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国際法務の部屋

中国における広告規制

今回のブログでは、中国の広告に関する法規制を紹介します。

広告に関する法規制としては、まず、広告法が存在します(条文の日本語訳がJETROのウェブサイトで紹介されています。

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/ip/law/pdf/regulation/regulation20150424.pdf)。

中国特有の表現が用いられている条文としては、第3条があり、「広告は、真実で、合法的で、健全な表現形式により広告内容を表現し、社会主義精神文明の構築及び中華民族の優秀な伝統文化の発揚に関する要求を満たさなければならない」と規定されています。

 

実務においては、第9条が規定する使用禁止用語が重要です。同条では、「中華人民共和国の国旗、国歌、国章、軍旗、軍歌、軍の記章を使用する、又は形を変えて使用する。」こと(第1号)、「国家級、最高級、最良等の用語を使用する。」こと(第3号)、「国家の尊厳又は利益を損ね、国家秘密を漏洩する」こと(第4号)、「社会の安定を妨害し、社会公共の利益を損ねる」こと(第5号)などが禁止されています。

このほかにも、多くの規制が設けられていますので、関係するビジネスをされている方は、一度、条文に目を通されることを、お勧めします。

 

広告法の規制に違反した場合には、行為態様に応じた罰金や、営業許可証の取消しといったサンクションが規定されています。

上記の禁止用語の表現からは、該当性について明確に判断することが困難なケースもありますので、慎重に、対応することが必要です。

 

 

また、広告法のほかに、インターネットを用いた広告に特化した規制として、インターネット広告管理暫定規則が存在します。同規則では、一定の場合に、電子メールに広告又は広告リンクを貼ることを禁止するなど(第8条第3項)、実務上、注意すべき規制が多く規定されています。同規則に違反した場合には、広告法の罰則規定が多く引用されていることから、広告法と同様、同規則についても、慎重な対応が必要です。

 

 

なお、広告法及びインターネット広告管理暫定規則に関連して、2018年にロシアにて開催されたサッカーワールドカップの際、ピッチ横の看板に、スポンサー企業であるHisense(中国名:海信)の広告文語「海信电视 中国第一」が表示され、中国国内の視聴者も、看板に記載された広告を目にすることになりました(このような状態は、ワールドカップに限らず、多くのスポーツ中継等で、目にするようになっています。)。

このような広告について、中国法令である広告法やンターネット広告管理暫定規則が適用されるのかについて、中国内で、議論になりましたが、明確な結論は出されていません。また、私の知る限り、国外での上記のような広告について、中国当局が、何らかのペナルティーを課したということも、ありません。しかしながら、理論上は、適用可能性が存在すると思われますので、特に中国内に拠点を有する企業や、中国内でのビジネスを行っている企業としては、今後の動向に注意する必要があるでしょう。

 

(文責:藤井宣行)

2020年08月24日 09:26|カテゴリー:

中国法務

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中国、広告

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中国における商標権侵害判断基準の公布

中国の知的財産権局は、2020年6月15日、商標権侵害判断基準(以下「本基準」といいます。)を制定・公布しました(以下のサイトで、原文が公開されていますので、ご参考までに引用します。http://www.cnipa.gov.cn/gztz/1149656.htm)。

 

これまでは、商標権侵害については、商標法及び商標法実施条例等を参照しつつ、判断していました。しかしながら、判断基準が必ずしも明確ではなかったことから、結論を導くことが困難なケースも多くありました。

 

本基準は、第1条から第38条までで構成され、商標権利侵害の判断における重要基準を、リストアップする形式で規定されています。

その内容についても、商標法及び商標法実施条例等と比較して、具体性・明確性が増していますので、実務上の重要な指針となると思われます。

例えば、本基準第3条では、「商標権の使用」について、「商標を、商品、商品の包装、容器、サービス提供場所または取引書類に用い、もしくは、商標を広告宣伝、展示又はその他の商業活動において用い、もって、商品またはサービスの出所の識別に用いる行為」であると定義しています。

