ここから本文です

ベンチャー法務の部屋

ベンチャー企業が従業員に提出してもらうべき誓約書の内容(その1)

1 序論

「ベンチャー企業が従業員に提出してもらうべき誓約書に、どのようなものを記載すればよいでしょうか」という質問を受けることがよくあります。

10年以上前に、同趣旨の内容で、ブログを作成しています。10年経ったからといって、使えないわけではありませんが、その後の知見や法改正もありますし、リンクがずれていますので、アップデートしたいと思います。

参考までに、10年以上前のブログを紹介しておきます。
企業が従業員に提出してもらうべき誓約書の内容(その1) 
 取得のタイミングと秘密保持関連について、触れています。

企業が従業員に提出してもらうべき誓約書の内容(その2) 
 知的財産権について、触れています。特許法第35条は改正前のものが引用されており、古いです。

企業が従業員に提出してもらうべき誓約書の内容(その3) 
 競業禁止について、触れています。

企業が従業員に提出してもらうべき誓約書の内容(その4) 
 会社の従業員に対する調査権について、触れています。

2 秘密保持

秘密保持義務は、誓約書に定めた方がよい規定です。

就業規則に規定されている場合も多いと思います。ただ、就業規則では、詳細な規定を定めづらいことから、秘密情報の定義がなかったり、退職後の守秘義務についての効力が不明確であったり、職務外で知った情報が対象外とされていたり、個人情報に触れられていなかったり、サンクションが定められていなかったりします。

就業規則と重複したとしても、矛盾がなければ、問題が生じることはありませんので、就業規則に秘密保持について規定があってもなくても、誓約書には秘密保持に関する規定を記載した方がよいです。

ポイントは、以下のとおりです(太字は、以前のブログを比較して、追記した箇所です。)。
・ 秘密情報を定義する(就業規則や営業秘密管理指針がある場合は、それらの定義を援用することも可)
・ 秘密情報を記載又は包含した書面その他の媒体物の持出禁止・返還義務
・ 退職後の義務(退職後の守秘義務の明確化)
・ 個人情報が秘密情報に準じること
・ 義務の存続期間又は無期限であること
・ 制裁措置(サンクション)の設定(損害賠償・ 損害を最小限にとどめるよう最善の処置を尽くす義務等)

【規定例】

(1) 私は、秘密情報並びに秘密情報を記載又は包含した書面その他の媒体物を貴社から持ち出すことはしません。また、退職時には全てを返却します。
(2) 私は、職務上知り得たものであると職務外で知り得たものであるとを問わず、貴社又は貴社の関連企業、顧客若しくは取引先の業務上の秘密情報及びこれらに不利益となる情報を、在職中も、退職後も、いかなる第三者にも開示又は漏洩しません。
(3) 私は、在職中も、退職の後も、私の責めに帰すべき事由により万一秘密情報が漏洩したことにより、貴社又は貴社の関連企業、顧客若しくは取引先に損害を与えた場合には、これらに対する損害賠償の責めに応じるとともに、秘密情報を記載した文書その他の媒体等の回収、秘密情報の漏洩又は利用により得られた成果の回収等を行い、秘密情報の漏洩により生じた損害を最小限にとどめるよう最善の処置を尽くします。
(4) 私は、貴社が取り扱う一切の個人情報(個人情報の保護に関する法律において定義される個人情報を意味します。以下同じ。)について、貴社の秘密情報に準じて本条の定めに従って、取り扱うものとします。
(5) 秘密情報及び個人情報に関する本条の義務は、私の退職の前後を問わず無期限に存続することについて、異議ありません。

3 今後の予定

今後、以下の条項について、触れる予定です。
知的財産権
競業避止
勧誘・引抜き等の禁止
引継ぎ
反社会的勢力との接触の禁止等

この後も、お楽しみいただければ幸いです。

(文責:森理俊)

2021年12月01日 16:18

カテゴリー:ベンチャー・ビジネス|タグ: ,

2022年5月
« 4月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

カテゴリー

最新の記事

アーカイブ