ベンチャー法務の部屋

Think different.

一昨日のエントリー「営業は利益を、開発は売上を」には、たくさんの反響をいただきました。特に、はてなブックマークのトップページに掲載されましたので、1日に2万を優に超えるアクセスがありました。ブログを書いている人間としては有難いと思う反面、小心者でもある私には、ドキドキさせられる出来事でした。その多くが肯定的なご意見でしたので、少しでも読者のお役に立てたのかなと嬉しく思っております。

ところで、数多くいただいた反響の中に、他にも大事な要素もあるのではないかといった趣旨のものがあります。これには、全く異論ありません。開発部門が利益や原価を考えないでよいというつもりはありませんし、営業が在庫のことを考えなくてよいと申し上げるつもりもありません。「ある食品系の会社の元経営者」の方も、これまでの時代(の経営)とこれからの時代(の経営)の違いの象徴として、「作れば売れる時代」「営業は売上を、開発は利益(コスト削減)を」から「顧客志向」「営業は利益を、開発は売上を」への転換を指摘されたものと理解しています。「顧客志向」という言葉は、今では聞き慣れた、手垢のついた言葉のように思えますが、おそらく以前(20世紀)には、あまり重視されなかったのでしょう(今では、顧客志向も「顧客が求めるもの」から「顧客が楽しいと思うもの」へというパラダイム転換が起きているように思います。)。

ただ、「営業は利益を、開発は売上を」という言葉は、もしあなたが、営業部隊のトップに就任した場合に、営業員にどのような目標を設定して、どのようなときに表彰するか、という問題についての1つの参考にはなるのではないかと考えています。また、開発部隊への指示はどうあるべきか、を考える際の参考にもなってほしいと思っています。そういえば、「ある食品系の会社の元経営者」の方がおっしゃっていた面白いことの一つに、次のものがあります。

・上司が部下に、(失敗をおそれて、)「君、これは売れるだろうな」と言うことがあるが、これが一番ダメ。商品で勝負する会社は、自由に物を言える環境が必要。経営者は、制約を取り払い、社内が活性化する仕組みを作るのが仕事。

そういえば、アップル社のSteve Jobs氏がiPhoneやMac Book Airの開発を命じるときに、どういう指示をだしたのでしょうか。やはりThink different.が底にあったのでしょうか。少なくとも「君、これは売れるだろうな」と言うことは、なかったと思います。

昔からSteve Jobs氏が優れた経営者であったのかは、よくわかりません。最近発売された「スティーブ・ジョブズの王国」という本を読むと、
特に若い頃は、非常に人間臭く、意地悪でいたずら好きだったようですが、一方で真面目で実直な側面も併せ持つことが少しわかりました。

日本にも、働いている人が、「この組織にいる間に、世界を、社会をよりよく変えてみせるんだ」と思える企業が、増えるといいですね。
(私も精進します。)

執筆者
S&W国際法律事務所

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