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国際法務の部屋

ウイグル族の強制労働問題とSDGs

先日、「ユニクロ」を展開する株式会社ファーストリテイリング、「無印良品」を展開する株式会社良品計画の決算発表会見において、新疆ウイグル自治区の人権侵害を巡り「新疆綿」に対する考えを問う質問が相次ぎました。

 

また、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)は昨年、日本企業14社を含む大手グローバル企業83社の中国国内のサプライヤー工場で、ウイグル族が監視下に置かれ、移動や信仰などの自由を奪われた状態で強制労働させられていることを示す調査報告書を発表しました。

 

この14社に含まれるのは、日立製作所、ソニー、TDK、東芝、京セラ、三菱電機、ミツミ電機、シャープ、任天堂、ジャパンディスプレイ、パナソニック、良品計画、ファーストリテイリング、しまむらでした。

 

日本ウイグル協会と国際人権団体ヒューマンライツ・ナウによると、これら14社に対し、質問状を送る形で見解および対応策について調査を行ったとのことです。その結果、日立製作所、ソニー、TDK、東芝、京セラ、良品計画の6社は、サプライヤー工場に対して第三者監査を実施したと回答しており、京セラは「取引停止の可能性も含め検討している」と回答、三菱電機、ミツミ電機、シャープは指摘されたサプライヤーとの取引はないと否定するに留まり、パナソニックについては無回答だったとのことです。

 

以前からSDGsと企業活動というタイトルでブログをお届けしてきましたが、企業にとっては、利益のみを重視するのではなく、ESG、持続可能性を理解し経営に入れ込まなければ、それが企業経営にとって大きなリスクとなる。ウイグル族の強制労働問題は、そういった時代が訪れるようになったことを示す一つの事例です。

 

今回のようなサプライチェーン上の人権侵害がもたらすリスクは、その対応によっては、投資の引き揚げや取引停止、ブランドの毀損、不買運動など広範囲におよび、企業・ブランドの存在意義に直結する問題といっても過言ではありません。

 

このSDGsの時代におけるコーポレートガバナンスとして、企業には、「ビジネスと人権に関する指導原則」で求められている、サプライチェーン上で発生する人権に関する負の影響・リスクを特定・評価し、予防や軽減、救済を行うプロセスである「人権デューデリジェンス」の実施が求められています。(ビジネスと人権に関する指導原則、人権デューデリジェンスについて過去記事参照

現在、EUでは、バリューチェーンにおける人権と環境に対するデューデリジェンスの義務化が進んでいます。また、日本でも2020年10月、政府がビジネスと人権に関する国別行動計画を発表し、その中で、人権を尊重する企業の責任を促すための国の取り組みとして、指導原則に基づく人権デューデリジェンスの実施を促しています。

 

さらに、2021年4月6日に公表された「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について」においても、重要な経営課題として「サステナビリティをめぐる課題」が挙げられ、その中で、気候変動などの地球環境問題とともに人権の尊重が明記されました。

 

これからの企業経営においては、社会・環境への要請の更なる高まり、企業のグローバル展開に伴って生じる、海外拠点やサプライチェーン、バリューチェーンにおける諸問題(労働、人権、環境、贈収賄など)への対応など、内外の激しい変化の中で革新的な対応が求められるようになっていくことは既に述べてきたとおりです。

 

その対応指針として、SDGsは大きな意味を持つことから、企業に携わる方々、そして企業法務に携わる我々弁護士も、SDGsの内容をしっかりと理解しておかなければなりません。当事務所においては、SDGsの側面からのコーポレートガバナンスに関するアドバイスも行わせて頂きます。お気軽にご連絡下さい。

 

(文責:三村雅一)

2021年04月23日 07:00|カテゴリー:

|タグ:

SDGs、ESG、弁護士、法律

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