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ベンチャー法務の部屋

仮想通貨と所得税

先日、「国税庁、仮想通貨所得の確定申告促す方法の簡略化など環境整備へ」という報道を目にしました。
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180716/mca1807160500001-n1.htm

仮想通貨の取引と所得税に関し、国税庁は、2017年12月1日付で、「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」を公表し、また、国税庁ウェブサイトのタックスアンサーでも、仮想通貨の取引に関して損益が生じた場合の取扱いを公表しています
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1524.htm

そこでは、仮想通貨の取引に関して損益が生じた場合には、原則として、雑所得(取引規模等によって、例外的に事業所得)に該当するとされています。

そもそも、所得税法では、課税対象となる所得の種類として、10種類を規定しています。そのうちの1つの種類として、譲渡所得という分類がありますが、これについては、所得税法33条1項が、「譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。」と規定しています。

ビットコイン等の仮想通貨の取引に関しては、ある人が、仮想通貨を相対で売却したり、または、経済的価値のある物と交換(交換対象が仮想通貨の場合もあれば、そうでない場合もあるでしょう)することがあります。仮想通貨を売却や交換等の方法で譲渡した人は、その対価としての経済的価値を取得するのですから、譲渡によって得られた所得は、仮想通貨という「資産」を「譲渡」したとして、譲渡所得に該当すると考えるのが素直な解釈とも思えます。

では、国税庁は、なぜ譲渡所得ではなく、原則として雑所得(例外的に事業所得)と判断しているのでしょうか。国税庁のウェブサイト等では、この点について明確に説明しているものは見当たりませんでしたが、おそらく、仮想通貨は、譲渡の対象となる「資産」ではなく、決済手段であると考えているからだと思います。すなわち、一般に、外貨の為替取引を行い、差損が生じた場合には譲渡所得ではなく雑所得として処理するものとされていますが、これは、通貨という決済手段に関する取引であり、所得税法が譲渡所得として予定している「資産」の「譲渡」には性質的に該当しないとの考え方が存在するものと考えられます。仮想通貨についても、資金決済に関する法律でその内容が定義されるといったことからも、有価証券等の資産としての性格より通貨等の決済手段としての色彩が強いという判断が背後にあるものと考えられます。

もちろん、国税庁の考え方が、法律(ここでは所得税法)の解釈のあり方として、常に正しいわけではありませんので、この点について、裁判所で争われた場合に、譲渡所得に該当すると判断される可能性を否定するものではありませんが、譲渡所得の根本的な考え方に関連する興味深い議論であると思います。

                                                  以上

(文責:藤井宣行)

2018年07月19日 09:25|カテゴリー:未分類||コメントはまだありません

「固定残業代」に関連する判例(最高裁平成29年7月7日小法廷判決)の紹介

今回は、「固定残業代」に関連する判例として、最高裁平成29年7月7日小法廷判決を紹介します。

 

1 概説

経営者の方々から、「割増賃金を、予め固定額で基本給や諸手当に含める方法で支払うことに問題はありませんか。」という相談が寄せられることがあります。今回紹介する判例は、時間外労働に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意をしていた医師が、時間外労働に対する割増賃金並びにこれに係る付加金の支払等を求めた事案です。

 

本判決は、
①通常の労働時間に対応する賃金部分と割増賃金部分とを判別できること、
②その上で、割増賃金相当部分が法定の割増賃金額の額を下回らない場合には、
労働基準法37条に定める割増賃金の支払いがされたと認められる旨示しました。
(当然、①の通常の労働時間に対応する賃金部分が最低賃金を下回らないことも必要となります。)

 

経営者の方々としては、本件のように、「時間外労働に対する割増賃金を年俸に含める」という合意をしていたからといって安心できないという点に注意が必要です。

 

それでは、固定残業代の制度を導入する場合、具体的にどのような定めをおけばよいのでしょうか。以下、参考になる条項案を示します。

 

第●条(固定残業手当)
A:基本給には、第〇条に定める時間外勤務手当の●時間相当分(割増賃金計算の基礎となる時給単価×1.25×●)が含まれるものとする。
B:基本給のうち、●万円を、第〇条に定める時間外勤務手当として支給する。

 

この規定は、基本給に固定残業代を含める場合の規定です。
Aのように時間を表示するパターン、Bのように額を表示するパターンが考えられます。

 

 

第●条(固定残業手当)
・□□手当は、第〇条に定める時間外勤務手当の●時間相当分(割増賃金計算の基礎となる時給単価×1.25×●)が含まれるものとする。
・□□手当は、その全額を第〇条に定める時間外勤務手当として支給する。

