ベンチャー法務の部屋

SDGsのチャンスとリスク

去る8月6日に、株式会社日本総合研究所と当事務所の主催、三井住友銀行(中国)有限公司深圳支店の後援で、「SDGsのチャンスとリスク」という題目でオンラインセミナーを開催しました。

当日は、日本国内の企業のみならず、日本企業の中国現地法人の方々を含め、約50名の方々にご参加頂きました。

今回のセミナーは、日本企業が中国を含む、海外の主要拠点において、本業を通じてどのように現地のサステナビリティに貢献し、SDGs達成のための取り組みをどのようにビジネスチャンスとするのか、またSDGsに取り組まないことで発生するリスクを知り、そのリスクをどのように予防するのかという点についてお話をしました。

SDGsが共通言語化してきた現在、企業がSDGsを本業に取り込み、環境・社会的課題の解決に資する製品やサービスを提供できれば、新たなビジネスチャンスに繋げることができます。

他方で、SDGsは世界共通の達成目標として企業にとってのコンプライアンスの内容の1つとなっており、企業がSDGsに逆行する行動をとった場合、顧客からの取引停止や投資・融資の引き上げを受けるリスク、企業価値毀損のリスクに繋がります。

世界的にも、2020年4月末に欧州委員会の司法担当のコミッショナーが、企業に対しサプライチェーンを通じた人権・環境DDを義務付ける法案を提出する予定があることを発表するなど、サプライチェーンに対する環境・社会配慮の要請が拡大しています。

また、日本においても、コーポレートガバナンス・コードにおいて、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題の対処及び内部通報制度の整備のいずれに関しても、取締役が取り組むべき旨が規定されています。

【原則2-3】社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題

上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティ(持続可能性)を巡る課題について、適切な対応を行うべきである。

【補充原則2-3①】

取締役会は、サステナビリティ(持続可能性)を巡る課題への対応は重要なリスク管理の一部であると認識し、適確に対処するとともに、近時、こうした課題に対する要請・関心が大きく高まりつつあることを勘案し、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討すべきである。

さらに2020年は、日本政府の「ビジネスと人権に関する行動計画」(National Action Plan)の発表が予定されています。日本政府はこの計画における優先分野として、「国内外のサプライチェーンにおける企業の人権尊重を促進する仕組みの整備」及び「救済メカニズムの整備及び改善」を挙げています。( https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000502531.pdf

このように、世界だけでなく、日本においてもサステナビリティすなわちSDGsを意識した経営が求められるようになっています。

先ほど述べたように、企業がSDGsに逆行する行動をとった場合、コンプライアンス違反、ひいては取締役の責任を問われる事態が生じかねません。したがって、このSDGsの分野においても弁護士の果たすべき役割は大きくなると考えています。

これからのウィズコロナ、アフターコロナの時代においてもますます大切となる「SDGs」の考え方について、今後も広くセミナーを行う予定にしています。規模を問わず、出張セミナー等にも対応させて頂きますので、気軽にお問い合わせ下さい。

(文責:三村雅一)

執筆者
S&W国際法律事務所

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