この内容については、これまでも、商標法第48条で、ほぼ同内容の規定が存在しましたが、本基準では、この定義をさらに細分化して定義しています。例えば、第4条で「商標を、商品、商品の包装、容器、サービス提供場所または取引書類に用いる」という規定について、商品の説明書や販売契約書等に用いること等を含むことが明記されています。さらに、第5条では、「サービス提供場所または取引書類に用い」るという規定について、従業員の衣服やメニュー表等に用いること等を含むことが明記されています。」。

 

このように、本基準では、これまでよりも、具体的かつ明確な基準が多く規定されていますので、今後、取引実務において、参考にする価値が大いにあると考えます。

 

当事務所では、「中国語(中文)契約書サービス」(https://www.swlaw.jp/axis-china/)として、各種の契約書について、日本語・中国語間の翻訳、中国語で作成された契約書のリーガルチェック、中国語での契約書の作成等のサービスを提供しています。

当該サービスにおいては、ライセンス契約やOEM契約等、商標権に関係する契約類型についても対応していますので、従来の契約書の修正や、新たな契約の締結等に際し、是非とも、ご利用ください。

 

(文責:藤井宣行)

2020年07月29日 09:47|カテゴリー:

中国法務

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中国、商標

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中国における個人情報安全規範の改正

日本においては個人情報保護法の改正(2020年6月12日公布)がなされましたが、中国では、2020年3月6日、「情報安全技術個人情報安全規範」が公布され、2020年10月1日より施行されます。この個人情報安全規範は、あくまでガイドラインに過ぎず、法的効力があるものではないものの、2017年6月1日に施行されたネットワーク安全法を補足する重要な実務指針として機能するものと考えられています。

たとえば、ネットワーク安全法では、「ネットワーク運営者は、個人情報の収集、使用にあたり、合法、正当、必要の原則に従い、収集、使用に関する規則を公開し、情報を収集し、使用する目的、方式及び範囲を明示し、かつ情報収集対象者の同意を得なければならない」と規定しています(同法41条)が、具体的に、情報収集対象者からどのように同意を取得すればよいのかは規定されていません。

この点、個人情報安全規範では、明示的な同意について、電子形式による同意表明も同意であると定めています。また、情報収集対象者(個人情報主体)が情報収集されることを告知された後にも情報収集が行われるウェブページ等のエリアを離れないことをもって黙示的な同意とする等の規定もあります。このように、個人情報安全規範では、同意の取得方法についても一歩踏み込んだガイドラインとなっています。もっとも、実際の運用上、「情報収集されることの告知」をウェブページ上どのように行うのか、どのように情報収集対象者が「ウェブページのエリアから離れない」ことを立証(記録)するのかなど、さらに検討すべきポイントが残されているようにも思います。

このほかにも、個人情報安全規範では、個人の生体認証情報(指紋、虹彩、遺伝子等)を収集するに当たっては事前に情報収集対象者の明示的同意が必要となるほか、収集の目的、方法、保存期間等を個別告知しなければならないとの規定があります。

また、個人情報安全規範は、個人情報主体のインターネット閲覧履歴、趣味、消費記録や習慣等の個人情報に基づいて当該個人情報主体に対して情報内容を展示したり、商品やサービスの検索結果を提供する行為を、「個性化展示(Personalized Display)」と定義づけ、個性化展示を行う場合は、個性化展示した内容と、個性化展示していない内容を区別できるように表示しなければならない等の規定を設けています。

個人情報安全規範には、上記にご紹介した以外にも、個人情報の取得に関して重要な指針が規定されているので、中国において個人情報を取得するビジネスモデルを検討しておられる場合には、必ず個人情報安全規範を確認しておいた方が良いと考えます

文責 河野雄介

2020年07月13日 11:28|カテゴリー:

中国法務

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中国における民法典の公布

中国における民法の状況については、以前、ブログ「中国で新たに施行された「民法総則」のご紹介」で、言及しましたが、民事に関する基本原則を定めた民法総則が、2017年3月15日に可決・成立し、同年10月1日に施行されました。

これにより、民法総則と、それまでに存在していた民法通則、物権法、担保法、不法行為法、婚姻法、及び、相続法等の関係については、必ずしも明確とはいえない状況が続いていました。

 