 

この規定は、固定残業代を「業務手当」等の名目で基本給とは別途支給する場合の規定です。同じく、時間を表示するパターン、額を表示するパターンが考えられます。

 

 

第●条(固定残業手当)
1 従業員には時間外勤務手当の支払いに充てるものとして毎月定額の固定残業手当を支給することがある。
2 会社が固定残業手当を支給するときは、1ヶ月の時間外勤務手当の金額が固定残業手当の金額を超えた場合に限り、超過額を別に支給する。また、深夜割増賃金、休日割増賃金が発生したときは、固定残業手当と別にこれを支給する。

 

この規定は、従業員によって固定残業代が異なる場合に用いる規定です。
固定残業手当として支給する場合のルールを明確に規定しています。

 

判例によると、このような規定を設けた上で、給与明細を確認したときに、通常の労働時間に対応する賃金部分と割増賃金部分とを判別できることが必要とされています。したがって、タイムカード等による労働時間の管理が必要となることは当然の前提となります。

 

それでは、判例の紹介に移ります。

 

2 事案の概要
医師であるXは、医療法人Yに雇用されており、その年俸は1700万円とされていました。XY間の雇用契約においては、時間外勤務に対する給与はYの医師時間外勤務給与規程(以下「本件時間外規程」といいます。)の定めによるとされており、本件時間外規程は、時間外手当の対象となる業務は、原則として、病院収入に直接貢献する業務又は必要不可欠な緊急業務に限ること、通常業務の延長とみなされる時間外業務は、時間外手当の対象とならないこと等を定めていました。また、XY間の雇用契約においては、本件時間外規程に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金については、年俸に含まれることが合意されていましたが、その年俸のうち、いくらが時間外労働等に対する割増賃金に当たるのかは明らかにされていませんでした。

 

本件は、Yから解雇処分を受けたXが、解雇の無効を争うとともに、時間外労働等に対する割増賃金並びにこれに係る付加金の支払等を求めた事案です。以下、本記事においては、割増賃金の部分についてのみ述べます。

 

3 争点
時間外割増賃金が年俸に含まれているか否か(年俸の支払いによって時間外労働等に対する割増賃金が支払われたと言えるか。)。

 

4 裁判所の判断
まず、割増賃金を予め基本給等に含めて支払うという方法自体について、労働基準法37条は、労働基準法37条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定(以下「労働基準法37条等」という。)に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまると解され、労働者に支払われる基本給や諸手当(以下「基本給等」という。)にあらかじめ含める方法により割増賃金を支払うという方法自体が直ちに同条に反するものではない、と述べ、その方法自体を直ちに違法とは判断しませんでした。

 

もっとも、他方、割増賃金を予め基本給等に含める方法で支払う場合において、使用者が労働者に対して労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するためには、その判断の前提として、労働契約における基本給等の定めにつき、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要である、としました。

 

その上で、上記割増賃金に当たる部分の金額が労働基準法37条等により定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは、使用者がその差額を労働者に支払う義務を負うというべきである、としました。

 

そして、本件においては、XとYの間に、本件時間外規程に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金については、年俸1700万円に含まれるという合意があったものの、このうち時間外労働に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかったことから、Xに支払われた年俸について、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することはできない、したがって、年俸の支払いによってXの時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということはできない、としました。

 

5 本判決について
(1) 使用者が時間外・休日労働の規定(労働基準法33条1項2項・36条)によって労働時間を延長し、もしくは休日に労働させた場合、または午後10時から午前5時までの間の深夜に労働させた場合においては、その時間またはその日の労働については、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額に一定の割増率を乗じた割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法37条)(菅野和夫「労働法[第11版補正版]」492頁~493頁)。

 

(2) もっとも、割増賃金の規定が使用者に命じているのは、時間外・休日・深夜労働に対し同規定の基準を満たす一定額以上の割増賃金を支払うことであるので、そのような額の割増賃金が支払われる限りは、法所定の計算方法をそのまま用いなくてもよいとされています。(菅野和夫「労働法[第11版補正版]」498頁)

 

実務でも、法所定の計算方法をそのまま用いずに割増賃金について「固定残業代」として支払う方法が採用される場合があります。固定残業代としては、①時間外労働等に対して定額の手当を支給する定額手当制と、②基本給の中に割増賃金を組み込んで支給する定額給制の方法が考えられます。この点については、「労働者に対して実際に支払われた割増賃金が法所定の計算による割増賃金を下回らない場合には、労働基準法37条違反とならない」とされていることから(昭和24年1月28日基収3947号)、割増賃金不払いの法違反も成立しないこととなります。

