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国際法務の部屋

不動産投資とESG投資、SDGs

先日、不動産関係のある企業様において、弊所の河野弁護士とともに、「不動産投資とESG、SDGs」について講演しました。

 

先日の河野弁護士のブログでも紹介したとおり、令和2年10月16日、関係府省庁連絡会議において、企業活動における人権尊重の促進を図るため、「ビジネスと人権」に関する行動計画が発表されました。日本政府は、この計画の策定を、SDGsの実現に向けた取り組みの一つとして位置づけた上で、同計画の第3章「政府から企業への期待表明」において、

 

政府からは企業に対し、その規模、業種等にかかわらず、

 

①「人権デュー・ディリジェンスのプロセスを導入すること」

②「サプライチェーンにおけるものを含むステークホルダーとの対話を行うこと」

③「日本企業が効果的な苦情処理の仕組みを通じて、問題解決を図ること」

 

を期待する、と表明しています。

 

この①の内容については、先日の河野弁護士のブログで紹介したところであり、②③の参考になる取り組みについては、私の過去のブログにおいて紹介させて頂きました。

 

なお、③の苦情処理・問題解決制度については、これを強化することによって、

・企業不祥事及びレピュテーション上の損害と経済的不利益の発生・拡大の防止

・責任ある企業行動のためのデュー・ディリジェンス、CSR調達、指導原則で言及されている人権デュー・ディリジェンスの効果的な実施

・取引先・投資家を含むステークホルダーからの信頼の確保と経済的利益(ESG投資を含む)の獲得

といったメリットが認められる他方で、企業がステークホルダーからの苦情申立てや問題提起に対し十分に対応できず、その結果、企業価値が毀損する不祥事が生じた場合、取締役が善管注意義務違反を問われることにもなりかねないというリスクがあると言われています。

 

不動産投資とESG投資、SDGsについて、令和元年7月3日に、国土交通省「ESG不動産投資のあり方検討会」が中間とりまとめを発表しました。

同とりまとめにおいては、【ESG投資、SDGsにおける不動産の重要性】について、「我が国において、2600兆円を超えるとされる不動産は、国民生活や経済成長を支える不可欠かつ重要な基盤であり、環境や社会に関する問題解決に貢献できるポテンシャルも大きい。そのため、不動産の開発・運用・投資において、ESG投資やSDGsの考え方を踏まえることは重要である。」と述べられています。

その上で、【不動産へのESG投資の基本的な考え方】として、我が国の不動産市場・不動産投資市場が、世界的に拡がるESG投資に対応するためには、リスク・リターンの二軸のみを踏まえた投資ではなく、社会的なインパクトという第三軸目も意識した投資が実践される必要がある。そして、それにより、不動産投資が不動産取引の短期的な価値上昇期待のみに基づくものではなく、ESGの組み込みにより、資産が中長期的に生み出す価値を踏まえて行われるようになることが望ましい、との内容が記されています。

 

今回のセミナーでは同とりまとめの内容を紹介した上で、同業他社の具体的取り組みを参考にしながら、SDGsの17のゴールについて自社で取り組むことのできる内容についてグループに分かれでディスカッションをして頂きました。

皆様に基本的な知識を知って頂くにとどまらず、自社で具体的にどのような取り組みができるのかについて考えて頂くことで、より自分の問題として考えて頂く機会を持って頂けたと考えております。

 

当S&W国際法律事務所では、SDGsの基本的な知識から、それぞれの業種に合わせた具体的な取り組み、自社における取組の検討などについて社内セミナーも担当させて頂いておりますので、気軽にお問い合わせ下さい。

 

(文責:三村雅一)

2020年11月16日 15:14|カテゴリー:

|タグ:

、不動産、ESG投資SDGs、弁護士、法律

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人権デュー・ディリジェンスについて

先日、神戸市、ひょうご・神戸国際ビジネススクエア(神戸市海外ビジネスセンター、ひょうご海外ビジネスセンター、ジェトロ神戸)及び弊所が主催する、SDGsビジネスセミナーで、弊所の三村弁護士とともに、「企業にとって必要なSDGsと法務と取り組み事例の紹介」について講演致しました。

このセミナーでも取り上げさせていただいたのですが、企業にとって、人権デュー・ディリジェンス(人権への影響を特定し、予防し、軽減し、そしてどのように対処するかについて説明するために、人権への悪影響の評価、調査結果への対処、対応の追跡調査、対処方法に関する情報発信を実施すること)の重要性が高まってきています。

というのも、令和2年10月16日、関係府省庁連絡会議において、企業活動における人権尊重の促進を図るため、「ビジネスと人権」に関する行動計画が策定され、外務省の報道発表ウェブページには、行動計画が策定された経緯について、下記のような説明がなされています。

「近年、企業による人権尊重の必要性について国際的な関心が高まっています。国連人権理事会では「ビジネスと人権に関する指導原則」が支持され、各国に国別行動計画の策定が促されており、また、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に当たっては、人権の保護・促進が重要な要素と位置付けられています。本行動計画は、こうした背景の下、関係府省庁が協力し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を踏まえた上で、策定されたものです。」

「本行動計画においては、「ビジネスと人権」に関して、今後政府が取り組む各種施策が記載されているほか、企業に対し、企業活動における人権への影響の特定、予防・軽減、対処、情報共有を行うこと、人権デュー・ディリジェンスの導入促進への期待が表明されています。」

そして、「ビジネスと人権」に関する行動計画の第3章にも、「政府は、その規模、業種等にかかわらず、日本企業が、国際的に認められた人権及び『ILO宣言』に述べられている基本的権利に関する原則を尊重し、『指導原則』その他の関連する国際的なスタンダードを踏まえ、人権デュー・ディリジェンスのプロセスを導入すること、また、サプライチェーンにおけるものを含むステークホルダーとの対話を行うことを期待する」との記載があります。

また、2020年10月23日付の日経新聞でも、人権デュー・ディリジェンスの重要性について、上記の「ビジネスと人権に関する指導原則」の策定にも携わった、ハーバード大学ケネディ・スクールのジョン・ラギー教授への下記のようなインタビュー記事が掲載されており、その中で、ラギー教授は、

最も重要なのが指導原則で定めた人権デューデリジェンス(DD)だ。世界では人権DDの活用や義務化が進んでいる。日本も取り残されないよう義務化すべきだ」

「多国籍企業の多くは持続可能な供給網(サプライチェーン)の構築を目指し、公正な生活賃金を支払える仕組み作りをしている。アジアでも日本企業が拠点を置いているミャンマーやタイは強制労働の問題があり、人権DDの必要性は高い

とコメントしています。

このような流れを見ると、海外(とくにASEAN諸国)でビジネスをしている日本企業については、具体的に人権デュー・ディリジェンスに取り組む必要性が加速していくと考えられます。

弊所では、ASEAN諸国に拠点を持つケルビンチアパートナーシップと緊密に連携しておりますので、ASEAN諸国における人権デュー・ディリジェンスをサポートさせていただくことが可能です。また、ビジネスと人権の観点や贈収賄防止の観点から海外のサプライチェーンと締結する契約(取引基本契約書等)において盛り込むべき契約条項ついても研究を重ねており、対応させていただくことが可能です。

ぜひ、お気兼ねなくお問い合わせください。

文責 河野雄介

2020年11月16日 12:28|カテゴリー:

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