ベンチャー法務の部屋

ベンチャー・ファイナンスに関連する用語の整理(その3)

ベンチャー・ファイナンスに関連する用語の整理です。
「ベンチャー・ファイナンスに関連する用語の整理(その1)」「ベンチャー・ファイナンスに関連する用語の整理(その2)」の続きです。

これまで紹介した用語は、以下のとおりです。
1.ベンチャー投資
2.Exit(イグジット・エグジット)
3.IPO(アイ・ピー・オー)
4.VC(ブイシー・ヴィーシー)
5.エンジェル
6.CVC(シーブイシー・シーヴィーシー)
7.ステージ
8.投資契約
9.株主間契約
10.財産分配契約

11.企業価値評価額(バリュエーション)
企業価値評価又は企業価値評価額(バリュエーション)は、ベンチャー・ファイナンスに限った用語ではなく、企業のファイナンス全般で用いられます。一般的に適用可能で、且つ具体的な企業価値評価の手法については、マッキンゼーの有名な本『企業価値評価―――バリュエーションの理論と実践』や日本公認会計士協会の『企業価値評価ガイドライン』等が参考になるかと思います。

シード・ステージのベンチャー企業は、まだプロトタイプができたかどうか、といった段階にあるため、精緻な企業価値評価は困難であり、不確定要素が多すぎるため、意味を為しません。そのため、実際には、投資総額300万円〜1500万円ぐらいで10%程度の株式を発行することを念頭に、企業価値を逆算することが多いように思われます。投資総額300万円で株式の10%を割り当てる場合の時価総額は3000万円であり、投資総額1500万円で株式の10%を割り当てる場合の時価総額は1億5000万円です。

事業価値+非事業用資産=有利子負債+株式時価総額を前提とすると、ほとんどの場合、シード・ステージのベンチャー企業には、非事業用資産も有利子負債もありませんので、事業価値=時価総額となります。

したがって、発行会社は、事業価値が3000万円~1億5000万円あるということを投資家にアピールする必要があります。

ミドル・ステージやレイター・ステージであれば、既に売上も利益もその将来の上昇の見込みも明確になってきていますので、それらの数字を前提に、類似する事業を行っている上場企業の時価総額を参考にしたり、DCF法を用いたりすることになります。

12.時価総額(キャップ)
既に「11. 企業価値評価額」でも、時価総額に触れました。

株価✕株数(発行済株式総数)=時価総額

以上の算式で算出します。ここでの株価は、非上場のベンチャー企業の場合、株式市場での株価がありませんので、直近のファイナンスにおける株価を指します。
なお、細かい点ですが、自己株式がある場合は、発行済株式総数から自己株式数を差し引く必要があります。

カタカナで「キャップ」と言われることがありますが、これは、時価総額を意味するMarket capitalizationから来ています。

13.プレ・バリュー/ポスト・バリュー
プレ・バリューは、Pre-money valuation ポスト・バリューは、 Post-money valuation のことです。「プレ」や「ポスト」とだけ呼ばれることも多いです。

プレ・バリューとは、資金調達直前の時価総額を意味し、ポスト・バリューとは、資金調達直後の時価総額を意味します。

あるファイナンス・ラウンドのプレ・バリューとポスト・バリューは、以下の算式が成り立ちます。

Pre-money valuation + 調達額 = Post-money valuation

「うちは、今回のファイナンス、ポストで6億だったよ。」といった使われ方をします。「当社は、今回の資金調達については、調達を終えた直後の時点で、時価総額6億円の評価をしてもらったよ。」という意味です。

今回は、ここまでです。
(文責:森理俊)

執筆者
S&W国際法律事務所

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