 

そして、「労働者に対して実際に支払われた割増賃金が法所定の計算による割増賃金を下回らない」か否かを判断するためには、①であれば、基本給と割増賃金に相当する部分を、②であれば、定額給のうち割増賃金に相当する部分とそれ以外の部分を明確に区別しておかなければならないとされています。さらに、①②とも、割増賃金に相当する額が、労働基準法37条所定の計算方法に基づく割増賃金を満たしている必要があります。

 

(3) また、年俸制と割増賃金との関係については、「年俸に時間外労働等の割増賃金が含まれていることが労働契約の内容であることが明らかであって、割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別することができ、かつ、割増賃金相当部分が法定の割増賃金額以上支払われている場合は、労働基準法第37条に違反しない」とされています(平成12年3月8日基収第78号)。

 

(4) 本判決で示された内容は、本判決が引用する過去の最高裁判例(最二小判平成6年6月13日、最一小判平成24年3月8日、最三小判平成29年2月28日)において明らかにされてきた理解に沿うものです。また、本判決の特徴としては、労働者の労働の特徴や高額の報酬額を問題とせずに、専ら、割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別することができるか、という観点から年俸の中に時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金が含まれていたかを判断している点が挙げられるとされています。

 

このように、割増賃金について、労働基準法37条所定の計算によらずに固定残業代として支払うことが許されるか、という問題については最高裁として上記の一定の基準が示されていることが認められます。

 

今後、固定残業代の制度を導入する場合には、本判決及び本判決が引用する最高裁判例が示す基準、すなわち、①通常の労働時間に対応する賃金部分と割増賃金部分とを判別できること、②その上で、割増賃金相当部分が法定の割増賃金額の額を下回らないかを検討して、労働基準法37条に定める割増賃金の支払いがされたといえるか否かを判断する、という基準にご留意頂く必要があります。

 

(文責:三村雅一)

2018年04月13日 11:44|カテゴリー:企業法務, 未分類||コメントはまだありません

定型約款に関する民法改正(3)

これまで2回にわたって定型約款に関する民法改正について紹介してきました。今回が最終回になります。

 

1 定型約款の内容の表示(第548条の3)

 

前回紹介したように、改正民法は、第548条の2第1項で、定型約款が契約内容となるための要件として、①定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき、②定型約款準備者があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき、と規定しています。このように、改正民法は、原則として定型約款を契約内容とするための要件として、定型約款の内容の開示を求めていません。

もっとも、定型約款を用いた取引を行う場合、定型約款を示される相手方としては、契約の内容となる約款の内容を知っておかなければ不安であることから、実務上は、契約前に約款の内容が示されることが通常であると考えられます。

改正民法第548条の3は、この約款内容の開示に関し、(1)定型約款準備者から約款の内容について任意の開示がされていない場合に開示を求めることができるのか、(2)定型取引合意前に約款の内容が開示されなかった場合にまで定型約款が契約内容となるのか、といった点について定めた規定です。

 

(1)について

まず、第548条の3は、第1項で、定型約款準備者の相手方に対する定型約款の内容に関する開示義務を定めています。ただし、定型約款準備者が既に相手方に対して定型約款を記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、改めて開示する必要はありません。

 

(2)について

次に、同条第2項は、「定型約款準備者が定型取引合意の前において前項の請求を拒んだときは、前条の規定は、適用しない。」として、定型約款準備者が契約締結前に正当な理由なく第1項の開示請求を拒んだ場合には、定型約款は契約内容とならない旨定めています。

また、同じく定型約款準備者が第1項に定める開示義務に違反した場合には、相手方に対し、それによって被った損害の賠償義務を負うことになります。

 

なお、本条に定める開示をもって、重要な約款事項について信義則上の情報提供義務・説明義務を果たしたことにはならない点には注意が必要です。

 

本条第2項で、開示義務に違反した場合には定型約款が契約内容とならないとされていること、また、開示義務に違反したことによる損害賠償義務を負いうること、さらに、第548条の2の第1項第2号において、予め定型約款の内容を開示していたときには定型約款が契約内容となるとみなされることに照らせば、実務的には事前に定型約款を契約の内容とする旨を相手方に示すとともに、定型約款の内容を記載した書面等を相手方に交付しておくべきであると考えられます(第一東京弁護士会 司法制度調査委員会編 「改正債権法の逐条解説」262頁参照)。

