国際法務の部屋

中国で新たに施行された「民法総則」のご紹介

2017.10.10

中国の全国人民代表大会で、2017年3月15日、民事に関する基本原則を定めた「民法総則」が可決・成立し、10月1日、施行されました。

 

民法総則は、前206条であり、第1章「基本規定」以下、第2章「自然人」、第3章「法人」、第4章「非法人組織」、第5章「民事権利」、第6章「民事法律行為」、第7章「代理」、第8章「民事責任」、第9章「訴訟時効」、第10章「期間計算」及び第11章「附則」から構成されています。

 

全国人民代表大会によれば、今後、民法総則に続き、契約編、物権編、権利侵害編などを順次制定し、2020年までに「中国民法典」として完成させる予定とのことです。

 

なお、中国において、現在有効に存続している民事関係法は、民法通則、物権法、担保法、不法行為法、婚姻法、及び、相続法等の9種類でありますが、これらの法律は、民法総則の成立及び施行に際し、廃止されていません。これらの法律と民法総則との間で矛盾抵触関係が生じた場合には、新法と旧法の関係になるため、新法である民法通則が優先的に適用されるものと考えられます。

 

民法総則が規律する内容で、実務上影響が特に大きいと思われるもの2点を、以下、紹介したいと思います。

 

・ 個人情報の保護について

 

民法総則第111条は、「自然人の個人情報は、法律による保護を受ける。いかなる組織及び個人も、他人の個人情報を入手する必要がある場合には、法により取得し、かつ、情報の安全を確保しなければならず、他人の個人情報を不法に収集、使用、加工又は伝送してはならず、他人の個人情報を不法に売買、提供又は公開してはならない。」と規定しています。

 

同条では、他人の情報を入手する際の「法により取得」する義務や、「情報の安全を確保する義務」等を定めていますが、これらの義務の具体的な内容(言い換えれば、どの程度の対応をすれば、これらの義務を履行したといえるのか)については、少なくとも現時点では不明です。かといって、何の対応もせずに、手をこまねいているだけでは、あまりにリスクが大きいですし、企業としての責任ある対応とも言えないでしょう。そこで、実務上は、日本本社において実施されている個人情報保護規程の中国語版を作成し、中国現地法人においても日本本社と同様の運用をするといった対応が考えられます。

 

なお、個人情報に関しては、2017年6月1日、中国サイバーセキュリティ法(中華人民共和国網絡安全法)が施行されており、同法への対応も重要です。これに関しては、別の機会に、ご説明したいと思います。

 

・ 訴訟時効について

 

日本法には消滅時効という制度があり、これが完成して時効が援用されると権利が消滅します。中国においては、訴訟時効という制度があります。訴訟時効では権利自体は消滅せず、訴訟提起して権利を確保することができなくなると一般に解されています。

 

民法総則施行前は、民法通則135条で、原則として訴訟時効の期間は2年間とされていましたが、民法総則では、この原則を修正して3年に期間を延長しました。

(文責:藤井宣行)

執筆者
S&W国際法律事務所

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