そのような状況の中、2020年5月28日、中国初の民法典が公布されました(施行日は2021年1月1 日とされています。)。

この民法典は、総則、物権、契約、人格権、婚姻及び家庭、相続、及び不法行為責任の7編からなるもので、複数の法律で定めるのではなく、日本の民法典と同様、民事法に関する内容を1つの法典に統合したものです。また、民法典の施行に伴い、これまでに存在した民法総則等の各法は廃止され、複数の民事関係法が併存することによる相互の関係性の不明確さは排除されることになりました。また、契約編においては、電子契約に関する規定の整備、予約契約の新設、ファクタリング契約の新設など、ビジネスにおいても影響がありそうな内容も多く含まれています。

今後、これらの内容については、適宜、ご紹介させていただく予定です。

 

当事務所では、「中国語(中文)契約書サービス」(https://www.swlaw.jp/axis-china/)として、各種の契約書について、日本語・中国語間の翻訳、中国語で作成された契約書のリーガルチェック、中国語での契約書の作成等のサービスを提供しています。

当該サービスにおいては、新たな民法典に対応することも可能ですので、従来の契約書の修正や、新たな契約の締結等に際し、是非とも、ご利用ください。

 

(文責:藤井宣行)

中国でのOEM生産と商標権侵害

日本企業が中国企業とOEM契約を締結し、中国で生産された製品等を、日本や海外で販売するモデルは、現在でも、よく利用されています。先日、中国の最高裁判所(最高人民法院)において、このモデルに関し、注目すべき裁判例が出されましたので、今回は、同裁判例を簡単に紹介します。

 

事案の概要としては、日本の自動車メーカーが、中国において、自社ブランドの文字とロゴの商標登録をしていたところ、ある中国企業が、当該商標に類似する商標を付した製品を製造し、中国国外に輸出しようとしたというものです。

本件では、商標の類似性等も論点とはなっていますが、注目すべきは、被告が主張した「当該製品の全てがOEM製品であり中国内で流通させず輸出するものであるから中国での商標権侵害とはならない」との主張です。

この点について、最高人民法院((2019)最高法民再138号)は、2019年9月23日、製品の全量がOEM製品として輸出されるとしても、越境EC等によって中国内で流通する可能性があること等を理由として、商標権侵害に該当するとの判断をしました。

 

この裁判例が、今後、すべてのOEM契約に適用されるかについては議論のあるところですが、少なくとも、中国企業にOEMでの生産を依頼するに際し、商標権侵害のリスクマネジメントの必要性について、改めて認識する契機といえるでしょう。なお、商標権侵害のリスクとしては、商標権者からの損害賠償請求等だけでなく、OEM製品をOEM先から輸出する際に、中国の税関で出荷に支障が生じるといったことも想定されます。

日本企業としては、これまでにも増して、自社製品に関連する商標権の登録状況の調査、出願、及び、状況によってはライセンス契約の締結等といった、事前のリスクマネジメントを適切に実施したいところです。

 

なお、当事務所では、「中国語(中文)契約書サービス」として、OEM契約を含め、各種の契約書について、日本語・中国語間の翻訳、中国語で作成された契約書のリーガルチェック、中国語での契約書の作成等のサービスを提供していますので、是非とも、ご利用ください。

 

(文責:藤井宣行)

内定取消しについて

新型コロナウイルスの感染拡大による行動自粛等によって、実体経済に非常に大きな影響を及ぼし始めています。当事務所でも、この事象に関連するご相談も増えつつあります。

 

企業活動においては、景気の先行きが不透明であることから、内定者に対する内定取消しの動きも出ているようです。政府としては、このような動きに対し、内定取消しの防止等について、いくつかの要請を行っています(2020年3月13日付け日本経済新聞電子版「内定取り消し防止、最大限の努力を 政府要請」)。

 

 

本ブログでは、内定取消しの法的側面について、日本法と中国法の観点から、簡単に整理をしたいと思います。

 

 

日本においては、内定の法的性格について、「始期付解約権留保付労働契約」であると考える見解が一般的です(電電公社近畿電通局事件:最高裁第二小法廷昭和55年5月30日判決等)。

