国際法務の部屋

国際社会における日本のSDGs達成状況

2021.12.20

2020年10月に、日本政府が「ビジネスと人権に関する行動計画」を策定したこと、政府としてはこの行動計画の策定を、SDGsの実現に向けた取り組みの一つとして位置付けている旨、明言していることについては、先日の「企業に求められるSDGs」のブログにおいて紹介しました。

このように、政府が率先してSDGsを推進している日本のSDGsの達成度は、国際的にどのレベルにあるのか、また17のゴールの中で、どのゴールが特に課題とされているのか、という点について紹介します。

ドイツのBertelsmann StiftungとSustainable Development Solutions Networkは、毎年6月に「Sustainable Development Report(持続可能な開発報告書)」を公表し、その中で、国連に加盟する193カ国のSDGs進捗状況を評価し、採点し、ランク付けしています。

2021年6月14日に発表された持続可能な開発報告書によると、2020年の日本のランクは18位でした。これは、過去最低だった2016年に並ぶランクとなっています。
ちなみに、日本より上位の17か国は、上から順に、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ベルギー、オーストリア、ノルウェー、フランス、スロベニア、エストニア、オランダ、チェコ、アイルランド、クロアチア、ポーランド、スイス、イギリスとなっています。
アメリカは32位、中国は57位でした。

同報告書によると、日本では、「4:質の高い教育をみんなに」、「9:産業と技術革新の基盤を作ろう」、「16:平和と公正をすべての人に」といったゴールについては、「SDG achieved」として高い評価を受けている一方で、「5:ジェンダー平等を実現しよう」、「13:気候変動に具体的な対策を」、「14:海の豊かさを守ろう」、「15:陸の豊かさも守ろう」、「17:パートナーシップで目標を達成しよう」については、「Major challenges」として深刻な課題がある旨指摘されています。

課題とされているゴールの中でも特に法律と関わりが深いと考えられる「5:ジェンダー平等を実現しよう」についてより詳しく見ていきます。同報告書においては、それぞれのゴールに対する達成度の評価に際し、「Performance by Indicator」として指標が示されています。そして、「5:ジェンダー平等を実現しよう」のゴールについては、6つの指標が示されています。その指標の中で、深刻な課題を抱えていると評価されているのが、

  • Seats held by women in national parliament (国会における女性議員の割合)
  • Gender wage gap (賃金のジェンダー格差)
  • Gender gap in time spent doing unpaid work(無償労働時間(家事等)のジェンダー格差)

の3つの指標です。

また、「13:気候変動に具体的な対策を」においては、

  • CO2 emissions from fossil fuel combustion and cement production(化石燃料の燃焼とセメント製造によるCO2排出量)
  • CO2 emissions embodied in imports(輸入品に含まれるCO2排出量)
    の指標について深刻な課題を抱えていると評価されています。

さらに、「14:海の豊かさを守ろう」、「15:陸の豊かさも守ろう」においては、生物多様性にとって重要な保護区域が侵されている点など、設けられた指標の大部分において深刻な課題を抱えていると評価されています。

2030年までのSDGsの実現を強く進めようとしている世界の方針、日本の方針に照らせば、深刻な課題と評価されているこれらの点については、今後整備が進められなければなりません。

また、同指標においては、「Trend」として傾向を示す欄も設けられているものの、日本においては、過去のデータが存在しない、または更新されていないために「Information unavailable」とされ、傾向を示すことができない指標が散見されます。

持続可能な開発報告書は、各国政府が公表しているデータや統計に基づき、進捗状況を評価しているところ、日本国内のデータ整備が不十分であることが、達成度ランクが上がらない一つの要因であるという指摘もあります。
単にSDGsを謳うだけではなく、達成度の検証を可能とする前提となるデータの整備は必須です。

持続可能な開発報告書は毎年6月に公表されます。
次回は半年後になりますが、また紹介させて頂きたいと思います。

執筆者
三村 雅一
マネージング・パートナー/弁護士

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