ベンチャー法務の部屋

第三者委員会

企業において不正・不祥事が発生した場合に、調査委員会が設置され、調査委員会が調査を行って報告書を作成することがあります。

こういった調査は、企業がステークホルダーに対して不正・不祥事の事実関係を公表するといった情報公開、及び、原因を分析することによって将来における不正・不祥事の予防といったことを目的として行われます。また、不正・不祥事の規模、企業の規模等によって、調査委員会の構成も様々です。例えば、非上場企業で、インパクトが比較的大きくない規模の不正・不祥事であれば、監査役等を主要なメンバーとした社内の調査委員会を設置することもあります。他方、インパクトの大きな不正・不祥事では、顧問弁護士ではない弁護士のみをメンバーとする独立性・客観性の強い外部の調査委員会を設置することもあります。

日本弁護士連合会では、企業等から独立した委員のみをもって構成するタイプの委員会について、ガイドラインを策定しています。

https://www.nichibenren.or.jp/document/opinion/year/2010/100715_2.html

先日、クライアントからのご依頼を受けて、当事務所の弁護士で調査委員会を設置した案件が終了しました。私が委員長として、調査及び報告書の作成を行ったのですが、不正・不祥事が発生する原因というのは、表面的に事象が目につきやすいのですが、根本的または潜在的な原因を検討・分析することは容易ではありません。企業文化や、商習慣についても理解する必要がありますし、ビジネスの進め方や関係者のあるべき言動等についての洞察も必要となります。その意味では、普段の企業法務や社外監査役の業務が、調査委員会での調査にも非常に有用であることを、改めて実感しました。

また、調査報告書では、再発防止策を提言することが一般的です。再発防止策を検討する際には、表面的・形式的な内容となることなく、真にクライアントに役立ち、クライアントのステークホルダーから信頼され得る施策となるよう徹底的に検討することになります。

不正・不祥事の原因を究明して、将来の再発を防止し、ステークホルダーからの信頼を取り戻し、その結果、企業の成長に寄与するという思いを忘れずに、今後も調査委員会の業務を行いたいと考えています。

執筆者
藤井 宣行
マネージング・パートナー/弁護士

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