 

2 定型約款の変更

 

定型約款により契約が成立した後に内容を変更する必要が生じた場合について定めているのが第548条の4です。

 

本来、一度成立した契約の内容を変更するためには、相手方の同意が必要であるのが原則です。もっとも、定款取引は不特定多数の相手方を対象としていることが多く、個別の同意を得ることは現実的に不可能です。

 

この点について、約款変更の要件に関する明確な規定や運用が定まっていなかったため、改正民法第548条の4は、(1)定型約款に基づく契約を締結した後に定型約款準備者が約款の内容を変更するための要件、(2)その際の手続等について明らかにする規定になっています。

 

(1)約款変更の要件について

①定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき

②定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき

には、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなされます。

 

②の要件を満たすか否かの判断の際の考慮要素として挙げられている事情についてはあくまで例示列挙であり、これ以外にも、例えば、相手方に解除権の付与など、相手方が被る不利益を軽減する措置が講じられているか否かといった事情も考慮要素となります。

 

なお、[定型約款中に、「定款を変更することができる」旨の定めがあること]については、約款変更のための要件ではありませんが、これも上記考慮要素の一つとされていることから、定型約款を作成する際には、定型約款中に、「定款を変更することができる」旨の定めを置くことをおすすめします。

 

(2)約款変更の際の手続について

本条2項では、定型約款準備者は、定型約款の変更をするときは、

①約款変更の効力発生時期を定め、かつ

②定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知する

必要があります。

 

本条3項では、(1)②の方法による変更の場合、すなわち、定型約款の変更が相手方の利益に適合するという判断に基づく場合ではなく、合理性の基準を満たすという判断に基づく場合については、効力発生時期までに上記周知をしなければ変更の効力を生じないとされています。

 

なお、周知→効力発生という手続を踏まなければならないことは規定されているものの、周知から効力発生までにどの程度の時間を置けばよいのかについては具体的に定められていません。この点については、周知という手続が、定款の変更によって不利益を受ける相手方を保護するための手続である以上、不利益への対抗措置を講じるのに十分な時間か否かが判断基準とされると考えられます。

 

最後に、本条4項においては、第548条の2第2項のみなし合意除外規定を適用しない旨確認的に規定されています。これは、定型約款変更の有効性に関する本条1項1号及び2号における判断は、第548条の2第2項の判断よりも慎重かつ厳格に行われるものであることを理由とするものです。

 

3 改正民法施行日前の契約について

改正民法施行日以後の定型取引については、改正民法が適用されます。

この点、附則第33条第1項本文は、改正民法の施行日前に締結された定型取引にかかる契約についても、定型約款に関する改正民法の規定が適用される旨定めています。ただし、附則第33条第1項ただし書は、旧法の規定によって生じた効力を妨げないと規定していることから、旧法のもとで有効なものとされていた約款条項が改正民法の定型約款に関する規定によって無効なものとされることはありません。また、施行日前に、相手方から反対の意思が書面・電磁的記録によって示された場合には、附則第33条第1項は適用されません(附則第33条第2項、第3項)。

 

以上

2018年03月20日 17:16|カテゴリー:未分類|タグ: , コメントはまだありません

定型約款に関する民法改正(1)

皆様は、携帯電話や旅行、保険の契約の際など、細かい文字でびっしりと記載された約款をご覧になられたことがあるかと思います。このように、現代社会においては、多くの場面で事業者側が作成した約款に基づく取引が行われています。

 

一般的に、こういった約款を使用した取引では、約款を示された側において、契約前にその約款の条項の内容全てについて説明を受けることは極めて稀であり、条項の内容を認識しないままに契約を締結してしまうということが多々あります。私自身、弁護士という仕事をしていますが、業務以外で約款を全て読んだことなどありません。

 

さて、私も含めてになりますが、契約前に約款について十分な検討をしないことによって、契約を締結した後に、「そんな条項が約款にあったのは知らなかった。」という形で、認識していなかった約款の条項に関するトラブルが発生することがあります。

 

そこで今回のブログでは、平成29年5月26日に成立した、民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)(同年6月2日公布)において、新たに設けられることとなった「定型約款」に関する規定について紹介します。なお、今回の改正は、一部の規定を除き、平成32年(2020年)4月1日から施行されます。(用語について、施行前であることから、改正前の民法を「現行民法」、改正後の民法を「改正民法」と呼ぶことにします。)

 

