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国際法務の部屋

SDGsのロゴ使用

前回のブログ(新型コロナウイルス感染症とSDG

で、令和2年5月12日に開催されたトヨタ自動車株式会社の決算説明会におけるトヨタ社長のお話について紹介しました。

豊田社長からは、ウィズコロナ、アフターコロナの時代に向けて、自身が全身全霊をかけて取り組むこととして、「『誰ひとり取り残さない』という姿勢で国際社会が目指している『SDGs』、『持続可能な開発目標』に本気で取り組むことでもあると考えております。」という話がされました。

町の中でもSDGsのロゴやアイコンを目にする機会が増えてきましたが、ウィズコロナ、アフターコロナの時代においても、引き続き、SDGsに取り組んでいることはその企業の価値判断、投資対象としての判断に際し重大な要素となることから、SDGsへの取り組みはさらに加速することが強く予測されます。

そこで、自分たちの会社がSDGsに取り組んでいることを対外的に示すために、勝手に会社のウェブページにSDGsのロゴを使ってもいいのだろうか、会社の名刺に使ってもいいのだろうか?使用にあたってはどこかから許可をもらう必要があるのか?費用が必要なのか?といったご相談を受けることもあります。

今回は、SDGsのロゴやアイコンを使用するにあたってのルールについて紹介したいと思います。

 

まず、SDGsのロゴやアイコンの検討の前に、「ロゴ使用」一般について触れます。

例えば、自社の信用を上げるために、自社のウェブページにおいて取引企業名とそのロゴを載せる場合、著作権や商標権との関係で問題となり得ます。また、同取引企業との秘密保持契約書の中で、「本取引の存在及び内容その他一切の情報」が「秘密情報」とされている場合等で、当該企業との取引の存在を示すような場合には、取引の存在が明らかとなる「自社のウェブページにおいて取引企業とそのロゴを載せる」ことは契約違反となり得るので注意が必要です。

「ロゴ使用」全般が一般的に制約されるわけではありませんが、ロゴが著作物に該当するのか、その使用方法が商標的利用に当たるのか、といった法的な問題点もあるため、自社のウェブページにおいて取引企業名とそのロゴを載せる場合、取引企業にロゴの使用許可を得るか、弁護士等の法律の専門家に問題がないかを確認した方が安全であると考えます。

なお、企業によっては、「ロゴ使用ガイドライン」を定め、予めそれを公開している企業もあります。

 

それでは、SDGsのロゴ使用についてはどうなっているでしょうか。

SDGsのロゴ使用については、国連がガイドラインを定めています。

ロゴ使用に際して申請や許可が必要なケースは主に2つとされています。

1つ目は、資金調達目的での使用。すなわち、SDGsを支援する活動の費用を賄うための資金の調達を意図する使用を指すとされています。

2つ目は、商業用途での使用。すなわち、SDGsをさらに広めるための営利主体による、または、商業的もしくは販促用商品および/もしくは製品における使用を指すとされています。

このように同ガイドラインでは、SDGsロゴを使用して資金調達をする場合やSDGsロゴを使用した商品を販売する場合という2つの場合には、国連による事前許可とライセンス契約が必要とされています。

しかし、上記以外の使用目的の場合には、使用にあたって基本的に申請も許可も不要とされています。

なお、申請や許可が不要とされる場合であっても、ガイドラインには「やってはいけない」使用方法が定められているため注意が必要です。

例えば、ロゴの色や形を変えることは禁止されています。

また、自社のロゴの横にSDGsのロゴ等を入れる際は細かいルールが定められています。この場合、SDGsロゴ等には「(主体名/私たち)は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています」という文言を添える必要があります。この文言を添えずにSDGsロゴ等と自社のロゴを並べて表示することはできません。

 

当事務所では、今後も広く「SDGs」に関するセミナーを行う予定にしています。規模を問わず、出張セミナー、Webを用いたセミナー等にも対応させて頂きますので、気軽にお問い合わせ下さい。

また、令和2年7月3日(金)13時半~15時、7月10日(金)13時半~15時、7月17日(金)13時半~15時、7月29日(水)13時半~15時の4回にわたり、スタートアップ、中小企業を対象としたウェビナーによる連続セミナーを開催致します。こちらについてもぜひご参加頂けると幸いです。

ウェビナー開催案内

(文責:三村雅一)

2020年06月25日 14:01|カテゴリー:

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中国における民法典の公布

中国における民法の状況については、以前、ブログ「中国で新たに施行された「民法総則」のご紹介」で、言及しましたが、民事に関する基本原則を定めた民法総則が、2017年3月15日に可決・成立し、同年10月1日に施行されました。

