ベンチャー法務の部屋

納税管理人

日本において納税義務を負う個人や法人は、通常、自ら、申告や納付(以下「申告等」といいます。)を行います(代理人として、税理士に依頼して申告等を行う場合も、法的には、当該申告等の効果は、本人である個人や法人に帰属しますので、ここでは、「自ら」行う場合に含めています。)。

しかし、国税通則法第117条第1項では、自己の納税義務について、他人に処理を依頼すべき場合を規定しています(参考までに、末尾に条文を引用しています。)。この処理を依頼される者を「納税管理人」といいます。納税管理人は、日本に住所等を有しない場合等に、定めることを義務付けられています。
したがって、被相続人の最後の住所地が日本にあって、海外居住者(法人を含みます。)に遺贈する場合の当該海外居住者や、日本で納税義務を負担する海外居住者(法人を含みます。)は、日本で、納税管理人を選任する義務を負うことになります。
実務上は、税理士の方に依頼して、納税管理人に就任していただくことが多いように思います。私がスキーム構築をする際に、納税管理人が必要となる場合にも、そのようにしています。

海外に生活の本拠と移す個人の方も増えていますし、日本に子会社や営業所をもたずに日本でビジネスを行う海外企業も多くあります。こういった場合においても、税務面でのコンプライアンスに注意して、法令に違反しないよう注意する必要があります。

国税通則法第117条
1 個人である納税者がこの法律の施行地に住所及び居所(事務所及び事業所を除く。)を有せず、若しくは有しないこととなる場合又はこの法律の施行地に本店若しくは主たる事務所を有しない法人である納税者がこの法律の施行地にその事務所及び事業所を有せず、若しくは有しないこととなる場合において、納税申告書の提出その他国税に関する事項を処理する必要があるときは、その者は、当該事項を処理させるため、この法律の施行地に住所又は居所を有する者で当該事項の処理につき便宜を有するもののうちから納税管理人を定めなければならない。
2 納税者は、前項の規定により納税管理人を定めたときは、当該納税管理人に係る国税の納税地を所轄する税務署長(保税地域からの引取りに係る消費税等又は国際観光旅客税(国際観光旅客税法第十六条第一項(国内事業者による特別徴収等)の規定により徴収して納付すべきものを除く。)に関する事項のみを処理させるため、納税管理人を定めたときは、これらの国税の納税地を所轄する税関長)にその旨を届け出なければならない。その納税管理人を解任したときも、同様とする。

執筆者
藤井 宣行
マネージング・パートナー/弁護士

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