まず、現行民法には、約款に関する規定は存在しません。もっとも、原則として、約款の内容について同意があった場合(保険契約において、「約款の内容について同意します」という欄にチェックを入れる場合や、オンライン契約の際に、まず約款の確認を求められ、「同意しました」のボックスについてクリックを求められる場合など。)には約款の内容についても契約の内容となる、というのが一般的な解釈でしょう。この点、約款に記載された内容が契約内容となるかが争われた裁判例においても、「保険加入者は反証のない限り約款の内容による意思で契約をしたものと推定すべきである」と判示した裁判例(大審院大正4年12月24日判決)が存在します。もっとも、当事者が約款に記載された条項について認識していなかった場合に、同条項について、「合意の対象になっているものとは言いがたく、これに当事者を拘束する効力を認めることは相当でない。」旨判示した裁判例(山口地裁昭和62年5月21日判決)も存在するなど、約款の拘束力の根拠について議論されたり、約款に関するルールについてより明確なものとすべきであるとの要請が高まっていました。

 

そこで、今回の民法改正においては、約款を用いた取引におけるルールを明確化すべく、定型約款に関する規定が新設されました。

 

具体的には、改正民法では、第548条の2において、約款の定義、約款に含まれる個別の条項が契約内容とされるための要件を、第548条の3において、約款の内容の表示義務及び同義務に違反した場合の効果を、第548条の4において約款内容の変更のための要件を定めています。

 

事業者の皆様の中には、改正民法第548条の2~同条の4の対象となる「定型約款」を用いた取引を行っている方もが多くおられます。この点、定型約款に関する改正民法は、改正法施行日以後の定型取引だけでなく、改正民法施行日前に締結された定型取引にも適用される旨を定めています(改正民法附則第33条第1項)。したがって、実務に与える影響は決して小さいものではなく、皆様にも知っておいて頂く必要性が高いものであると考え、紹介させて頂きました。

 

なお、改正民法第548条の2~同条の4の詳細については、今後随時アップさせて頂く予定にしております。また、当事務所では、実務に与える影響が大きいと思われる改正を中心に、改正民法に関するセミナーを開催する予定にしておりますので、この点についても詳細が決まり次第アップさせて頂きます。

 

参考文献:「新旧対象でわかる 改正債権法の逐条解説」(第一東京弁護士会 司法制度調査委員会 編)、「実務解説 改正債権法」(日本弁護士連合会 編)

2018年01月24日 12:29|カテゴリー:未分類|タグ: , コメントはまだありません

株式譲渡契約に関する注意点(1)

前回のブログでは、株式譲渡契約における価格調整条項の内容に関する裁判例を紹介し、株式譲渡価格決定の基礎となる対象会社の財産状況が試算された日(基準日)から実際の株式譲渡の日までの間に時間的間隔がある場合に注意すべき点について説明をしました。

もっとも、株式譲渡契約においては、その他にも注意すべき点が多々存在するため、その注意点について説明をしたいと思います。

 

1 譲渡の合意

株式譲渡契約とは、株式の売買契約を意味します。そこで、まずは、目的物となる株式を特定し、その所有権の移転を約するとともに、その対価である代金を定める必要があります。

 

(1)株式の特定

譲渡の対象となる株式を明確に特定する必要があります。

一般的に、発行会社、株式の種類及び数で特定します。

なお、対象会社が株券発行会社の場合には、株券番号によっても特定を行う方法が考えられます。

 

(2)譲渡価格

譲渡価格の算定方法には様々な方法があるものの、株式譲渡契約書には、当事者間で合意した価格を記載します。

もっとも、株式譲渡契約の締結から実際に株式譲渡が行われる日までの間に時間的間隔がある場合には、両時点において対象会社の価値が変動する場合があります。

そのため、事後的に価格調整を行うための価格調整条項を設けることが考えられます。但し、前回のブログで紹介した裁判例のように、価格調整条項を設けていたとしても、どの範囲の変動が価格調整の対象になるのか、ということが争われることがあるため、この点についても事前により明確に定めておくことが望ましいと考えます。

 

上記売買契約の一般的な内容に加え、株式譲渡によってある企業の株式を取得するということは、その企業そのものを取得するという側面があるため、通常の売買契約とは異なる視点で注意をしなければならない点がありますので、以下、説明します。

 

2 株式の譲渡と譲渡代金の支払い

 

(1)譲渡日に加え、時間や場所等について定めることが考えられます。

 

(2)同時履行の確保

対象会社の株式の移転と、対価である代金の支払いとは、同時履行の関係にあるのが原則であり(民法533条)、この原則に従って、契約と同時に株式は移転し、対価の支払義務が生じることとなります。

