ベンチャー法務の部屋

財産開示手続

2021年11月20日付け岐阜新聞WEBで、「裁判所からの呼び出しに出頭せず 民事執行法違反の疑いで男を逮捕、岐阜県警」との記事がありました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9f3cfb26143872324b5c43e33262c01df7282667

記事によれば、「逮捕容疑は、岐阜地裁から10月8日午後2時30分開廷の民事裁判に呼び出しを受けていたにもかかわらず、正当な理由なく法廷に出頭しなかった疑い。」とのことです。

この記事に記載されている「民事裁判」というのは、民事執行法第196条以下で規定されている財産開示手続のことであると考えられます。

財産開示手続は、債権者が債務者の財産に関する情報を取得することを目的とするもので、債務者が財産開示期日に裁判所に出頭し、その財産状況の報告等をするものです。

裁判所に対し、財産開示手続の実施を求めることができる者の範囲について、以前は、いわゆる勝訴判決が確定した得た場合等に限定されていましたが、令和元年に改正された民事執行法で、仮執行宣言付判決も含まれるなど拡大されました。

また、財産開示手続に違反した債務者に対するサンクションとして、以前は、30万円以下の過料の制裁が規定されていましたが、令和元年の改正で、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が規定されました(民事執行法第213条第1項第5号、6号)。

冒頭のニュース内の逮捕は、これらの刑事罰のための捜査手続ということになります。

執筆者
藤井 宣行
マネージング・パートナー/弁護士

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