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国際法務の部屋

マネー・ローンダリング①

先日、河野弁護士と共に、『金融商品取引業者が押さえておくべきマネロン対策』と題する企業内セミナーを担当させて頂きました。

今後、河野弁護士と共にマネー・ローンダリングに関する情報をブログで提供していこうと考えています。

まず、今回は、マネー・ローンダリングに関する基礎的な知識について紹介します。

 

1 マネー・ローンダリングとは?

マネー・ローンダリング(money laundering)とは、違法な行為による収益の出所を隠すことであると言われています。具体的には、表に出せないようなお金を偽名で開設した金融機関の口座に隠匿したり、複数の預貯金口座に次々と移動させたり、不動産を購入したり、様々な方法によってその出所を分からなくするための行為を指します。

このマネー・ローンダリング(money laundering)という言葉は、アメリカのギャングであったアル・カポネがコインランドリーをマネー・ローンダリングに利用したことに由来すると言われています。すなわち、犯罪によって稼ぎ出した膨大なお金を合法的な収入に見せかける方法として、アル・カポネは、現金払いで商売をするコインランドリーをいくつも買って、汚れた金をきれいな金に紛れ込ませ、賭博や密売ではなくアメリカ一般市民のシャツや靴下を洗濯することで富を築いたのだと言ってのけたとのことです。

マネー・ローンダリング(money laundering)の「launder(ラウンダー)」とは、日本語で「洗濯する」という意味です。したがって、マネー・ローンダリングは、「資金洗浄」と訳されます。

アル・カポネの時代と比べ、マネロンの規模と複雑さは格段に増していると言われています。2018年の国連の推計によれば、1年間に資金洗浄される犯罪収益は1兆6千億ドルから4兆ドルで、全世界GDPの2~5%にのぼるとのことです。

この度、我々がマネロンセミナーを開催させて頂いた企業は、不動産事業に関連する企業でした。この点、不動産とマネロンの関係について、国際通貨基金(IMF)の法律局長による、「悪弊を一掃する」というタイトルの記事では、次のように紹介されていました

「ある意味では、高級物件は現代のギャングにとってのコインランドリーだ。米国当局が昨年(2017年)発行した公告によれば、ニューヨーク市などいくつかの大都市圏における高額で現金決済の不動産購入の3割以上が、既に疑わしい取引への関与が疑われている人物によるものだった。オーストラリア、オーストリア、カナダをはじめとする各国の政府は、自国の不動産市場が不正資金の投資や洗浄に使われる可能性があると結論づけている。」

このように、不動産とマネロンは非常に密接な関係にあると言えます。

 

2 マネー・ローンダリングはどのように行われるのか?

マネロンに用いられる手法は様々であり、時代によって変化しますが、そのプロセスについては3つの段階に分解できると考えられています。

①プレイスメント(預入)

第1段階は、犯罪によって得られたお金を金融システムに取り込む、あるいは合法的な商取引の流れに取り込む段階への資金の取り込む段階です。

例えば、犯罪収益(現金)を銀行口座に預け入れる方法、現金を多く取り扱う業種(カジノ、小売業者等)において、合法的な事業による売上金の中に犯罪収益を混入させる方法などが考えられます。

②レイヤリング(分別)

第2段階は、金融システムに取り込まれた犯罪資金の出所を分からなくするための処理です。例えば、複雑な送金取引を繰り返して資金の追跡を困難にする方法や、国際的な送金取引(マネロン規制の緩い国等)を利用したり、実体のない法人名義の口座を経由させる方法などによって資金の流れを不透明なものにします。

③インテグレーション(統合)

第3段階は、出所を隠ぺいした犯罪資金を、合法的なビジネスによる収益等であるように偽装するなどして、表の経済に統合させる処理です。

このフェーズは、「正当化」と「投資」の2つのフェーズから構成されると言われています。「正当化」とは、正当な事業資金への組み入れ(例:金融機関からのローンを不必要に借り入れて、資金の原資は金融機関からの借入金であるように偽装する方法)のことを言います。「投資」とは、手元に残った洗浄済み犯罪収益を大手を振って利用する段階のことを言います。

先ほどの不動産取引が出てくるのは、この第3段階となります。不動産取引がマネロンの手法として利用されるのは、不動産は一般的に価格が安定し、将来の値上がりが期待できる点、1回の取引で大量の資金を移動できる点が主な理由となっているようです。このような理由から、不動産取引はマネロンの方法として用いられるリスクが高い取引であると言われています。

 

次回以降、マネロンに対する規制の内容について説明します。

 

当事務所では、AML/CFT(Anti-Money Laundering/Counter Financing of Terrorism)(マネー・ローンダリング防止/テロ資金供与防止)のための規程整備、態勢整備に関するアドバイス、セミナーも行っておりますので、お気軽にご相談下さい。

 

(文責:三村雅一)

2021年03月12日 13:23|カテゴリー:

|タグ:

マネロン

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