国際法務の部屋

インドネシア法務

2019.11.20

1 はじめに

SDGsシリーズを継続する予定でしたが、一旦お休みをさせて頂き、今回はインドネシアについて紹介します。

当事務所は、昨年の5月28日に、Kelvin Chia Partnership業務提携を行いました。

その後、昨年の秋には、Kelvin Chia Partnershipの弁護士と共に日本で、ASEANにおける現地法人のコンプライアンスに関するセミナーを共同で開催しました。

そういった関係もあり、この度、Kelvin Chia Partnershipと特別な協力関係にあるインドネシアの首都ジャカルタにあるMartia & Anggraini Partnershipにおいて研修をさせて頂きました。

今回の研修は約2週間という短い期間でしたが、同事務所のインドネシア人弁護士と、日本とインドネシアの法制度の違いについてディスカッションをしたり、クライアントとのミーティングに参加させて頂いたり、一緒に現地の日本企業やJETRO、インドネシア商工会議所(KADIN)などを訪問し、現地の日本企業のリーガル面でのニーズ調査を行うなど、非常に密度の濃い研修を行うことができました。

そこで、SDGsシリーズと並行して、インドネシアの法務シリーズもスタートさせたいと考えています。

今回は、インドネシアの概要及びインドネシア経済と日本企業について紹介します。

2 インドネシアの基本情報について

日本人にとっては「インドネシア」と聞くと、「バリ島」が真っ先に思い浮かぶのではないかと思います。

インドネシアは、約1万4000の島からなる国であり、その面積は191万3580㎢と日本の約5倍の大きさを有しています。私が滞在したジャカルタは、ジャワ島に位置します。

また、人口は約2億6000万人と、中国、インド、アメリカに次ぐ世界で第4番目の数であり、その平均年齢は29歳と若い世代の人口比率が非常に高い国です。

インドネシアの首都ジャカルタにはASEAN本部が設置されており、ASEANの中核として世界に存在感を示している国であると言われています。

3 経済について(JETROの情報に基づく)

GDPの成長率は、2014年以降、約5%の成長をキープしています。

2018年の海外からの直接投資受入額は2万9307億ドルで、主な国として、シンガポールから9193億ドル、日本から4953億ドル、中国から2376億ドル、香港から2011億ドル、マレーシアから1775億ドルとなっています。

日本からの投資は、自動車やバイクから、電気、ガス、水道といったインフラ設備や不動産開発にシフトしています。

2024年には、名目GDP額において、インドネシアは5.4兆ドルになると予測されており、これは中国、アメリカ、インド、日本について世界で5番目であるとされています。

また、人口は2030年には3億人に達すると言われています。

ちょうど私がジャカルタに滞在している間に、ジョコウィ大統領の就任式があったのですが、ジョコウィ氏は、建国100周年にあたる2045年には、GDPが7兆ドルに達し、経済で世界5位に入る、貧困率も0%とする、という目標を掲げていました。

4 日本との関係

インドネシアに対して投資をしている国として日本が世界で2番目の国となっているように、日本とインドネシアは密接な関係にあると言えます。

まず、インドネシアは親日国として知られています。インドネシア国内で販売される自動車の98%,バイクの99%が日本製と圧倒的なシェアを誇っており、また今年の4月から営業を開始したインドネシア初の地下鉄を含む都市高速鉄道システム(MRT)も日本の全面支援によって完成しました。
日本を訪れるインドネシア観光客も急増しており、日本語の学習者数も、現在約75.5万人と世界第2位(2015年、国際交流基金)となっています。ジャカルタのショッピングモールには、我々日本人にも馴染みのある、吉野家、牛角、一風堂、丸亀製麺などなどの日本のレストランも多数あり、日本の食事もインドネシアの方々には好評のようでした。

また、2019年現在、JETROが把握しているインドネシアに進出している日本企業は1574社と言われています。
もっとも、実際は2000社以上が進出していると言われており、非常に多くの日本企業がインドネシアに進出しています。

5 インドネシアのベンチャー企業

このように、インドネシアという国は、若い力に支えられ、経済的にも成長中の新興経済大国であることが分かります。私は初めてジャカルタを訪れ、高層ビルが立ち並ぶ風景に、人々のパワーに圧倒されました。

また、インドネシアの特徴として、GO-JEK(ゴジェック)をはじめとするベンチャー企業も非常に活発であるという点が挙げられます。

アジアでスタートアップエコシステムが最も活況な国はインドネシアだという記事も見受けられるほどで、Google等の予測では、2025年までに同国のデジタル経済は2018年の約3倍に当たる1000億ドル(約10兆9000億円)規模に達するとされており、インドネシアが将来的に東南アジア最大のデジタル経済市場になるとともに、より多くのインドネシア新興企業が世界のIT業界に参入すると言われています。

私がジャカルタを訪れた際に銀行の方や弁護士、若い起業家等から話を聞いていると、インドネシアで最も成長している分野はフィンテック、特にP2Pレンディングの分野の成長が著しいという話をよく耳にしました。この点については次回以降も紹介したいと思います。

6 最後に

今回、僅か2週間でしたが、ジャカルタで研修を行ったことで大きな刺激を受けると共に、この国の可能性を強く感じました。提携先であるKelvin Chia PartnershipやMartia & Anggraini Partnershipの現地弁護士とも協力し、日本からインドネシアに進出を考える企業、既にインドネシアで事業を行っている日本企業、さらにインドネシアから日本に対して進出を考える企業をリーガル面でサポートする体制(インドネシアでの現地法人の設立、英文契約書、インドネシア語契約書のレビュー、労務問題、現地子会社のコンプライアンス体制の強化、各種規制への対応等)を強化したいと考えています。

特に、ベンチャー法務をドメインとする当事務所は、インドネシアへの進出を考えるベンチャー企業のインドネシア進出を積極的にサポート致します。インドネシアにビジネスチャンスがあるのか、実際に現地の起業家から情報を得たい、という要望にも対応させて頂きます。

なお、私は、昨日よりインドネシア語のレッスンを受け始めました。
来年ジャカルタを訪問する際には、少なくとも自己紹介ぐらいはインドネシア語でできるようになる予定です。

執筆者
三村 雅一
マネージング・パートナー/弁護士

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