すなわち、内定通知によって、内定通知で予定されている日に労働契約は成立するものとし、かつ、採用内定取消事由が生じた場合等には、同契約を解約できるというものです。

採用内定取消事由については、内定通知書に記載しておけば自由に解約できるわけではなく、客観的に合理的で社会通念上相当として是認できる事由が必要であると考えられています。

したがって、「新型コロナウイルスの感染拡大によって景気の先行きが不透明であるから」といった抽象的な理由のみで内定取消しを行った場合には、当該内定取消し(=解約権の行使)が違法と評価される可能性が高いと考えられます。

 

 

中国においては、私の知る限り、日本のように、内定を「始期付解約権留保付労働契約」として捉える考え方が一般的に採用されていません。

以下は私見ですが、中国法実務では、内定について、労働契約はいまだ締結されていない状態であると評価される可能性が高いと考えます。この場合でも、契約締結に近い状態にはありますから、内定取消しには、契約締結上の過失として、契約法42条が適用されると考えます。

すなわち、同条によれば、①契約締結を手段として、悪質な協議を行った場合、②契約の締結に関連する重要事実を故意に隠し、または虚偽の情報を提供した場合、または、③その他の信義誠実の原則に違反する場合には、会社が損害賠償義務を負うことになります。

仮に、「新型コロナウイルスの感染拡大によって景気の先行きが不透明であるから」といった理由で内定取消しをする場合でも、信義誠実の原則に違反すると評価されないよう、丁寧に協議を重ね、できれば内定者の同意を取得して書面化するといった対応が望まれます。

 

(文責:藤井宣行)

2020年03月19日 12:48|カテゴリー:

中国法務

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内定取消、コロナ

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新型コロナウイルスと不可抗力について(2)

私の前回のブログで、2月17日のジェトロ大阪でのセミナーについてご案内していましたが、私と共同のスピーカーが中国から来日する中国人弁護士であったこともあり、残念ながら、開催が延期となりました。延期後の日時が決まりましたら、改めて、ご案内させていただきます。

 

 

さて、先日、当事務所のマネージングパートナーである河野弁護士が、ブログ「新型コロナウイルスと不可抗力について」において、新型コロナウイルスの流行に起因して、契約上の債務を履行できないケースについて、日本法の観点から説明をしてくれています。

 

 

今回のブログでは、中国法の観点から、若干の説明をしたいと思います。

 

 

1.契約書に、不可抗力免責に関する条項がある場合

この場合は、日本法を準拠法とする場合と同様、契約文言の規定に、「疫病」等の文言が明記されているか、明記されていないとしても「その他の不可抗力」といった文言の有無を確認することになります。

 

そのうえで、今回の状況が、規定されている文言に該当するか、あてはめの作業をすることになります。その内容については、下記2を参考にしてください。

 

 

2.契約書が存在しない、または、契約書に不可抗力免責に関する条項がない場合

準拠法が中国法であれば、契約による修正がないことから、中国法の一般原則が適用されることになります。

中国法では、「不可抗力」について、予見不能性、回避不能性、及び、克服不能性が客観的に存在することを要求しています(通則153条、民法総則180条2項、契約法117条等)。

 

新型コロナウイルスの発生や流行自体については、予見不能性、回避不能性、及び、克服不能性が客観的に存在すると考えられます。

 

しかしながら、各企業が直面している契約上の債務の履行に関する障害については、その具体的な状況(ビジネスモデル、実際に利用する運送の状況等)は様々であると考えられますので、ケースバイケースで、個別の検討を要するでしょう。

 

2002年にSARSが流行した際、最高人民法院は、SARS の流行について不可抗力に該当するとの判断をしたものの、不可抗力に該当する事由について、災害拡大防止のための行政措置を直接の原因とする場合等、一定の場合に限定しましたので、当該事由該当性を、個別に判断する必要がありました。

 

なお、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)が、新型コロナウイルスについて、不可抗力にあたる事実が発生したとする証明書を発行しています。CCPITは、あくまで1つの機関であり、不可抗力該当性を判断するのは、最終的には裁判所(人民法院)ですから、当該証明書は、不可抗力該当性を肯定する方向の重要な証明手段の1つであるという位置付けになると考えます。

 

また、そもそも、不可抗力免責は契約の拘束力から例外的に解放する制度ですから、その適用は、本来的に謙抑的になる性質を有するものです。

 