そのため、株式の移転に必要な書類交付の履行時期と、代金の支払時期や条件を明確にすることが考えられます。

 

(3)株式譲渡に要する手続

株式譲渡に必要な会社法上の手続は、①対象会社が株券発行会社か否か、②当該株式が譲渡制限株式であるか否かによって異なります。

 

①まず、対象会社が株券発行会社である場合、株券の交付が株式譲渡の効力発生要件であるため(会社法128条1項)、株券の交付が必要となります。したがって、株券が発行されていない場合には、株券を発行してもらい交付を受けることとなります。もっとも、株券を所持することで喪失する危険性があるため、譲受人から会社に対して株券不所持の申し出(会社法217条1項)を行うことが考えられます。

次に、株主名簿の書換えが会社に対する対抗要件として必要となります(会社法130条1項、2項)。

一方、対象会社が株券不発行会社である場合、株券の交付は必要とされませんが、会社その他の第三者に対する対抗要件として株式名簿の書換えが必要となります(会社法第130条1項)。

 

②当該株式が譲渡制限株式である場合、対象株式を譲渡するためには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければなりません(会社法139条1項)。もっとも、定款に別の定めがある場合(会社法139条1項但書)もあるため、対象会社の譲渡承認機関については定款または登記簿謄本確認が必要です。

 

上記①②の内容によって、株式の所有権の移転に必要とされる資料や手続が異なることから、契約の際には注意が必要となります。

 

 

次回も引き続き、株式譲渡契約に関する注意点について説明をします。

 

(文責:三村雅一)

2017年10月29日 14:47|カテゴリー:未分類||コメントはまだありません

株式譲渡契約に関する判例の紹介

ベンチャー法務の部屋、第2回ブログでは「株式譲渡契約」に関連する判例として、東京地裁平成28年6月3日判決を紹介します。

 

1 事案の概要

X株式会社が、YからYの所有する株式会社Aの発行済全株式を譲り受ける旨の契約を締結しました。同契約においては、①Aの純資産が基準日現在の純資産と比較して増加または減少した場合には、譲渡価格から増減分を調整し、精算を行うこと、②Yは、Aに簿外債務及び偶発性債務が存在しないことを表明保証し、仮に同表明及び保証が正確でなかったことによりXに損害が発生した場合には、その損害を賠償し、又は譲渡価格の変更に応じること、が合意されていました。

その後、株式譲渡が実行されたが、実行後に、XがYに対し、株式譲渡実行前における、Aの純資産額が変動したこと及び簿外債務の存在が判明したことから、株式譲渡契約上の価格調整条項(上記①)に基づく譲渡価格の減額及びYの表明保証違反に基づく損害賠償(上記②)を求めた事案です。

 

2 争点

株式譲渡契約上の価格調整条項に基づく譲渡価格の減額の当否

 

3 裁判所の判断

上記争点においては、不動産について、譲渡価格の調整に際して考慮すべき資産となるか否かが争われたところ(不動産以外の点については、積極的に争われませんでした。)、裁判所は、「株式譲渡契約において、譲渡代金を精算する旨の条項が設けられる趣旨は譲渡価格決定の基礎となる対象会社の財産状況が試算された日(基準日)から実際の株式譲渡の日までの間に、対象会社の流動資産自体又はその評価に変動が生じる可能性があることを考慮してのものであると解される」とし、「不動産は、固定資産であって、基準日から譲渡日までの間という比較的短期間(本件では約1ヶ月半)であれば、かかる変動が生じる可能性は低いというべきであるから、精算金の額を計算するに際して考慮するべき資産とはならない」と判示しました。

 

4 本判決について

本判決が述べるように、本件のような価格調整条項が設けられる趣旨は、譲渡価格決定の基礎となる対象会社の財産状況が試算された日(基準日)から実際の株式譲渡の日までの間に時間的間隔が生じる場合には、その間に対象会社の資産・負債額が変動する可能性がある点にあります。

もっとも、どの範囲の変動が価格調整の対象になるのか、という点が、本件裁判で争われた主な内容でした。

本件では、問題となった不動産の評価額が譲渡価格の決定にあたって当事者間で合意されていたこと、基準貸借対照表において、評価額の変動が生じる可能性がある項目については事前に印を付していたこと、基準日から株式譲渡日までの期間が比較的短期間であったこと(約1ヶ月半)といった事実関係から、同不動産を譲渡価格の調整に際して考慮すべき資産とはならないと判示しました。