これにより、民法総則と、それまでに存在していた民法通則、物権法、担保法、不法行為法、婚姻法、及び、相続法等の関係については、必ずしも明確とはいえない状況が続いていました。

 

そのような状況の中、2020年5月28日、中国初の民法典が公布されました(施行日は2021年1月1 日とされています。)。

この民法典は、総則、物権、契約、人格権、婚姻及び家庭、相続、及び不法行為責任の7編からなるもので、複数の法律で定めるのではなく、日本の民法典と同様、民事法に関する内容を1つの法典に統合したものです。また、民法典の施行に伴い、これまでに存在した民法総則等の各法は廃止され、複数の民事関係法が併存することによる相互の関係性の不明確さは排除されることになりました。また、契約編においては、電子契約に関する規定の整備、予約契約の新設、ファクタリング契約の新設など、ビジネスにおいても影響がありそうな内容も多く含まれています。

今後、これらの内容については、適宜、ご紹介させていただく予定です。

 

当事務所では、「中国語(中文)契約書サービス」(https://www.swlaw.jp/axis-china/)として、各種の契約書について、日本語・中国語間の翻訳、中国語で作成された契約書のリーガルチェック、中国語での契約書の作成等のサービスを提供しています。

当該サービスにおいては、新たな民法典に対応することも可能ですので、従来の契約書の修正や、新たな契約の締結等に際し、是非とも、ご利用ください。

 

(文責:藤井宣行)

中国語で売買取引基本契約を締結する際の留意点

これまで、当事務所では、中国企業と締結する売買取引基本契約書を中国語で作成してほしい、取引の相手方から中国語で提案された売買取引基本契約書をレビューしてほしいというご相談を数多くいただいてきました。

 

まず、中国語での契約に限らず、売買取引基本契約を締結するにあたっては、当方が売主であるか、買主であるかにより、重点的に確認すべきポイントが大きく異なります。

 

一例を挙げると、当方が売主である場合は、瑕疵担保責任(契約不適合責任)や品質保証責任について、可能な限り責任を負う期間を短くできないか、損害賠償の範囲をできるだけ限定(例えば損害賠償の範囲を契約に基づく売買代金の合計額に限定するなど)できないかという観点からレビューやドラフトを行います。他方で、当方が買主である場合は、契約不適合責任や品質保証責任について、可能な限り責任を負う期間を長くできないか、損害賠償額に不当に限定されている条項がないかという観点からレビューやドラフトを行います。

 

また、当方が買主である場合は、売主である中国企業に法令順守義務(環境法制、商業賄賂、労働関係法令)や買主として独自に定めている基準(化学物質使用基準など)を遵守させる義務を負わせる規定を設ける必要がないか、必要がある場合はどのような規定が適切か、義務違反があった場合にどのような効果を定めるかという観点で検討を行います。

 

さらに、今回の新型コロナウイルスの世界的な蔓延によってクローズアップされた不可抗力条項についても要注意です。当方が売主である場合は、不可抗力事由をできるだけ多く列挙し、不可抗力事由が生じた場合には、売主としての債務不履行責任が免除される旨を明確に記載するべきです。他方で、当方が買主である場合は、不可抗力事由をできるだけ限定的に規定し、不可抗力事由が生じた場合の効果についても限定的な内容にとどめた方がよいケースもあります。なお、この論点については、新型コロナウィルスと不可抗力について新型コロナウイルスと不可抗力について(2)もご参照ください。

 

これ以外にも、売買代金の支払条件、商品の引渡条件、商品の危険負担や所有権移転時期、保険の負担、商品の検査・受入に関する条項、第三者の権利侵害(特に知的財産権侵害)があった場合を規律する条項、納期遅延があった場合を規律する条項、個別契約についての定め(個別契約と売買取引基本契約の優劣関係、個別契約の成立条件)、輸出入規制などについて、売主の立場、買主の立場から検討を行い、最終的な契約書を完成させます。

 

なお、中国企業との契約締結にあたっての、準拠法、言語条項、紛争解決方法等の一般的な留意事項については、中文契約書作成の際の留意点を参考にしてください。

 

また、売買取引基本契約書が完成した後、中国企業の担当者に契約締結権限があるかの確認も重要となります。この点については、中国企業と契約を締結する際の契約締結権限の確認方法をご参照ください。

 

当事務所では、「中国語(中文)契約書サービス」として、売買取引基本契約書を含め、各種の契約書について、日本語・中国語間の翻訳、中国語で作成された契約書のリーガルチェック、中国語での契約書の作成等のサービスを提供していますので、是非とも、ご利用ください。

 

文責 河野雄介

 

 

2020年06月15日 10:21|カテゴリー:

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