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国際法務の部屋

中国でのOEM生産と商標権侵害

日本企業が中国企業とOEM契約を締結し、中国で生産された製品等を、日本や海外で販売するモデルは、現在でも、よく利用されています。先日、中国の最高裁判所(最高人民法院)において、このモデルに関し、注目すべき裁判例が出されましたので、今回は、同裁判例を簡単に紹介します。

 

事案の概要としては、日本の自動車メーカーが、中国において、自社ブランドの文字とロゴの商標登録をしていたところ、ある中国企業が、当該商標に類似する商標を付した製品を製造し、中国国外に輸出しようとしたというものです。

本件では、商標の類似性等も論点とはなっていますが、注目すべきは、被告が主張した「当該製品の全てがOEM製品であり中国内で流通させず輸出するものであるから中国での商標権侵害とはならない」との主張です。

この点について、最高人民法院((2019)最高法民再138号)は、2019年9月23日、製品の全量がOEM製品として輸出されるとしても、越境EC等によって中国内で流通する可能性があること等を理由として、商標権侵害に該当するとの判断をしました。

 

この裁判例が、今後、すべてのOEM契約に適用されるかについては議論のあるところですが、少なくとも、中国企業にOEMでの生産を依頼するに際し、商標権侵害のリスクマネジメントの必要性について、改めて認識する契機といえるでしょう。なお、商標権侵害のリスクとしては、商標権者からの損害賠償請求等だけでなく、OEM製品をOEM先から輸出する際に、中国の税関で出荷に支障が生じるといったことも想定されます。

日本企業としては、これまでにも増して、自社製品に関連する商標権の登録状況の調査、出願、及び、状況によってはライセンス契約の締結等といった、事前のリスクマネジメントを適切に実施したいところです。

 

なお、当事務所では、「中国語(中文)契約書サービス」として、OEM契約を含め、各種の契約書について、日本語・中国語間の翻訳、中国語で作成された契約書のリーガルチェック、中国語での契約書の作成等のサービスを提供していますので、是非とも、ご利用ください。

 

(文責:藤井宣行)

中国語(中文)契約書サービスのご案内

以前、ブログで、中文契約書作成の際の留意点として、中国語(中文)で契約を締結する際の言語条項、準拠法及び紛争解決方法についてまとめました。

言語条項、準拠法、紛争解決条項等の一般的な条項については、上記ブログで書かせていただいた留意点を基にしたひな形を準備していますが、契約書作成にあたっては、どの案件も固有の背景事情があり、「作り込む」作業が必須であると考えています。

そこで、契約書を作成・レビューさせていただくにあたっては、クライアントのビジネスの内容やどのような取引・商流に基づき契約書を締結しようとしておられるか、商品やサービスの具体的内容、契約相手方の情報(規模、信用状況、これまでの取引等)の背景情報をヒアリング(遠方のクライアントの場合は、Zoom等のウェブ会議も活用しています)させていただくようにしています。

また、当事務所では、これまで、多数の中国語(中文)契約書を作成・レビューしてきた実績がありますし、中国国内における訴訟手続のサポートの経験も豊富です。

このような中国法務の豊富な経験と、上記の方針に基づき丁寧にヒアリングさせていただいた情報を基に、想定しておられる取引にどのようなリスクが内在しているのか、どのような条項にすれば当該リスクを軽減することができるかを常に考えながら、契約書を作り上げていきます。

当事務所では、クライアントの皆様に対して、中国企業と契約を締結するに際し、「誰に何を依頼していいか分からない」「中国との契約に特有のリスクがあると思うが、その内容や対応が分からない」といった状況に対応するため、中国語(中文)契約書サービスを提供しております。

ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

文責 河野雄介

新型コロナウイルス感染症とSDGs

去る5月12日に、トヨタ自動車株式会社の決算説明会が開かれました。

今年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、名古屋からWEB配信で行われたとのことです。同説明会の第2部では、豊田社長から「トヨタとしてコロナ危機にどのように立ち向かっていくのか」ということについて、その想いが語られました。(なお、詳しくは、トヨタイムズを参照下さい。)

その中で、豊田社長は、ウィズコロナ、アフターコロナの時代に向けて、自身が全身全霊をかけて取り組むこととして、「世界中で、自分以外の誰かの幸せを願い、行動することができるトヨタパーソンを育てること」=「YOUの視点」をもった人材を育てること、であると述べています。

そして、「世界中で、自分以外の誰かの幸せを願い、行動することができるトヨタパーソンを育てること」=「YOUの視点」をもった人材を育てることとは、「『誰ひとり取り残さない』という姿勢で国際社会が目指している『SDGs』、『持続可能な開発目標』に本気で取り組むことでもあると考えております。」としてその話を締めくくっています。

 

日本のみならず世界の経済が新型コロナウイルス感染症で甚大な損害を被り、規模を問わず、多くの企業が苦しんでいます。何よりも自分たちが生き残るための術を模索することに必死で他者のことを考える余裕を失いつつある、そんなときに豊田社長から発せられたこのメッセージに大きく心を動かされました。

SDGsへの取り組みは、余裕のある大企業が行う社会貢献活動の延長線上にあるものというイメージであったかもしれません。しかし、我々が、新型コロナウイルス感染症によって世界中の企業や個人が大きな被害や制限を受けている今を、そして新型コロナウイルス感染症で訪れるであろう厳しい時期を生き抜くための術こそ、豊田社長の言葉にある、「自分以外の誰かの幸せを願い、行動すること」であり、「SDGsに本気で取り組む」ことなのだと思います。

 

私たちの事務所は、昨年、大阪商工会議所で「自社の強みを強化するSDGsの上手な活用法セミナー」というタイトルでSDGsに関するセミナーを行なってきました。また、このブログでもSDGsをテーマに、SDGsと企業活動について紹介してきました(SDGsと企業活動SDGsと企業活動

そして、これからのウィズコロナ、アフターコロナの時代においてもますます大切となる「SDGs」の考え方について、今後も広くセミナーを行う予定にしています。規模を問わず、出張セミナー等にも対応させて頂きますので、気軽にお問い合わせ下さい。

(文責:三村雅一)

2020年05月19日 14:13|カテゴリー:

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