ベンチャー法務の部屋

2つに分かれた起業のパターン

2010.09.24

TechCrunchに、 「二つに分かれたベンチャーキャピタル業界: Webとクリーンテクを比較すると…」 という記事がありました。

この記事では、資本があまり必要なくなったweb関連企業への投資と、やはり多くの資本を必要とするクリーンテク企業への投資は、様相がたいぶ違ってきた旨を指摘しています。同記事では、2010年1月から8月までのデータを集計して、対比しており、その内容は以下の表のとおりです。(元となったデータには、不十分な点があることは同記事も認めています。あくまでも参考程度ということです。)

CleantechWeb
資本多く必要それほど必要としない
VCの役割資金の提供コネやアドバイス、取引をまとめる手腕
投資金額$1.87B$1.35B
投資件数61件262件
投資金額前年同期比77%増8%減
1件当たり平均投資金額$30.7M(26億950万円)$5.2M(4億4200万円)
シードラウンドの投資金額の平均$1,064,600(9049万円)$534,132(4540万円)
買収でのExit4件61件
買収の平均サイズ$181,575,000(154億3387万円)$63,152,269(53億6794万円)
(注1) 投資金額以下のデータは、2010年1月から8月までの米国のものです。
(注2) この表は、記事内容をまとめたもので、独自に集計したものではありません。
(注3) 円換算については、1ドル85円で計算したものを表記しています。


クリーンテク系の企業への投資は、専門的な知識(特にサイエンスの中身及び業界の製品化に至るまでの進行度合い等)が必要とされることが多く、投資家も、その業界にある程度精通していなければならないケースも少なくないです。日本でも理系出身のキャピタリストが増えてきたように思います。したがって、これまでも通常のベンチャー投資とは分けて考えられることも少なくありませんでした。ファンド自体、別建てになっていることもあります。このタイプの企業では、特許を始めとする知的財産権のコントロールが重要であり、開発のための基盤、ライセンス及び人材が必要とされ、初期に膨大な研究開発費を計上することが多いと思われます。

一方で、web系の会社は、初期に必要とされるのは、資本=お金ではなく、メンバーであり、ネットワークであり、優れたアイディアでしょう。クラウド化やサーバー代が限りなく安くなってきていること等が背景にあると思います。知的財産権は著作権や商標権にからんで登場することはあっても、それ以上、重要ではなく、優れたアイディアと他の追随を許さないスピードが必要とされるように思います(特に、フリーミアム系のビジネスモデルでは、スピードが重要であると思います。)。そのため、初期からマーケティングコストが必要となり、かつ少ないコストの中でアイディアを駆使した展開が求められるように思います。

これから起業される会社におかれましては、自らがどちらのタイプの会社であるかをご判断いただいた方がよいかもしれません。例えば、バイオ系で初期に要する資本が多い場合には、上の表のクリーンテク系だなという具合です。そして、その上で、資本政策策定やベンチャー・キャピタルに期待する内容についての参考にされてみては如何でしょうか。

執筆者
S&W国際法律事務所

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