したがって、新型コロナウイルスに起因して、契約上の債務の履行に障害が生じている場合、まずは、協議により解決を図ることが最優先でしょう。そのうえで、自社の状況が、不可抗力に該当するかについて、契約書等の存在を確認しつつ、予見不能性、回避不能性、及び、克服不能性の観点から、冷静に、自社に関する状況を分析することが肝要であると考えます。

 

(文責:藤井宣行)

2020年02月26日 09:23|カテゴリー:

中国法務

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コロナ,不可抗力,免責

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セミナー案内

2020年2月17日午後1時30分から、ジェトロ大阪(大阪国際ビル29階)において、広東卓建律師事務所の中国律師(弁護士)尹秀鍾氏とともに、「外商投資法への対応と深圳の取り組み」とのタイトルで、セミナーに登壇します。

 

【日時】 2020年2月17日 午後1時30分から

【場所】 大阪国際ビルディング29階 ジェトロ大阪 セミナールーム

大阪市中央区安土町2-3-13

【申し込み方法】

以下のお申込フォームよりオンラインでお申し込みください。

https://www.jetro.go.jp/events/osa/00f8e7278f75842c.html

※申込み完了メールをプリントアウトしていただき、当日お持ちください。

 

本セミナーでは、本ブログにおいても、以前に紹介したことのある中国外商投資法の制定について、詳しく、お話する予定です。

 

2020年1月1日から、「外商投資法」及び「外商投資法実施条例」が一斉に施行されます。これにより従来適用されていた「外資三法」は廃止されます。外商投資法では、ネガティブリストの導入、外商投資の促進と保護、海外への利益送金の保証等が盛り込まれており、開放政策のさらなる拡大、及び、市場参入制限措置の緩和等を積極的に打ち出す中国政府の姿勢がうかがわれます。

本セミナーでは、外商投資法及び同実施条例の概要、実務上の留意点について、お話する予定です。

 

また、深圳の法律事務所に在席する尹秀鍾弁護士からは、深圳における最近の実務の状況及び政策動向についても、紹介してもらう予定です。尹秀鍾弁護士は、深圳において、日系企業向けの業務を行っていることから、書籍やネット記事等では知ることのできない、コアな情報を話してもらおうと思っています。

 

ご興味がおあり方は、是非とも、お申込みください。

https://www.jetro.go.jp/events/osa/00f8e7278f75842c.html

 

(文責:藤井宣行)

2020年01月17日 18:16|カテゴリー:

中国法務

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書類の公証・認証

今回は、中国国内で訴訟当事者となった場合における裁判所への書類提出に関し、公証・認証手続について、紹介します。

 

 

外国企業が中国の裁判所(人民法院)において訴訟提起、または、応訴する場合は、中国の弁護士に委任しなければなりません(中国民事訴訟法263条)。中国人弁護士に委任するには、外国企業から中国人弁護士への委任状が必要となりますが、原則として(例外については、ここでは割愛します。)、当該委任状について、当該外国企業の所在国の公証機関の証明を得て、かつ、当該国に駐在する中国大使館または領事館の認証を得る必要があります(同法264条)。

 

日本企業は、上記の外国企業に該当しますので、中国人弁護士に対する委任状について、公証機関の証明を得て、かつ、当該国に駐在する中国大使館または領事館の認証を得る必要があります。

 

 

「公証機関の証明」については、委任状は私文書(公的機関との対比の意味での私人である企業の意思を表現した文書)ですから、日本国においては、公証役場での認証を行うことになります。なお、日本の公証人法1条において、公証人の権限として、公正証書の作成、私文書の認証、及び、定款の認証等が規定されています。一般に、「文書の公証・認証」といった表現が用いられることがありますが、厳密には、公証人が行う行為(≒公証)の中に、認証という行為が含まれていると整理することができます。

 

この手続により、公証人に、私人が作成した文書(ここでは委任状)の署名押印等が、本人のものに間違いないことを証明してもらいます。法的な表現では、文書の真正の証明といい、文書の記載内容ではなく、「本人が作成した(=偽造ではない)」ことを証明してもらうわけです。

