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ベンチャー法務の部屋

委任状や議決権行使書面を事前に出した株主が、株主総会に出席した場合、どのように取り扱うべきか

1 論点


近時、某案件との関係で、
「委任状や議決権行使書面を事前に出した株主本人が、株主総会に出席した場合、どのように取り扱うべきか」という質問を受けました。
なお、当職は、メディアを賑わせている件につき、代理関係や利害関係はありません。また、この投稿は、現在係争中の争訟につき何らかの結論を示唆するものでもありません。

2 結論


結論から言えば、実務上は、委任状又は議決権行使書面を会社宛に送付した株主及び電磁的方法による議決権を行使した株主が、総会当日に株主総会会場に出席を求めてきたときは、出席した時点で、議決権の行使の委任、書面による議決権行使、又は電磁的方法による議決権行使は撤回されたものとして取り扱って差し支えないと考えます。

3 検討


書面による議決権行使ができるのは株主総会に出席しない株主のための制度であることから(会社法第298条第1項第3号第4号参照)、株主が会社に議決権行使書面を送付した場合でも、総会に出席するとその効力は失われると解されています。

なお、①賛否を記載した委任状を付与、②議決権行使書面の提出、③委任状を持参した株主が当日株主総会に出席した、という流れの場合には、②による議決権行使書面の提出は、委任状を撤回して議決権行使書面による議決権行使を行う者と理解して、書面投票を優先させる余地を認める見解があります。この見解に立つ場合は、①の委任状は②の議決権行使書面に提出によって撤回されたものであるので、そもそもその委任状を持参した株主は、効力のない委任状を保有した株主であり、委任関係自体が存在しないともいえるように思います。そのため、この見解に立った場合であっても、株主本人が株主総会に出席した場合は、やはり議決権行使書面は撤回されたものとして、株主総会当日の株主の意思表示が優先されるものと考えられます。
議決権行使書面の提出の後に、その株主が委任状を付与したときは、委任状を持つ当該株主の代理人が出席すれば、やはり議決権行使書面は撤回されたものと考えてよさそうです。

(文責:森 理俊)

2021年11月10日 17:00

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