁判例を簡単に紹介します。

 

事案の概要としては、日本の自動車メーカーが、中国において、自社ブランドの文字とロゴの商標登録をしていたところ、ある中国企業が、当該商標に類似する商標を付した製品を製造し、中国国外に輸出しようとしたというものです。

本件では、商標の類似性等も論点とはなっていますが、注目すべきは、被告が主張した「当該製品の全てがOEM製品であり中国内で流通させず輸出するものであるから中国での商標権侵害とはならない」との主張です。

この点について、最高人民法院((2019)最高法民再138号)は、2019年9月23日、製品の全量がOEM製品として輸出されるとしても、越境EC等によって中国内で流通する可能性があること等を理由として、商標権侵害に該当するとの判断をしました。

 

この裁判例が、今後、すべてのOEM契約に適用されるかについては議論のあるところですが、少なくとも、中国企業にOEMでの生産を依頼するに際し、商標権侵害のリスクマネジメントの必要性について、改めて認識する契機といえるでしょう。なお、商標権侵害のリスクとしては、商標権者からの損害賠償請求等だけでなく、OEM製品をOEM先から輸出する際に、中国の税関で出荷に支障が生じるといったことも想定されます。

日本企業としては、これまでにも増して、自社製品に関連する商標権の登録状況の調査、出願、及び、状況によってはライセンス契約の締結等といった、事前のリスクマネジメントを適切に実施したいところです。

 

なお、当事務所では、「中国語(中文)契約書サービス」として、OEM契約を含め、各種の契約書について、日本語・中国語間の翻訳、中国語で作成された契約書のリーガルチェック、中国語での契約書の作成等のサービスを提供していますので、是非とも、ご利用ください。

 

(文責:藤井宣行)

中国語(中文)契約書サービスのご案内

以前、ブログで、中文契約書作成の際の留意点として、中国語(中文)で契約を締結する際の言語条項、準拠法及び紛争解決方法についてまとめました。

言語条項、準拠法、紛争解決条項等の一般的な条項については、上記ブログで書かせていただいた留意点を基にしたひな形を準備していますが、契約書作成にあたっては、どの案件も固有の背景事情があり、「作り込む」作業が必須であると考えています。

そこで、契約書を作成・レビューさせていただくにあたっては、クライアントのビジネスの内容やどのような取引・商流に基づき契約書を締結しようとしておられるか、商品やサービスの具体的内容、契約相手方の情報(規模、信用状況、これまでの取引等)の背景情報をヒアリング(遠方のクライアントの場合は、Zoom等のウェブ会議も活用しています)させていただくようにしています。

また、当事務所では、これまで、多数の中国語(中文)契約書を作成・レビューしてきた実績がありますし、中国国内における訴訟手続のサポートの経験も豊富です。

このような中国法務の豊富な経験と、上記の方針に基づき丁寧にヒアリングさせていただいた情報を基に、想定しておられる取引にどのようなリスクが内在しているのか、どのような条項にすれば当該リスクを軽減することができるかを常に考えながら、契約書を作り上げていきます。

当事務所では、クライアントの皆様に対して、中国企業と契約を締結するに際し、「誰に何を依頼していいか分からない」「中国との契約に特有のリスクがあると思うが、その内容や対応が分からない」といった状況に対応するため、中国語(中文)契約書サービスを提供しております。

ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

文責 河野雄介