英語でも、一般に、公証人による認証については、Notarizationという表現を用いることになりますが、Legalizationという表現を用いられていることもあり、このあたりは、厳密に表現が使い分けられているわけではないようですので、実際に必要とされている行為の内容を確認する必要があるでしょう。

 

 

次に、公証人は、(地方)法務局に所属していますので(公証人法10条1項)、公証役場で認証を受けた書類(私署証書)に対し、公証人の所属する(地方)法務局長が、認証の付与が在職中の公証人によりその権限に基づいてされたものであり、かつ、その押印が真実のものである旨の証明を付与します。これを公証人押印証明といいます。

これにより、日本の公的機関が、文書(ここでは委任状)の成立の真正を証明したことになります。

 

 

その後、日本に駐在する中国大使館または領事館の認証を得る前提として、外務省による公印確認を行います。これは、外務省が、文書(ここでは委任状)に押印されている公印について証明を行うものです。委任状の例でいえば、日本の外務省が、中国に対し、委任状に押印されている法務局(長)の印影が真正であることを証明してくれるものです。

なお、ここまでの手続については、要請をすることにより、東京や大阪等の公証役場では、公証役場のみで完結することができます(ワンストップサービス)。

 

 

これを受けて、中国大使館または領事館において認証を行います。これにより、当該文書が日本国内において正式な手続を経て真正が証明されたものであることを、中国大使館または領事館が証明してくれるので、中国において、当該文書について、真正なものであるとして扱ってもらえることになります。

なお、文書の提出先の国が、「外国公文書の認証を不要とする条約(1961年10月5日のハーグ条約)」に加盟している場合には、日本が同条約に加盟していることから、この手続を省略できる場合があります(アポスティーユ)。

(文責:藤井宣行)

2019年11月25日 08:47|カテゴリー:

中国法務

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公証、認証

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中国最高人民法院判決の紹介(商標登録権者による権利行使が権利濫用とされたケース)

今回は、中国の裁判所で、商標登録権者による権利行使が権利濫用とされたケースを紹介します。

 

事案の概要は、次のようなものです。日本の某衣料品メーカーの中国現地法人Yは、よく知られているブランドを用い、中国国内で衣料品の販売をしていました。しかしながら、当該ブランドで用いられているロゴは、中国国内のX社によって、すでに商標登録されていました。

そこで、Yは、Xによる商標登録が無効であると主張して、審判手続を申し立て、その後、紆余曲折を経て(詳細な経緯については割愛します。)、最終審である最高人民法院の判断を仰ぐことになりました。

 

 

前提として、上記のケースでは、X社は、膨大な数の商標権を登録しており、その大多数を、自らのビジネスで利用しておらず、登録された商標を利用している企業に対し、交渉や訴訟等を通じて、その買取り等を要求していたことがありました。

 

 

最高人民法院は、2018年9月、この点に着目して、Y社がいわゆる商標トロール的な活動をしていたと認定し、その行動が信義誠実の原則に違反するものであって、法的保護の対象とされない旨の判断をしました(最高人民法院(2018)最高法民再396号民事判決)。

 

 

中国法務を扱う弁護士であれば、「中国での訴訟をしても、日本企業は不利なんですよね?」といったご質問を受けることが、多くあります。

たしかに、いくつかの条件を満たすケースでは、そのような傾向を否定できない場合もありますが、現在の中国の裁判所では、かなり、公平な審理が期待できるようになってきていると感じています。上記のケースも、関連法令を形式的に適用すれば、日系企業が敗訴してもおかしくないケースであったと思いますが、「信義誠実の原則」に言及して、日系企業の勝訴を導いています。

 

 

現に、商標法をはじめ、多くの知的財産関連法令が改正され、政府による知的財産保護に対する取り組みが国際的に(特にアメリカ向けでしょうか)アピールされていることからも、中国においても、国家として、(外国企業も含む)知的財産の保護が重視する傾向であることは間違いないでしょう。

 

 

また、上記のケースからは、パテントトロール、商標トロールの存在と活動ぶりが明らかにされていますので、ビジネスの展開に応じ、事前の予防策が重要であることも再認識させられるものです。

(文責:藤井宣行)

2019年10月17日 09:42|カテゴリー:

中国法務

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