ベンチャー法務の部屋

新規性喪失の例外が緩和の方向へ

昨日(17日)配信の日本経済新聞のニュースに、「特許の出願、発明公表後も可能に 11年の法改正目指す」というものがありました。

特許庁は大学などの研究者が特許出願をしやすくするため、特許法を改正する方針を固めた。特許を取得できるのは原則として未公表の発明に限られているが、学会などで公表した後の出願も認める。大学の研究者は特許取得より学会などでの論文発表を重視する傾向があるため、発表が特許取得の障害にならないようにする。(引用終わり)


現在の特許法上、特許出願より前に公開された発明は原則として特許を受けることができません。しかし、論文発表等が先行する場合でも常に特許を取得できなくなるとすると、酷ですので、特定の学会での発表等一定の条件の下で発明を自ら公開し、その後に特許出願した場合には、先の自らの公開によってその発明の新規性が喪失しないとする規定が設けられています(特許法第30条)。

ただ、この例外規定を受けるためには、基本的には特許法第30条第4項の手続きが必要となります。この手続きの詳細については、特許庁のホームページの「発明の新規性喪失の例外規定(特許法第30条)の適用を受けるための手続について」(平成22年3月 調整課審査基準室)を参考にしてください。

この法改正が、大学発ベンチャーや産学連携事業の活性化に繋がり、また、うっかりな新規性喪失が減ることに期待したいと思います。

執筆者
S&W国際法律事務所

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