ベンチャー法務の部屋

震災に伴う労災保険給付(震災に伴う法律上の問題)

2011.04.11

震災に伴う労災関連について、質問を受けることが少なくありませんので、この場でも、基本的な情報を共有しておきます。

今回の震災の当日付けで、厚生労働省労働基準局労災補償部補償課長から、下記の内容を含む、「東北地方太平洋沖地震に伴う労災保険給付の請求に係る事務処理について」(基労補発0311第9号)という文書が、都道府県労働局労働基準部労災補償課長宛に出されています。同文書には、「兵庫県南部地震に伴う労災保険給付の請求に係る事務取扱いの留意点について」(事務連絡第3 号 平成7年1月27日)や「兵庫県南部地震における業務上外等の考え方について」(事務連絡第4 号 平成7年1月30日)も添付されていますので、是非、ご参照ください。

http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110316K0010.pdf (PDF)

「東北地方太平洋沖地震に伴う労災保険給付の請求に係る事務処理について」

1 労災保険給付請求に係る事業主証明及び診療担当者の証明

今回の地震により、被災労働者の所属事業場等が倒壊した等の理由から、労災保険給付請求書における事業主証明を受けることが困難な場合には、事業主証明がなくとも請求書を受理すること。
また、被災労働者が療養の給付を受けていた医療機関が倒壊した等の理由から、診療担当者の証明が受けられない場合においては、診療担当者の証明がなくとも請求書を受理すること。
なお、この場合、請求書の事業主証明欄の記載事項及び診療担当者の証明欄の記載事項を請求人に記載させ、当該証明を受けられない事情を付記させること。

2 業務上外等の基本的な考え方

今回の地震による業務上外の考え方については、平成7年1月30日付け「兵庫県南部地震における業務上外等の考え方について」に基づき、業務上外及び通勤上外の判断を行って差し支えない。
したがって、個々の労災保険給付請求事案についての業務上外等の判断に当たっては、天災地変による災害については業務起因性等がないとの予断をもって処理することのないよう特に留意すること。

「地震による災害の業務災害又は通勤災害の考え方」

地震による災害事例

1 業務災害

事例1 作業現場でブロック塀が倒れたための災害
ブロック塀に補強のための鉄筋が入っておらず、構造上の脆弱性が認められたので、業務災害と認められる。

事例2 作業場が倒壊したための災害
作業場において、建物が倒壊したことにより被災した場合は、当該建物の構造上の脆弱性が認められたので、業務災害と認められる。

事例3 事務所が土砂崩壊により埋没したための災害
事務所に隣接する山は、急傾斜の山でその表土は風化によってもろくなっていた等不安定な状況にあり、常に崩壊の危険を有していたことから、このような状況下にあった事務所には土砂崩壊による埋没という危険性が認められたので、業務災害と認められる。

事例4 バス運転手の落石による災害
崖下を通過する交通機関は、常に落石等による災害を被る危険を有していることから、業務災害と認められる。

事例5 工場又は倉庫から屋外へ避難する際の災害や避難の途中車庫内のバイクに衝突した災害
業務中に事業場施設に危険な事態が生じたため避難したものであり、当該避難行為は業務に付随する行為として、業務災害と認められる。

事例6 トラック運転手が走行中、高速道路の崩壊により被災した災害
高速道路の構造上の脆弱性が現実化したものと認められ、危険環境下において被災したものとして、業務災害と認められる。

2 通勤災害

事例1 通勤途上において列車利用中、列車が脱線したことによる災害
通勤途上において、利用中の列車が脱線したことは、通勤に通常伴う危険が現実化したものであることから、通勤災害と認められる。

事例2 通勤途上、歩道橋を渡っている際に足をとられて転倒したことによる災害
通勤途上において、歩道橋を渡っている際に転倒したことは、通勤に通常伴う危険が現実化したものであることから、通勤災害と認められる。

執筆者
S&W国際法律事務所

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