このように、本判決は、上記の個別事情を前提とした事例判断ではあるものの、株式譲渡契約において、譲渡価格決定の基礎となる対象会社の財産状況が試算された日(基準日)から実際の株式譲渡の日までの間に時間的間隔が生じる場合の紛争予防の観点から参考になる判例であると考えます。

 

 

次回は、本判決の内容も踏まえて、株式譲渡契約の際の注意点について検討します。

(文責:三村雅一)

2017年10月19日 10:55|カテゴリー:未分類||コメントはまだありません

お知らせ「Startup Engine 2014」の開催

今年も、昨年に引き続き、起業家やそれをサポートする方々を対象とした『スタートアップエンジン2014』を開催することになりました。今年の場所は、昨今ベンチャー界隈でホットな、大阪イノベーションハブ(グランフロント大阪 ナレッジキャピタルタワーC 7階)です!

今回は、
   イー・ガーディアン株式会社 代表取締役社長 高谷 康久 様、
   株式会社サイバーエージェント 人事本部 全社人事部長 武田 丈宏 様、
のご講演のほか、
   一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会会長 安達 俊久 様
   イー・ガーディアン株式会社 代表取締役社長 高谷 康久 様
   有限責任 あずさ監査法人 パートナー/公認会計士 三宅 潔 様
   株式会社東京証券取引所 執行役員(上場推進担当) 村田 雅幸 様、
という豪華ラインナップで、株式上場の最前線をテーマに、パネルディスカッションをする予定です。

また、イベントの後には、ネットワーキングディナーを開催する予定です。
概要は、こちらからご覧いただけます。

【日 時】 2014年6月13日(金) 13:30~17:30
【会 場】大阪イノベーションハブ(グランフロント大阪 ナレッジキャピタルタワーC 7階) 案内図(PDF)
【参加費】 一般:4,000円(税込) 学生は50名先着で無料!
【ウェブページ】 http://startup-engine.com/event/663
【ネットワーキングディナー】 夜6時から、開催予定(参加費2,000円)(先着40名様)

お申し込みは、こちらからお願いします。

起業について関心のある方、企業内部で新しいことに挑戦する方、ベンチャー企業への 就職や転職を考えたことのある方、ベンチャー・キャピタル等の投資家の方、証券会社等の金融機関で上場やバイアウトを担当されている方、中小企業・ベン チャー企業のサポートをしているプロフェッショナルの方など、多くの方のご参加をお待ちしています。

2014年05月20日 20:15|カテゴリー:未分類||コメントはまだありません

お知らせ「Startup Engine 2013」の開催

今年も、昨年に引き続き、起業家やそれをサポートする方々を対象とした『スタートアップエンジン2013』を開催することになりました。

今回は、
  元クックパッド株式会社CFO 成松 敦 様、
  ブログ「ビジネス法務の部屋」弁護士 山口 利昭 様、
  株式会社シナジードライブCEO 板倉 雄一郎 様、
  という豪華ラインナップでお届けする予定です。

また、イベントの後には、ネットワーキングディナーを開催する予定です。
概要は、こちらからご覧いただけます。

【日 時】 2013年5月17日(金) 13:30~17:30
【会 場】 大阪国際会議場
【後援・協力】 [後援]大阪証券取引所 [協力]株式会社 幕末、黒字社長塾、北浜総合会計事務所、NEOWOMAN
【参加費】 4,000円(税込) 学生2,000円(税込)
【ウェブページ】 http://startup-engine.com/
【懇親会】 夜6時から、開催予定(参加費5,000円)
お申し込みは、こちらからお願いします。

起業について関心のある方、企業内部で新しいことに挑戦する方、ベンチャー企業への 就職や転職を考えたことのある方、ベンチャー・キャピタル等の投資家の方、証券会社等の金融機関で上場やバイアウトを担当されている方、中小企業・ベン チャー企業のサポートをしているプロフェッショナルの方など、多くの方のご参加をお待ちしています。
2013年05月02日 20:35|カテゴリー:未分類||コメントはまだありません

お知らせ「Startup Engine 2011」の募集人員増加

以前お知らせした「Startup Engine 2011」 について、大変ありがたいことに、多数のご応募をいただいております。

開催1ヶ月前ではありますが、当初の募集人員の100名を越えそうになりましたので、急遽、座席の配置等を工夫し、150名とさせていただくことにしました。

募集人員を増やしてからも、ご応募いただいており、このままではかなり早目に募集を打ち切らせていただくことになってしまうかもしれません。

参加をご希望の方は、なるべく早目に参加登録をお願いいたします。

【日 時】 2011年5月20日(金)13:00〜17:30
【会 場】 大阪国際会議場
【後援・協力】 [後援]大阪証券取引所 [協力]株式会社 幕末
【セッション】
Session 1 ライフネット生命の挑戦

ライフネット生命保険株式会社 代表取締役副社長 岩瀬 大輔 様

Session 2 マイノリティのすすめ

日本マイクロソフト株式会社 コミュニケーションズ・セクター

クラウド・ソリューション営業部 統括部長 今井 早苗 様

Session 3 等身大の経営者が語るBuyout

株式会社オークファン 代表取締役 武永 修一 様
ジンガジャパン株式会社 ジェネラル・マネージャー 山田 進太郎 様
株式会社美人時計 専務取締役 早 剛史 様
株式会社アトランティス 代表取締役社長 CEO 木村 新司 様

Session 4 目指せ!Good to Great~起業を支えるプロフェッショナルの立場から~

アントレプレナーファクトリー 代表取締役嶋内秀之
武田公認会計士事務所 公認会計士武田雄治
山本・森・松尾法律事務所 弁護士森理俊

【参加費】 一般席:3,000円(税込)  学生席:1,000円(税込)
※学生席には限りがございます。
【ウェブページ】http://startup-engine.com/
【懇親会】 夜6時から、開催予定(参加費5000円)

お申し込みは、こちらからお願いいたします。

2011年04月26日 12:30|カテゴリー:未分類||コメントはまだありません

被災中小企業者対策(2011年3月13日)

中小企業庁が、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震等による災害の激甚災害の指定及び被災中小企業者対策について」というプレスリリースを出しています。

対象は、「全国」の被災中小企業者とのことです。但し、市町村長等から罹災証明が必要となる可能性が高いですので、詳細は、中小企業庁の該当ページをご確認の上、相談窓口でご確認下さい。

1.特別相談窓口の設置
全国の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、中小企業基盤整備機構支部及び経済産業局に特別相談窓口を設置。

2.災害復旧貸付の実施
日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫が、今般の災害により被害を受けた中小企業者を対象として、運転資金又は設備資金を別枠で融資する災害復旧貸付を実施。

3.既往債務の返済条件緩和等の対応
日本政策金融公庫、商工組合中央金庫及び信用保証協会において、返済猶予等既往債務の条件変更、貸出手続きの迅速化及び担保徴求の弾力化等について、被災中小企業者の実情に応じて対応。

4.小規模企業共済に係る救済措置
今般の災害により被害を受けた小規模企業共済契約者に対し、中小企業基盤整備機構において①原則として即日で低利で融資を行う災害時貸付の適用、②共済掛金の納付・一時貸付金の返済支払いの猶予、③共済金支払いの迅速化等を実施。

5.中小企業倒産防止共済に係る救済措置
今般の災害により被害を受けた中小企業倒産防止共済契約者等に対し、中小企業基盤整備機構において、①共済掛金の納付・共済金貸付金の返済支払いの猶予、②共済金支払いの迅速化等を実施。

【被災中小企業者対策の概要】

1.災害関係保証の発動
市町村長等から罹災証明を受けた中小企業者に対して、信用保証協会は、別枠で保証します。(100%保証。保証限度額は無担保8千万円、普通2億円。)

2.小規模企業向けの設備資金融資の償還期間の延長
小規模企業者等設備導入資金貸付制度及び小規模企業設備貸与制度について、既往貸付金の償還期間を2年延長(7年以内→9年以内)します。

3.事業協同組合等の施設の災害復旧事業に係る補助
都道府県が行う事業協同組合等の災害復旧事業に係る補助に対する支援を行います。(都道府県が事業費の3/4を補助する場合、国はその経費の2/3を補助。)

4.災害復旧貸付の金利引下げ
被災中小企業者に対して、日本政策金融公庫及び商工組合中央金庫が別枠で行う災害復旧貸付について、特段の措置として、0.9%の金利引下げを行います。
   (注)資金使途:運転資金又は設備資金
貸付限度額:日本公庫(中小事業1.5億円、国民事業3千万円):商工中金 1.5億円
貸付金利 :基準金利(中小事業1.75%、国民事業2.25%)(貸付期間5年以内の基準利率(平成23年3月12日現在))
金利引下げ:貸付額のうち1千万円を上限として貸付金利から0.9%を引下げ

2011年03月14日 18:00|カテゴリー:未分類||コメントはまだありません
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